LESSON 01

地震波の速さを計算しよう

単位と時間の取り違えを直そう

地震波の速さの誤答を、時間・演算・単位・大きさ・精度の順に診断して修正する。

単位と時間の取り違えを直そう

このレッスンの役割

ここは「火山・地震・岩石」コースの「地震波の速さを計算しよう」セクション(11 / 15)、全6レッスン中の5番目です。

前から受け取る力:P波とS波の平均の速さを同じ単位で求め、数量で比較する力
今回完成させる力:地震波の速さの誤答を、時間・演算・単位・大きさ・精度の順に診断して修正する力
次へ渡す力:速さから別地点への到着時刻を予測し、結果を検算する力

このレッスンでは新しい公式を増やしません。間違った答えの「最初にずれた場所」を見つけ、次の問題で同じ誤りを防げる直し方を身につけます。

まず誤答を診断しよう

震源距離84 km、P波が伝わった時間14秒のとき、ある生徒は次のように計算しました。

14÷84=0.167 km/s

数値の割り算はできていますが、最初のずれは割る順番です。速さは一秒あたりの距離なので、

84÷14=6 km/s

と直します。

「計算ミス」とだけ書くより、「時間÷距離にした」と原因を特定する方が、修正につながります。

知る:五つの診断基準

速さの答案は、次の順に確認します。

基準 確認すること
時間 発生からその波の到着までを使ったか
演算 距離÷時間になっているか
単位 kmと秒へそろえ、答えがkm/sか
大きさ 概算やP波・S波の到着順と合うか
精度 指示と資料に合う桁へ丸めたか
地震波の速さの誤答を五つの基準で診断する図 時間、演算、単位、大きさ、精度を順に確認し、最初のずれへ戻って速さの答案を修正する。 答えではなく、最初のずれを直す 1 時間 2 演算 3 単位 4 大きさ 5 精度 最初に合わなくなった基準へ戻る その後の計算を正しい値でやり直す 意味・式・単位・現象が一致する答案 84 km ÷ 14秒 = 6 km/s

理解する:誤りは後ろへ連鎖する

最初にP波の時間を間違えると、割り算と単位が正しくても答えは誤ります。

たとえば、震源距離84 km、P波14秒、S波24秒なら初期微動継続時間は10秒です。

P波の速さに10秒を使うと、

84÷10=8.4 km/s

となります。計算自体は正しいですが、使った時間の意味が違います。したがって、最初に直すのは計算ではなく「時間」の選択です。

五つの基準を前から確認するのは、誤りが後ろへ連鎖するのを止めるためです。

使う:典型誤答を修正する

誤答1:到着時刻を経過時間にする

発生10時03分00秒、P波到着10時03分12秒を「3分12秒=192秒」とした。

診断:時間

時計の到着時刻ではなく、到着−発生を使います。P波が伝わった時間は12秒です。

誤答2:初期微動継続時間をS波の時間にする

P波12秒、S波20秒だから、S波の時間を8秒とした。

診断:時間

8秒はS−Pの到着差です。S波が伝わった時間は発生から20秒です。

誤答3:時間÷距離にする

72 kmを12秒なのに、12÷72とした。

診断:演算

一秒あたりの距離を求めるので、72÷12=6 km/sです。

誤答4:分と秒を混ぜる

120 kmを1分で進み、120÷1=120 km/sとした。

診断:単位

1分=60秒なので、120÷60=2 km/sです。120 km/minと書くなら計算は合っていますが、求める単位を確認します。

誤答5:必要以上に細かく書く

100 km÷16秒を6.250000 km/sとし、一目盛りの粗いグラフの値なのに六桁まで断定した。

診断:精度

計算値は6.25ですが、資料と指示に合わせて約6.3 km/sなどと表します。

大きさと現象で検算する

およそ100 kmを20秒なら、速さはおよそ5 km/sです。

結果が0.005 km/sや5000 km/sなら、単位や桁を疑います。

さらに、同じ地点でP波が先、S波が後に到着した資料なら、計算結果もP波の方が速くなるはずです。S波の方が速くなったら、

  • P波・S波の時刻を逆にした
  • 一方だけ初期微動継続時間を使った
  • 単位がそろっていない

可能性があります。

転用する:見慣れない答案を診断する

次の答案を考えます。

震源距離150,000 m
P波の伝わった時間25秒
計算:150,000÷25=6,000 km/s

割り算の数値は6,000ですが、距離の単位はmです。

150,000 m÷25秒=6,000 m/s

6,000 m/s=6 km/s

です。

最初のずれは「単位」。数値だけを見て異常と決めず、m/sをkm/sへ直します。

別の正しい表現

360 km/minは、

360÷60=6 km/s

です。数値が360と6で異なっても、単位を含めれば同じ速さです。速さを比較するときは、単位までそろえます。

修正答案を三文で書く

  1. 誤り:「この答案は_____を_____としている。」
  2. 根拠:「速さには_____を使い、単位を_____へそろえる。」
  3. 修正:「したがって、÷=_____である。」

例:

「この答案は初期微動継続時間10秒をP波の伝わった時間としている。P波の速さには発生からP波到着までの14秒を使う。したがって84÷14=6 km/sである。」

自分で診断しよう

震源距離90 km、発生10時00分00秒、P波15秒、S波25秒です。

生徒A:S波の速さ=90÷10=9 km/s

最初のずれ時間です。10秒は初期微動継続時間です。
修正S波の時間25秒を使い、90÷25=3.6 km/sです。

生徒B:P波の速さ=15÷90=0.167 km/s

最初のずれ演算です。時間÷距離になっています。
修正距離÷時間なので、90÷15=6 km/sです。

このレッスンの理解チェック

確認1:答案を診断する五つの基準は?時間、演算、単位、大きさ、精度です。
確認2:初期微動継続時間とS波の伝わった時間は同じ?違います。前者はP波到着からS波到着、後者は地震発生からS波到着です。
確認3:120 kmを1分で進む速さをkm/sで表すと?1分=60秒なので、120÷60=2 km/sです。
確認4:150,000 mを25秒なら?6,000 m/s=6 km/sです。
確認5:P波よりS波の計算値が大きくなったら何を見る?時刻の読取り、使った時間、割る順番、単位を見直します。

次のレッスンへ

今回は、地震波の速さの誤答を時間・演算・単位・大きさ・精度の五つで診断し、最初のずれから直しました。

次は、既知の速さと震源距離から伝わる時間を求め、地震発生時刻へ足して、別地点へのP波・S波到着時刻を予測します。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。