LESSON 01

変化する大地を観察しよう

初見の地域資料から大地の履歴を復元しよう

写真・地図・断面・表から必要な証拠を選び、切る・覆う・前後記録を使って、地域で起きた大地の変化の順序と未確定点を説明します。

初見の地域資料から大地の履歴を復元しよう

このレッスンの役割

ここは「変化する大地を観察しよう」の6 / 6、セクションの出口です。

前のレッスンでは、観察事実・解釈・結論を分け、根拠が切れた最初の行を直しました。今回は、写真・地図・断面・表から必要な証拠を選び、ある地域で起きた変化の順序を復元します。

このレッスンで完成させる力:複数資料から必要な証拠を選び、出来事の前後関係と未確定点を説明する
次へ渡す力:次の「マグマと火山活動」で、火山資料から地下のマグマの動きを詳しく考える

年代を暗記して当てる問題ではありません。「AがBを切る」「AがBを覆う」「変化の前後写真がある」という証拠から順序を組み立てます。

まず知る:前後関係を示す三つの手がかり

手がかり 読み方 注意
切る 切っているものは、切られたものより後 断面の位置を確認する
覆う 上から覆うものは、覆われたものより後 逆転など特別な条件がないか確認
前後記録 後の写真だけにある変化は、二時点の間 正確な時刻は追加記録が必要

「後に起きたこと」と「原因」は別です。順序が分かっても、原因まで決まるとは限りません。

地域Zの資料

資料A 露頭写真

  • 下部に、平行なしま模様の層がある。
  • 黒い岩体が、そのしま模様の層を切っている。
  • 角ばった岩片を多く含む層が、しま模様と黒い岩体の両方を上から覆う。
  • 写真には1 mの標尺と北向きの表示がある。

資料B 地図

  • 露頭の東3 kmに火山がある。
  • 黒い岩体は、露頭から火山方向へ続くように分布する。
  • ただし、地表で見えない区間があり、連続しているかは未確認である。

資料C 前後写真

  • 6月1日の写真には、道路を横切る新しい亀裂はない。
  • 6月3日の写真には、道路を横切る亀裂がある。
  • 6月2日夜に地域で地震が観測された。
  • 6月2日には強い雨も降った。

資料D 測定表

地点 角ばった岩片の層の厚さ
火山から2 km 1.2 m
火山から5 km 0.6 m
火山から9 km 0.2 m
地域Zの露頭から出来事の順序を読む 下部のしま模様の層を黒い岩体が切り、その両方を角ばった岩片の層が覆い、地表には後から亀裂ができた断面図 ③ 岩片の層が覆う① しま模様の層② 黒い岩体が切る④ 地表の新しい亀裂 順序は読めるが、正確な年代と原因には追加資料が必要

図中の番号は、資料から読める前後関係です。見た目の上下だけでなく、「切る」「覆う」という関係を使います。

理解する:証拠から順序を組み立てる

最初 しま模様の層ができた

黒い岩体に切られているため、しま模様の層の方が先です。どのような物質が積もったか、正確な年代は、写真だけではまだ分かりません。

次 黒い岩体ができた

黒い岩体はしま模様を切っています。したがって、しま模様ができた後に黒い物質が入り込んだ、またはできたと考えられます。

資料Bでは火山方向へ続くように見えますが、途中が地表で確認できません。「火山まで必ずつながる」とは断定しません。

その後 角ばった岩片の層が積もった

角ばった岩片の層が、しま模様と黒い岩体の両方を覆っています。したがって、この二つより後です。

資料Dでは、火山に近い地点ほど厚い傾向があります。火山活動との関係を考える手がかりですが、岩片の成分や分布方向など追加資料が必要です。

最後 地表に新しい亀裂ができた

6月1日にはなく、6月3日にあるため、この二時点の間にできました。6月2日の地震が関係した可能性はあります。しかし、強い雨もあり、地震だけが原因とは資料から断定できません。

使う:入試答案にまとめる

問い:「地域Zで起きた出来事を古い順に並べ、根拠を説明しなさい。」

答案例:

「最初にしま模様の層ができ、その後、それを切る黒い岩体ができた。次に、しま模様と黒い岩体の両方を覆う角ばった岩片の層が積もった。道路の亀裂は6月1日にはなく6月3日にはあるため、最も新しい変化である。順序の根拠は、黒い岩体がしま模様を切り、岩片の層が両方を覆うこと、および前後写真である。」

この答案は、出来事と根拠を一対一で対応させています。

どこまで原因を説明できるか

資料BとDから、角ばった岩片の層が火山活動に関係する可能性を考えられます。

  • 火山に近いほど厚い。
  • 露頭は火山から西側にある。
  • 岩片の層が広がっている。

しかし、次はまだ未確定です。

  • どの噴火でできたか。
  • 岩片が本当に火山由来か。
  • 風向や地形が厚さにどう影響したか。
  • 黒い岩体と現在の火山が連続するか。

よい結論は、分かることを明確にしながら、分からないことも隠しません。

よくある誤り

上にあるから、いつでも新しい

通常の重なりでは上が後ですが、地層が大きく逆転している場合などには追加確認が必要です。この資料では「覆う関係」が明示されているため、順序を判断できます。

火山の近くだから、すべて火山が原因

位置が近いことは証拠の一つです。物質の成分、分布、年代などを組み合わせます。

地震の後だから、亀裂は地震だけが原因

時間順は関係を考える手がかりですが、雨、地盤、以前の亀裂など他の条件を調べます。

すべての資料を答案へ書く

問われているのが出来事の順序なら、切る・覆う・前後写真が中心です。厚さ表は原因候補を考えるときに使います。

転用する:資料の向きが変わっても解く

別の露頭Yでは、明るい層を黒い岩体が切り、その黒い岩体を断層がずらし、すべてを表土が覆っています。

古い順は次の通りです。

  1. 明るい層
  2. 黒い岩体
  3. 断層によるずれ
  4. 表土

図が左右反転していても、色や位置を暗記する必要はありません。「切るものは後」「ずらすものは、ずらされるものより後」「覆うものは後」という関係を使います。

学習を次へつなぐ

このセクションで身につけた観察方法は、後のすべての地球分野で使います。

  • 火山:噴出物、火山の形、観測記録からマグマを考える。
  • 岩石:組織と鉱物から冷え方を考える。
  • 地震:波形と到着時刻から地下の現象を考える。
  • 地層:重なり、切る関係、化石などから過去を考える。

次のセクションでは、火山にしぼり、マグマが上昇して噴火へ至る流れを詳しく学びます。

このレッスンの範囲

ここでは、資料から出来事の順序を復元しました。岩石名、噴火の種類、地震波計算など、後続セクションの詳しい知識はまだ使いません。

自分で確かめよう

確認1:直接確認A層をB岩体が切り、C層がAとBを覆うとき、古い順はどうなりますか。答え:A層、B岩体、C層です。
確認2:誤りの修正「火山に近いほど層が厚いので、必ずこの火山の噴火でできた」の不足は何ですか。答え:成分、分布方向、年代などの確認がなく、位置と厚さだけで原因を断定しています。
確認3:初見への転用層を切る岩体をさらに断層がずらしている場合、岩体と断層のどちらが後ですか。答え:岩体をずらした断層の方が後です。

まとめと次の一歩

初見資料では、問いに必要な証拠を選び、「切る・覆う・前後記録」から出来事の順序を復元します。原因や年代は、資料が足りなければ未確定として示します。

次は「マグマと火山活動」で、火山の証拠から地下のマグマの動きを詳しく追います。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。