噴出物と火山の形からねばりけを推定しよう
このレッスンの役割
ここは6レッスン中の4番目です。前のレッスンで、「ねばりけ→気体の抜けやすさ→圧力→噴火傾向」という因果を作りました。今回は向きを逆にし、観測された火山の形、溶岩の広がり、噴出物から、マグマのねばりけを推定します。
今回完成させる力は、複数の証拠を組み合わせ、「どの証拠がどの仕組みを支えるか」を説明することです。次のレッスンでは、色や形だけで断定する誤答を自分で直します。
まず知る
火山の地下にあるマグマを、地表から直接見ることはできません。そこで、噴火後に残ったものを証拠として使います。
| 証拠 | 資料で確かめること | ねばりけとのつながり |
|---|---|---|
| 溶岩の分布 | 火口からどこまで広がったか | 遠くまで薄く広がれば、低い可能性 |
| 溶岩の厚さ | 近くに厚くたまったか | 近くに厚く残れば、高い可能性 |
| 火山の斜面 | なだらかか、急か | 流れやすい溶岩は広い地形を作りやすい |
| 噴出物 | 溶岩流が中心か、細かな物質が広く飛んだか | 気体の抜け方や噴火の激しさの手がかり |
| 噴火記録 | おだやかな流出か、爆発的な噴出か | ねばりけとガスの関係を支える |
火山の形は、一回の噴火だけで完成するとは限りません。何度もの噴火、崩壊、侵食が重なって現在の姿になります。だから形は有力な証拠ですが、それだけで断定はしません。
理解する
次の図は、二つの火山資料を単純化した断面です。
火山Aでは、溶岩が火口から遠くまで薄く広がり、火山全体の斜面がなだらかです。これは流れやすいマグマ、つまりねばりけが低い可能性を支えます。
火山Bでは、溶岩が火口の近くに厚くたまり、急な斜面があります。さらに、爆発的な噴火で細かな噴出物が広く運ばれた記録もあります。これは、ねばりけが高く、気体が抜けにくかった可能性を支えます。
推定は次の三段階で行います。
- 資料の事実を、数値や位置を使って言う
- 事実を、流れやすさや気体の抜け方と結ぶ
- ねばりけについて「可能性」または「傾向」として結論を言う
「急な形だからねばりけが高い」だけでは、真ん中の仕組みがありません。「溶岩が火口近くに厚く残ったことから流れにくかったと考えられ、ねばりけが高い可能性がある」と説明します。
使う
次の観測表を読みます。
| 資料 | 火山X | 火山Y |
|---|---|---|
| 溶岩が確認された最大距離 | 火口から18 km | 火口から1.5 km |
| 溶岩の平均的な厚さ | 1.2 m | 24 m |
| 火山の斜面 | 広くなだらか | 火口付近が急 |
| 細かな噴出物の分布 | 少ない | 風下40 kmでも多い |
| 過去の記録 | 溶岩流が多い | 爆発的な噴出が多い |
問:「火山Yのマグマのねばりけについて、二つ以上の資料を使って説明しなさい。」
答案例:
「火山Yでは、溶岩が火口から1.5 kmまでしか広がらず、平均24 mと厚くたまっている。また、細かな噴出物が風下40 kmでも多い。マグマが流れにくく、気体も抜けにくかったと考えられるため、火山Yのマグマはねばりけが高かった可能性がある。」
ここでは、最大距離と厚さが「流れにくさ」を、細かな噴出物と爆発記録が「気体の抜けにくさ」を支えます。異なる種類の証拠が同じ結論を支えると、推定は強くなります。
数値があっても、単位を落としてはいけません。18と1.5だけでは、kmなのかmなのか分からないからです。
転用する
初見資料では、すべての証拠がそろうとは限りません。
例として、火山Zの資料が「火口近くに厚い溶岩のかたまりがある」だけだったとします。この場合は、「ねばりけが高い可能性」は言えますが、噴火が必ず爆発的だったとは断定できません。細かな噴出物の分布、過去の噴火記録、斜面の傾きなどを追加で調べます。
逆に、形は急なのに溶岩が遠くまで流れた資料があれば、次を疑います。
- 異なる時期の噴火が重なっている
- 斜面の一部だけを見ている
- 崩壊や侵食で形が変わった
- 距離や縮尺を読み違えている
資料が合わないときは、都合の悪い証拠を捨てず、「なぜ合わないか」を考えます。それが科学的な読み方です。
確認1:ねばりけが低い可能性を支える二つの証拠は?
溶岩が火口から遠くまで薄く広がっていることと、火山の斜面が広くなだらかなことなどです。確認2:「火山の斜面が急だから必ず爆発的」はなぜ誤り?
火山の形には複数回の噴火、崩壊、侵食も関係し、形だけでは気体の抜け方や噴火様式を断定できないからです。確認3:資料が一つしかないときの書き方は?
観察事実から考えられる可能性を述べ、断定せず、追加で必要な証拠を示します。まとめ
火山の形、溶岩の距離と厚さ、噴出物、噴火記録は、見えないマグマのねばりけを推定する証拠です。複数の証拠を「流れやすさ」「気体の抜けやすさ」と結び、可能性として結論を出します。次は、色や形だけで噴火を決める答案の飛躍を見つけ、証拠に基づく説明へ直します。
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