地下の岩石はどうしてマグマになる?
このレッスンの役割
ここは「マグマと火山活動」の1 / 6です。
前のセクションでは、地表の証拠から大地の履歴を考えました。ここからは火山に焦点をしぼり、地下でマグマが生じ、上昇し、噴火へつながる流れを一段ずつ学びます。
このレッスンで完成させる力:マグマを「地下の岩石の一部が条件の変化で溶けてできる高温の物質」と説明する
次へ渡す力:地震・地殻変動・ガス・温度の観測が、地下のマグマのどんな動きを示すか考える
この学習は「地球の中は全部どろどろ」と覚えるものではありません。固体の岩石が多い地下で、どんな条件なら一部が溶けるかを図と言葉でつなぎます。
まず知る:マグマと溶岩の違い
マグマは、地下にある高温の物質です。主に溶けた岩石からなり、結晶や気体の成分を含むことがあります。
溶岩は、マグマが地表へ噴出したものを指します。地下にある間はマグマ、地表へ出た後は溶岩と呼び分けます。
| 言葉 | 場所・状態 |
|---|---|
| 岩石 | 地下・地表にある固体の物質 |
| マグマ | 地下で岩石の一部が溶けた高温の物質 |
| 溶岩 | マグマが地表へ流れ出たもの |
| 火山ガス | マグマに含まれていた気体成分などが地表へ出たもの |
「マグマ=溶岩」ではありません。関係は深いですが、場所と状態を示す言葉が違います。
理解する:地下が全部溶けているわけではない
地球内部の大部分は、非常に高温でも固体の岩石です。岩石が溶け始める条件は、温度だけでなく圧力や水などの影響でも変わります。
中学校では、次の三つの見方を押さえます。
温度が上がる
岩石が溶け始める温度を超えると、一部が溶けてマグマが生じます。
圧力が下がる
高温の岩石が上昇して圧力が下がると、温度が大きく上がらなくても溶け始める場合があります。
水などの影響を受ける
地下へ運ばれた水などの影響で、周囲の岩石が溶け始める条件が変わり、一部が溶けやすくなる場合があります。
すべての岩石が一度に溶けるとは限りません。異なる鉱物からなる岩石では、溶け始めやすい部分から先に溶けます。これを部分的に溶けると表現します。
図の右側にも灰色の結晶が残っています。「マグマは完全な液体だけ」と決めつけないためです。
使う:三つの地下環境を判断する
次の地下環境A〜Cを考えます。
環境A
高温の岩石が、地下深くから浅い方へ上昇しています。温度は大きく変わりませんが、圧力が下がっています。
考え方:圧力低下によって、岩石の一部が溶けやすくなる可能性があります。
環境B
沈み込むプレートに伴って、水などが上側の高温の岩石へ影響しています。
考え方:水などの影響で、周囲の岩石が溶け始める条件が変わり、一部がマグマになる可能性があります。
環境C
低温の岩石が、条件の変わらない場所にあります。
考え方:溶ける条件へ近づく情報がないため、この資料だけでマグマが生じるとは言えません。
共通して大切なのは、「地下だから溶ける」のではなく、岩石の温度・圧力・水などの条件を確かめることです。
マグマができた後
生じたマグマは周囲の固体の岩石とは性質が異なるため、割れ目などを通って上昇したり、地下のある場所に集まったりします。
上昇すると圧力が下がり、マグマに含まれていた気体成分が気泡になって広がりやすくなります。この変化は、後のレッスンで噴火までの流れとして詳しく扱います。
今は次の順だけ確認します。
岩石の一部が溶ける
→ マグマが生じる
→ マグマが上昇・蓄積する
→ 条件によって地表へ噴出する
よくある間違い
地球の内部はすべて液体
誤りです。高温でも圧力などの条件によって、固体の岩石が多く存在します。マグマは、条件がそろった場所で一部の岩石が溶けて生じます。
地下にある赤い液体はすべてマグマ
色だけで判断できません。模式図の赤色は分かりやすくする表現です。実際の地下を赤い液体として直接見ているわけではありません。
マグマと溶岩は完全に別の物質
別の起源ではありません。地下ではマグマ、地表へ噴出したものを溶岩と呼びます。ただし、地表へ出る過程で気体が抜けたり冷えたりして状態は変化します。
地下の岩石は温度だけで溶ける
温度は重要ですが、圧力や水なども、溶け始める条件に影響します。
転用する:初見の断面資料
ある断面図では、地下の高温の岩石が上向きに動く場所Xと、海洋プレートが沈み込む場所Yが示されています。
- Xでは、岩石が上昇して圧力が下がることに注目します。
- Yでは、沈み込みに伴う水などの影響に注目します。
- どちらも「地球内部は全部液体だから」と説明しません。
- どちらも、岩石の一部が溶ける条件を資料から選びます。
地図の向きや名称が変わっても、「どの条件が変化したか」を読むと転用できます。
このレッスンの範囲
ここでは、マグマが生じる基本条件と、マグマ・溶岩の違いを学びました。マグマのねばりけと噴火の激しさの関係は、次のセクションで詳しく扱います。
自分で確かめよう
確認1:直接確認
マグマと溶岩の違いを、場所を使って説明してください。答え:地下にある高温の物質をマグマといい、それが地表へ流れ出たものを溶岩といいます。確認2:誤りの修正
「地球内部は高温なので、地下はすべて液体である」を直してください。答え:高温でも固体の岩石が多く、温度・圧力・水などの条件が変わった場所で一部が溶け、マグマが生じます。確認3:初見への転用
高温の岩石が上昇し、温度はほぼ同じまま圧力が下がる資料では、何が起こり得ますか。答え:圧力低下によって岩石の一部が溶け、マグマが生じる可能性があります。まとめと次の一歩
マグマは、地下全体に広がる液体ではありません。固体の岩石が、温度・圧力・水などの条件変化によって一部溶けた高温の物質です。地表へ出ると溶岩と呼びます。
次は、地下のマグマを直接見られないとき、火山性地震・地殻変動・火山ガス・温度をどう組み合わせて観測するかを学びます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。