マグニチュードと地震のエネルギー
このレッスンの役割
ここは「火山・地震・岩石」コースの「震度とマグニチュード」セクション(12 / 15)、全6レッスン中の3番目です。
前から受け取る力:震度階級と震度分布図を、地点ごとの揺れとして読む力
今回完成させる力:マグニチュードの差から、地震のエネルギーの大きさを倍率で比較する力
次へ渡す力:同じ地震でも地点ごとに震度が異なる分布を、距離・深さ・地盤から考える力
マグニチュードは数字が1しか違わなくても、エネルギーは少しだけ増えるのではありません。今日は「差」を「倍率」へ読み替えます。
まず予想しよう
地震AはM5、地震BはM6です。
数字は1だけ違います。地震BのエネルギーはAの何倍くらいでしょう。
- 1.2倍
- 2倍
- 約10倍
- 約32倍
正解は約32倍です。マグニチュードの目盛りは、エネルギーが同じ量ずつ足される尺度ではありません。
知る:Mが1増えると約32倍
中学理科では、次の関係を使います。
- マグニチュードが1大きい → エネルギーは約32倍
- マグニチュードが2大きい → エネルギーは約1,000倍
2大きいときは、
32×32=1,024
なので、およそ1,000倍です。
理解する:足し算ではなく掛け算
M5からM6へ1増えると、約32倍です。
さらにM6からM7へ1増えると、M6の約32倍です。
したがって、M5からM7は、
32×32=1,024
約1,000倍となります。
「1増えると32倍」なので、2増えると32×2=64倍ではありません。段階ごとに32を掛けます。
震度の差とは混ぜない
マグニチュードが1大きいとエネルギー約32倍、という関係を、震度へ使ってはいけません。
震度4と震度5弱の関係を「エネルギー32倍」とは言いません。震度は地点の揺れの階級、マグニチュードは地震そのものの規模です。
また、Mが大きい地震でも、遠い地点では震度が小さい場合があります。エネルギーの倍率と、ある地点の震度を直接一対一に結びません。
使う:差を先に求める
例題1:差1
地震A:M5.4
地震B:M6.4
差は、
6.4−5.4=1.0
です。
答え:地震Bのエネルギーは地震Aの約32倍
例題2:差2
地震C:M6.1
地震D:M8.1
差は2.0です。
32×32=1,024
答え:地震Dのエネルギーは地震Cの約1,000倍
例題3:逆向きに聞かれた場合
M7の地震のエネルギーを1とすると、M6はどのくらいか。
M7はM6の約32倍なので、M6はM7の約1/32です。
どちらを基準にするか、問題文の主語を確認します。
比較表を作る
基準をM5のエネルギー1とした概算です。
| マグニチュード | M5との差 | エネルギーの概算 |
|---|---|---|
| M5 | 0 | 1 |
| M6 | 1 | 約32 |
| M7 | 2 | 約1,000 |
| M8 | 3 | 約32,000 |
M8は、M5に対して32×32×32です。
この表は倍率関係を理解するためのモデルです。実際のエネルギーを「32個」のように数えているわけではありません。
転用する:ニュースの二つの地震を比べる
ニュースに次の二つがありました。
- 地震X:M7.2、最大震度5弱
- 地震Y:M5.2、最大震度6弱
マグニチュード差は2なので、地震XのエネルギーはYの約1,000倍です。
一方、最大震度はYの方が大きいです。
これは矛盾ではありません。
- エネルギー・地震全体の規模 → Xが大きい
- 観測された地点の最大の揺れ → Yが大きい
震源の近さや深さなどが違えば、規模が小さめでも近くで強く揺れることがあります。
条件を変えて予測する
Mが同じ
Mが同じなら、マグニチュードから比較する地震全体の規模は同程度です。ただし、震度分布まで同じとは限りません。
Mが1小さい
基準の地震の約1/32のエネルギーです。
Mが2小さい
基準の地震の約1/1,000のエネルギーです。
倍率を逆向きにするときは、32で割ります。
誤答を原因から直そう
誤答1:M6はM5の6÷5=1.2倍
マグニチュード値をそのまま割っています。差1ならエネルギーは約32倍です。
誤答2:差2だから32×2=64倍
同じ倍率を2回掛けます。32×32≈1,000倍です。
誤答3:M7はM6よりエネルギーが1だけ大きい
マグニチュードの数値差とエネルギーの差を同じ足し算で見ています。差1は約32倍です。
誤答4:Mが32倍になる
32倍になるのはエネルギーです。マグニチュードそのものを32倍するのではありません。
誤答5:Mが大きい地震は全地点で震度も必ず大きい
震度は距離・深さ・地盤などでも変わります。地震全体の規模と地点の揺れを分けます。
自分で確かめよう
確認1:Mが1大きいとエネルギーは?
約32倍です。確認2:Mが2大きいとエネルギーは?
32×32=1,024なので、約1,000倍です。確認3:M5.8とM6.8では?
差1なので、M6.8の方が約32倍です。確認4:M8.0とM6.0では?
差2なので、M8.0の方が約1,000倍です。確認5:最大震度が大きい方は必ずMも大きい?
必ずではありません。震度は地点の条件でも変わります。次のレッスンへ
今回は、マグニチュード差1をエネルギー約32倍、差2を約1,000倍として比較しました。
次は、同じ一つの地震でも震度分布が地点ごとに変わる理由を、震源距離・深さ・地盤の条件から考えます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。