LESSON 01

マグマのねばりけと噴火

噴出物と火山の形からねばりけを推定しよう

溶岩の広がり・厚さ、火山の斜面、噴出物、噴火記録を組み合わせ、マグマのねばりけを根拠つきで推定します。

噴出物と火山の形からねばりけを推定しよう

このレッスンの役割

ここは6レッスン中の4番目です。前のレッスンで、「ねばりけ→気体の抜けやすさ→圧力→噴火傾向」という因果を作りました。今回は向きを逆にし、観測された火山の形、溶岩の広がり、噴出物から、マグマのねばりけを推定します。

今回完成させる力は、複数の証拠を組み合わせ、「どの証拠がどの仕組みを支えるか」を説明することです。次のレッスンでは、色や形だけで断定する誤答を自分で直します。

まず知る

火山の地下にあるマグマを、地表から直接見ることはできません。そこで、噴火後に残ったものを証拠として使います。

証拠 資料で確かめること ねばりけとのつながり
溶岩の分布 火口からどこまで広がったか 遠くまで薄く広がれば、低い可能性
溶岩の厚さ 近くに厚くたまったか 近くに厚く残れば、高い可能性
火山の斜面 なだらかか、急か 流れやすい溶岩は広い地形を作りやすい
噴出物 溶岩流が中心か、細かな物質が広く飛んだか 気体の抜け方や噴火の激しさの手がかり
噴火記録 おだやかな流出か、爆発的な噴出か ねばりけとガスの関係を支える

火山の形は、一回の噴火だけで完成するとは限りません。何度もの噴火、崩壊、侵食が重なって現在の姿になります。だから形は有力な証拠ですが、それだけで断定はしません。

理解する

次の図は、二つの火山資料を単純化した断面です。

火山の形と噴出物からマグマのねばりけを推定する比較なだらかな火山では溶岩が遠く薄く広がり、急な火山では溶岩が火口近くに厚くたまり細かな噴出物が広がる例を示す火山Aの資料火山Bの資料溶岩は遠く・薄く分布斜面はなだらか溶岩は近く・厚く分布細かな噴出物も記録

火山Aでは、溶岩が火口から遠くまで薄く広がり、火山全体の斜面がなだらかです。これは流れやすいマグマ、つまりねばりけが低い可能性を支えます。

火山Bでは、溶岩が火口の近くに厚くたまり、急な斜面があります。さらに、爆発的な噴火で細かな噴出物が広く運ばれた記録もあります。これは、ねばりけが高く、気体が抜けにくかった可能性を支えます。

推定は次の三段階で行います。

  1. 資料の事実を、数値や位置を使って言う
  2. 事実を、流れやすさや気体の抜け方と結ぶ
  3. ねばりけについて「可能性」または「傾向」として結論を言う

「急な形だからねばりけが高い」だけでは、真ん中の仕組みがありません。「溶岩が火口近くに厚く残ったことから流れにくかったと考えられ、ねばりけが高い可能性がある」と説明します。

使う

次の観測表を読みます。

資料 火山X 火山Y
溶岩が確認された最大距離 火口から18 km 火口から1.5 km
溶岩の平均的な厚さ 1.2 m 24 m
火山の斜面 広くなだらか 火口付近が急
細かな噴出物の分布 少ない 風下40 kmでも多い
過去の記録 溶岩流が多い 爆発的な噴出が多い

問:「火山Yのマグマのねばりけについて、二つ以上の資料を使って説明しなさい。」

答案例:

「火山Yでは、溶岩が火口から1.5 kmまでしか広がらず、平均24 mと厚くたまっている。また、細かな噴出物が風下40 kmでも多い。マグマが流れにくく、気体も抜けにくかったと考えられるため、火山Yのマグマはねばりけが高かった可能性がある。」

ここでは、最大距離と厚さが「流れにくさ」を、細かな噴出物と爆発記録が「気体の抜けにくさ」を支えます。異なる種類の証拠が同じ結論を支えると、推定は強くなります。

数値があっても、単位を落としてはいけません。18と1.5だけでは、kmなのかmなのか分からないからです。

転用する

初見資料では、すべての証拠がそろうとは限りません。

例として、火山Zの資料が「火口近くに厚い溶岩のかたまりがある」だけだったとします。この場合は、「ねばりけが高い可能性」は言えますが、噴火が必ず爆発的だったとは断定できません。細かな噴出物の分布、過去の噴火記録、斜面の傾きなどを追加で調べます。

逆に、形は急なのに溶岩が遠くまで流れた資料があれば、次を疑います。

  • 異なる時期の噴火が重なっている
  • 斜面の一部だけを見ている
  • 崩壊や侵食で形が変わった
  • 距離や縮尺を読み違えている

資料が合わないときは、都合の悪い証拠を捨てず、「なぜ合わないか」を考えます。それが科学的な読み方です。

確認1:ねばりけが低い可能性を支える二つの証拠は?溶岩が火口から遠くまで薄く広がっていることと、火山の斜面が広くなだらかなことなどです。
確認2:「火山の斜面が急だから必ず爆発的」はなぜ誤り?火山の形には複数回の噴火、崩壊、侵食も関係し、形だけでは気体の抜け方や噴火様式を断定できないからです。
確認3:資料が一つしかないときの書き方は?観察事実から考えられる可能性を述べ、断定せず、追加で必要な証拠を示します。

まとめ

火山の形、溶岩の距離と厚さ、噴出物、噴火記録は、見えないマグマのねばりけを推定する証拠です。複数の証拠を「流れやすさ」「気体の抜けやすさ」と結び、可能性として結論を出します。次は、色や形だけで噴火を決める答案の飛躍を見つけ、証拠に基づく説明へ直します。

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