分布図と断面図を統合する入試問題
このレッスンの役割
ここは「プレート運動と地震・火山」セクションの6 / 6、出口のレッスンです。これまでに、地震・火山の分布、日本周辺のプレート、地震の発生、火山列の成り立ち、資料の誤読修正を一つずつ学びました。今回は、どの知識を使うか自分で選び、複数資料から一つの根拠ある説明を作ります。
今回完成させる力は、分布図で「どこに集中するか」を見つけ、深度資料で「地下へどう続くか」を読み、沈み込みモデルで「なぜ地震と火山が多いか」を説明することです。次のセクション「火山・地震災害と防災」では、この理解を使って地域ごとの危険を資料から判断します。
おすすめの学び方は、最初から覚えた文章を書かないことです。設問が求める結論を確認し、その結論を支える資料を二つ以上選び、観測とモデルを区別して組み立てます。
今日の問い
ある島国Xでは、東の海に海溝があり、地震の震源は海溝から西へ行くほど深くなり、火山はさらに西側の陸上へ列をつくっています。三つの資料を使って、この地域に地震と火山が多い理由を説明できるでしょうか。
知る
複数資料問題では、それぞれの資料に別の仕事があります。
| 資料 | 直接読み取ること | 単独では決めにくいこと |
|---|---|---|
| 分布図 | 地震・火山が集中する場所、重なり | 地下で起こる詳しい仕組み |
| プレート地図 | 境界、海溝、移動方向 | 地下での傾き・深さ |
| 震源深度の断面図・表 | 震源が浅い所と深い所、傾き | 火山ができる物質変化の全過程 |
| 模式断面図 | 沈み込み・ひずみ・マグマ上昇のモデル | 実際の観測値そのもの |
「観測資料」と「説明モデル」は役割が違います。観測だけでは原因を言い切れず、モデルだけではその地域に当てはまる証拠が不足します。両方を接続します。
理解する
次は島国Xの模式資料です。上段は平面分布、下段はA–B断面です。丸の色に加えて深さの文字も示しています。
読み取りを三段階で分けます。
観測1:地震は海溝付近から陸側へ帯状に分布し、陸側ほど深い震源がある。
観測2:火山は海溝の真上ではなく、陸側へ離れた列にある。
モデル:東の海側プレートが西の陸側プレートの下へ沈み込む。
ここから、地震と火山を別々の因果で説明します。
- 地震:沈み込みによって固着部分や岩盤にひずみがたまり、限界で急にずれる。また、沈み込むプレート内部などでも地震が起こる。
- 火山:沈み込みに伴って水などが放出され、上側のマントルがとけやすくなり、できたマグマが上昇する。
共通の出発点はプレートの沈み込みですが、地震と火山の直接の発生過程は同じではありません。
使う
入試型の設問を解きます。
設問: 「島国Xで地震と火山が多い理由を、資料1・資料2を使い、『海溝』『プレート』『ひずみ』『マグマ』の四語を用いて説明しなさい。」
1 設問を分解する
求められるのは、地震と火山の両方です。指定語句のうち、「ひずみ」は地震、「マグマ」は火山の説明に使います。「海溝」「プレート」は共通の配置に使います。
2 証拠を選ぶ
- 海溝の西側へ震源が深くなる。
- 火山が海溝より西の陸側に並ぶ。
- プレート移動の矢印は東から西を向く。
3 因果文を作る
解答例: 「東の海側プレートが海溝から西の陸側プレートの下へ沈み込んでいる。境界付近ではひずみがたまり、限界で急にずれるため地震が起こる。また、沈み込みに伴って上側のマントルにマグマができて上昇するため、海溝より陸側に火山が並ぶ。」
4 解答を点検する
| 点検 | 合格の目安 |
|---|---|
| 資料の位置 | 東・西、海側・陸側が逆でない |
| 地震の因果 | ひずみ→急なずれがある |
| 火山の因果 | マグマ生成→上昇がある |
| 共通原因 | プレートの沈み込みがある |
| 言いすぎ防止 | すべての地震・火山を同一過程にしていない |
転用する
別の地域Yでは、海溝が西、陸地が東にあるとします。震源が西から東へ行くほど深くなるなら、海側プレートは西から東の陸側の下へ沈み込むと考えられます。暗記した「東から西」ではなく、資料の海側・陸側・深度変化から判断します。
さらに、資料が不完全な場合もあります。
- 分布図だけ:集中帯は言えるが、沈み込みの向きには断面資料が必要。
- 断面図だけ:地下構造は言えるが、地域全体の火山分布には地図が必要。
- 模式図だけ:仕組みは説明できるが、その地域で実際に起きている証拠には観測資料が必要。
高校入試で大切なのは、知っている言葉を全部書くことではなく、設問に必要な証拠を選ぶことです。「どの資料が、説明のどの部分を支えるか」を対応させます。
次の防災学習では、同じ地震でも震源位置、地盤、海岸からの距離によって危険が変わります。プレートの仕組みを知ることは出発点ですが、具体的な行動にはハザードマップ、津波浸水想定、避難場所など別の資料も必要です。
よくある間違い
| 誤答 | 原因 | 修正 |
|---|---|---|
| 「プレートが動くから地震と火山が起こる」だけ | 途中の因果がない | 地震はひずみと急なずれ、火山はマグマ生成と上昇を書く |
| 震源の色だけで沈み込み方向を決める | 方位・海溝を見ていない | A–B、方位、深度凡例を組み合わせる |
| 地震と火山を同じ直接原因にする | 共通の出発点と別の過程を混同 | 二つの因果文へ分ける |
| 模式図を観測事実として書く | モデルと資料の役割を混同 | 「資料では」「モデルでは」と分ける |
| 一枚の資料だけで全部説明する | 資料の限界を見ていない | 分布・深度・モデルを役割分担させる |
自分で確かめよう
確認1:分布図・断面図・模式図の役割を一つずつ言おう
分布図は集中する場所、断面図は地下の深さと傾き、模式図は見えない発生過程を説明します。確認2:「沈み込みで地震と火山が同じ仕組みで起こる」は正しい?
共通の出発点は沈み込みですが、地震はひずみの蓄積と急なずれ、火山は水などの影響によるマグマ生成と上昇という別の過程です。確認3:海溝が西、陸地が東の初見資料では沈み込み方向をどう決める?
海溝から東の陸側へ震源が深くなるかを確認し、海側プレートが西から東の陸側の下へ沈み込むと判断します。まとめと次の一歩
分布図で集中を見つけ、断面図で地下の傾きを読み、沈み込みモデルで地震と火山の別々の因果を説明できれば、このセクションの目標達成です。資料ごとの役割と限界を意識すれば、見慣れない地域でも使えます。次の「火山・地震災害と防災」では、仕組みの理解を、地域の危険と行動の判断へつなげます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。