LESSON 01

マグマのねばりけと噴火

ねばりけ・気体・噴火の激しさを因果でつなごう

ねばりけ、火山ガスの抜けやすさ、内部の圧力、噴火の傾向を、途中を飛ばさず因果で説明します。

ねばりけ・気体・噴火の激しさを因果でつなごう

このレッスンの役割

ここは6レッスン中の3番目です。前のレッスンでは、ねばりけが高い液体ほど気泡が上がりにくいことを、公平な模型実験から読みました。今回は、その関係を実際のマグマに当てはめ、「なぜ噴火のようすが変わるのか」を因果の鎖で説明します。

今回完成させる力は、ねばりけ、火山ガスの抜けやすさ、内部の圧力、噴火の傾向を順番につなぐことです。次のレッスンでは、この因果を使って火山の形や噴出物の資料からねばりけを推定します。

まず知る

マグマには、水蒸気をはじめとする火山ガスのもとになる成分が含まれています。地下深くでは圧力が高いため、成分の一部はマグマに溶けています。マグマが上昇して周囲の圧力が下がると、気体として分かれ、気泡になります。

炭酸飲料のふたを開けると泡が出る現象は、「圧力が下がると溶けていた気体が出てくる」という点を考える手がかりになります。ただし、炭酸飲料とマグマは温度も物質も異なります。

噴火傾向を考える基本の関係は次の通りです。

マグマ 気体の抜け方 起こりやすい変化 噴火の傾向
ねばりけが低い 気体が比較的抜けやすい 圧力がたまりにくい 溶岩が流れ出る比較的おだやかな噴火になりやすい
ねばりけが高い 気体が抜けにくい 圧力が高まりやすい 爆発的な噴火になりやすい

「なりやすい」という言葉が重要です。ねばりけは大切な条件ですが、噴火を一つで決めるスイッチではありません。

理解する

次の図では、同じように気泡ができても、マグマのねばりけによって気体の抜け方が変わる様子を比べています。

マグマのねばりけから噴火傾向へ至る二つの因果経路ねばりけが低い場合は気体が抜けやすく圧力がたまりにくい一方、高い場合は気体が抜けにくく圧力が高まりやすいことを火山断面で示すねばりけが低いねばりけが高い気体が抜けやすい圧力がたまりにくい傾向気体が閉じこめられやすい圧力が高まりやすい傾向

因果を一段ずつ追います。

ねばりけが低い場合

  1. マグマが流れやすい
  2. 気泡が周囲のマグマを押し分けて上がりやすい
  3. 火山ガスが地表へ抜けやすい
  4. 内部に圧力がたまりにくい
  5. 溶岩が流れ出る噴火になりやすい

ねばりけが高い場合

  1. マグマが流れにくい
  2. 気泡が上がりにくい
  3. 火山ガスがマグマの中に閉じこめられやすい
  4. 上昇して圧力が下がると気泡が膨らみ、内部の圧力が高まりやすい
  5. 急にマグマがこわれて、爆発的に噴き出すことがある

「ねばりけが高いから爆発する」だけでは、真ん中の仕組みが抜けています。高校受験の記述では、「気体が抜けにくい」「圧力が高まる」を入れると、理解が伝わる答案になります。

火山ガスは外から入った空気だけではありません。マグマに含まれていた成分が、上昇と圧力低下によって気体として分かれたものが中心です。

使う

次の二つのマグマについて考えます。

  • マグマA:ねばりけが低く、気泡が表面へ次々と抜ける
  • マグマB:ねばりけが高く、気泡が内部に多く残る

問:「Bのほうが爆発的な噴火になりやすい理由を説明しなさい。」

よい答案例:

「マグマBはねばりけが高いため、マグマ中の火山ガスが抜けにくい。上昇にともなって気泡ができて膨らむと内部の圧力が高まり、急に噴き出す爆発的な噴火になりやすいから。」

この答案には、原因、中間の仕組み、結果があります。

  • 原因:ねばりけが高い
  • 中間:気体が抜けにくく、圧力が高まる
  • 結果:爆発的になりやすい

「気体が多いから」だけでは、資料に気体量の情報がなければ根拠不足です。「ねばりけが高いから絶対に大噴火する」も言いすぎです。

転用する

ある火山で、火口から火山ガスが継続的に抜け、溶岩が斜面を遠くまで流れています。この資料からは、マグマのねばりけが比較的低く、気体が抜けやすい可能性を考えられます。

別の火山では、溶岩が火口近くに厚くたまり、噴火時に細かな物質が高く噴き上げられました。この組合せは、ねばりけが高く、気体が抜けにくかった可能性を支えます。

ただし、写真一枚や一回の噴火だけで、その火山のすべての噴火を決めつけません。同じ火山でも、時期やマグマの状態によって噴火のようすが変わることがあります。

記述の型

「[ねばりけの状態]ため、[気体の抜け方]。その結果、[圧力の変化]ので、[噴火の傾向]と考えられる。」

確認1:ねばりけが高いマグマで気体が抜けにくいのはなぜ?マグマが流れにくく、気泡が周囲を押し分けて上昇しにくいためです。
確認2:「ねばりけが高いと必ず爆発する」が誤りなのはなぜ?噴火にはガス量、圧力、通路なども関係し、ねばりけが示すのは噴火の傾向だからです。
確認3:遠くまで流れた溶岩の資料から何を推定する?斜面など他の条件も確認した上で、マグマのねばりけが比較的低く、気体が抜けやすかった可能性を推定します。

まとめ

ねばりけが低いと気体が抜けやすく、圧力がたまりにくいため、溶岩が流れ出る噴火になりやすくなります。ねばりけが高いと気体が抜けにくく、圧力が高まり、爆発的な噴火になりやすくなります。大切なのは「ねばりけ→気体→圧力→噴火傾向」を飛ばさず説明することです。次は、実際の火山の形と噴出物を証拠として使います。

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