地震情報を読み分ける入試問題
このレッスンの役割
ここは「火山・地震・岩石」コースの「震度とマグニチュード」セクション(12 / 15)、全6レッスン中の6番目です。
前から受け取る力:震度とマグニチュードの誤読を、主語・尺度・倍率・条件・資料範囲から修正する力
今回完成させる力:地震情報・震度分布・比較表から、設問に必要な尺度を選び、根拠つきで答える力
次へ渡す力:次の「プレート運動と地震・火山」で、地震・火山の分布を位置と仕組みから読む力
このセクションの仕上げです。知っている公式を全部使うのではなく、「何を問われているか」から使う資料を選びます。
入試型の資料
二つの地震について、次の情報があります。
| 地震 | マグニチュード | 最大震度 | 震源の深さ |
|---|---|---|---|
| X | M7.2 | 5弱 | 60 km |
| Y | M5.2 | 6弱 | 10 km |
さらに、地震Yの震度分布図では、震央付近で6弱、少し離れた地域で5弱、遠い地域で3を観測しました。
ここから、設問によって使う列が変わります。
- 地震全体のエネルギー → マグニチュード
- ある地点の揺れ → 震度分布
- 観測された最も強い揺れ → 最大震度
- 同じ規模でも分布が違う理由 → 深さ・距離・地盤など
知る:設問の主語を先に決める
設問を読んだら、次のどちらかへ分類します。
地点が主語
- A市の揺れはどの程度か
- 最大震度はいくつか
- 同じ地震で地点差がある理由は何か
使う資料:震度、震度分布、距離・深さ・地盤
地震全体が主語
- どちらの地震の規模が大きいか
- エネルギーは何倍か
- マグニチュードはいくつか
使う資料:マグニチュード
主語を決める前に数字を探すと、最大震度とMを混ぜやすくなります。
理解する:異なる結論は矛盾しない
地震XはM7.2、YはM5.2です。
差は2なので、
32×32≈1,000
地震XのエネルギーはYの約1,000倍です。
一方、最大震度はXが5弱、Yが6弱なので、観測された最も強い地点の揺れはYの方が大きいです。
結論は、
- 地震全体の規模:Xが大きい
- 地点で観測された最大の揺れ:Yが大きい
です。
Yは震源が浅く、観測地点に近かった可能性があります。資料に地盤情報があれば、それも説明に使います。
使う:五段階で解く
1 設問の主語を囲む
「地震全体」「A市」「最大」「エネルギー」など、求める対象を明確にします。
2 尺度を選ぶ
地点の揺れなら震度、地震全体の規模ならマグニチュードです。
3 必要な数値だけ取る
エネルギー比較に最大震度を使いません。地点の震度にM差の32倍を使いません。
4 計算または資料読取をする
M差2なら約1,000倍。分布図なら地点の記号を凡例へ戻します。
5 結論を主語へ戻す
「地震Xのエネルギーは」「A市の震度は」のように、何の答えかを書きます。
例題
問1:エネルギー
XとYで、どちらの地震のエネルギーが大きく、約何倍か。
M差は7.2−5.2=2.0です。
答え:地震XのエネルギーはYの約1,000倍
問2:最大の揺れ
どちらの地震で、より大きい最大震度を観測したか。
5弱<6弱なので、
答え:地震Y
問3:矛盾しない理由
Yは規模が小さいのに最大震度が大きい。なぜ矛盾しないか。
答え例:
「マグニチュードは地震全体の規模、震度は地点の揺れを表す。Yは震源が浅いなど、観測地点で強く揺れる条件があったため、Mが小さくても最大震度が大きくなることがある。」
転用する:資料の一部を隠す
Mが隠れている
最大震度だけではエネルギー倍率を求められません。マグニチュードが必要です。
震度分布が隠れている
MだけではA市の震度を決められません。地点の観測値または分布図が必要です。
地盤情報がない
同じ距離で震度が違う理由として地盤を候補にできますが、原因と断定するには地盤図などが必要です。
凡例がない
分布図の色から震度を数値で答えられません。凡例が必要です。
情報不足を見つけたら、推測で埋めず、「何があれば答えられるか」を書きます。
記述答案の型
「設問は_____について問うているため、_____の資料を使う。資料では_____である。したがって、_____と判断できる。」
例:
「設問は地震全体のエネルギーを問うているため、マグニチュードを使う。XとYのM差は2である。したがって、XのエネルギーはYの約1,000倍と判断できる。」
誤答を修正する
誤答1:Yは震度6弱、Xは5弱なのでYのエネルギーが大きい
エネルギー比較へ震度を使っています。M7.2とM5.2を使い、Xが約1,000倍です。
誤答2:XはM7.2なので全地点が震度7
Mの数値を震度へ移しています。地点の震度は分布図で読みます。
誤答3:最大震度が違うので地震の規模も違う
最大震度だけでは規模を比較できません。マグニチュードを確認します。
誤答4:Yの震源が浅いから、必ず全国で強く揺れる
浅さだけから全国へ広げています。震度は地点との距離や地盤などにもよります。
自分で解こう
地震AはM6.0・最大震度6弱、地震BはM7.0・最大震度5強です。
エネルギーが大きい地震
M差1なので、地震BのエネルギーがAの約32倍です。最大震度が大きい地震
6弱>5強なので、地震Aです。二つの答えが違う理由
マグニチュードは地震全体、震度は地点の揺れで、別の尺度だからです。このレッスンの理解チェック
確認1:地点の揺れを問う設問で使う尺度は?
震度です。確認2:地震全体のエネルギーを問う設問で使う尺度は?
マグニチュードです。確認3:M差2のエネルギー倍率は?
約1,000倍です。確認4:Mが大きい方の最大震度が小さいことはある?
あります。震源の位置・深さ、地点までの距離、地盤などが異なるからです。確認5:資料が足りないときは?
推測で埋めず、何の情報が必要かを示します。セクションのまとめ
このセクションでは、次の力をつなぎました。
- 震度とマグニチュードの主語を区別する。
- 震度階級と分布図を読む。
- M差をエネルギー倍率へ直す。
- 震度分布を距離・深さ・地盤から考える。
- 尺度と資料範囲の誤読を修正する。
- 設問に応じて資料を選び、根拠つきで答える。
次の「プレート運動と地震・火山」では、地震や火山が日本周辺のどこに多いかを分布図から読み、プレートの動きと結びつけます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。