火山・地震・岩石の模擬入試に挑戦しよう
このレッスンの役割
ここは「火山・地震・岩石の入試総合」セクションの6 / 6、コースの出口です。
前のレッスンでは、長い答案を最初の誤りまで戻って修正しました。今回は、初めて見る複数資料から、設問に必要な証拠を自分で選び、計算・分類・因果説明を一つの答案にまとめます。
このレッスンで完成させる力:問いに合わせて証拠を選び、複数資料を統合して結論をつくる
この先へ持っていく力:別の地球分野でも「問い→証拠→関係→結論」の順で初見資料を解く
問題数をこなすことより、なぜその資料を使うのかを説明できることが目標です。
まず知る:模擬入試の資料セット
ある島弧地域を調査したところ、資料A〜Dが得られました。
資料A 岩石Xの観察
- 大きな結晶が、肉眼では見分けにくい細かな部分に散らばる。
- 有色鉱物が多く、全体に暗い傾向がある。
- 火山の溶岩流から採取された。
資料B 同じ地震の記録
地震発生時刻は10時30分00秒です。
| 地点 | 震源距離 | P波到着 | S波到着 | 震度 |
|---|---|---|---|---|
| A | 80 km | 10時30分10秒 | 10時30分18秒 | 4 |
| B | 160 km | 10時30分20秒 | 10時30分36秒 | 3 |
| C | 120 km | 10時30分15秒 | 10時30分27秒 | 5弱 |
資料C 地図・断面の観察
- 沖合に南北へ延びる海溝がある。
- 海溝の東側が海、西側が陸地である。
- 震源は海溝付近で浅く、西へ行くほど深い。
- 火山は海溝より西側の陸地に帯状に並ぶ。
資料D 火山周辺の防災地図
- 谷沿いに火山泥流の想定区域が延びる。
- 海岸低地には津波浸水想定区域がある。
- 高台の避難所へ向かう二つの経路のうち、一方は谷を横切る。
- 地図は想定であり、実際の災害範囲を完全に示すものではない。
理解する:設問ごとに資料の役割を変える
同じ資料でも、設問によって使い方が変わります。
- 岩石名を考えるなら資料Aの組織と鉱物を使う。
- 地震波の速さなら資料Bの距離・発生時刻・到着時刻を使う。
- 火山帯の位置なら資料Cの海溝・震源の深さ・火山分布を使う。
- 避難経路なら資料Dの想定区域・谷・高台を使う。
- 地域全体の成り立ちならA〜Cを因果でつなぐ。
全部の数値を答案に入れる必要はありません。問いに必要な証拠を選ぶことが、総合問題の中心技能です。
使う:模擬入試を解く
問1 岩石Xのでき方
岩石Xの組織から、冷え方を説明し、代表的な岩石名の候補を答えなさい。
解き方
大きな結晶と細かな部分が混じるため、斑状組織です。地下で一部の結晶が育ったあと、地表付近で残りが急に冷えた火山岩と判断します。有色鉱物が多く暗い傾向から、玄武岩側の候補が強くなります。
答案例:
「岩石Xは斑晶と石基からなる斑状組織なので、地下で一部の結晶が育った後、地表付近で急に冷えたと考えられる。有色鉱物が多いことも合わせると、玄武岩の可能性が高い。」
問2 地震波の計算
地点Cの初期微動継続時間とP波の速さを求めなさい。
解き方
初期微動継続時間:27 − 15 = 12秒
P波が伝わった時間:10時30分15秒 − 10時30分00秒 = 15秒
P波の速さ:120 km ÷ 15 s = 8 km/s
答案では、到着時刻15秒をそのまま速さの分母にしたのではなく、発生から15秒かかったことを確認します。
問3 震度資料を説明する
地点Cは地点A・Bより震源距離が中間なのに、震度が最も大きい。この結果から言えることを答えなさい。
解き方
震源距離だけでは、地点の震度が決まらないことが分かります。地盤、震源の深さ、揺れの伝わり方など、別の条件も考える必要があります。
「地点Cのマグニチュードが大きい」とは言えません。同じ一つの地震についての資料だからです。
問4 地震と火山の分布
資料Cから、海洋プレートが沈み込む向きと、火山帯ができる仕組みを説明しなさい。
解き方
海溝から西へ震源が深くなるため、海洋プレートは西側の地下へ沈み込むと考えます。沈み込みに伴う水などの影響で上側のマントルの一部が溶けやすくなり、マグマが上昇して西側の陸地に火山帯をつくります。
問5 岩石とプレートを統合する
資料AとCを使い、岩石Xがこの地域で見つかる理由を説明しなさい。
解き方
資料Cから沈み込み帯でマグマが生じ、火山へ上昇することを説明します。資料Aから、そのマグマの一部が地表へ噴出し、急に冷えたことを説明します。
答案例:
「海洋プレートの沈み込みに伴う水などの影響で、上側のマントルにマグマが生じる。上昇したマグマが火山から噴出し、地下で育った結晶を含んだまま地表付近で急に冷えたため、斑状組織の岩石Xができた。」
問6 防災行動
火山活動と大きな地震が続いたとき、資料Dから避難経路を選ぶ際の注意を二つ答えなさい。
解き方
- 火山泥流の想定区域である谷沿い・谷を横切る経路を避ける。
- 津波の危険がある海岸低地から離れ、高台の避難所へ向かう。
- 実際には最新の公的な避難情報や現地の指示を優先する。
防災地図は危険をゼロか一かに分ける図ではなく、想定される危険を事前に比較する資料です。
誤答をその場で修正する
模擬入試では、次のチェックを各問の後に行います。
| チェック | 自分への問い |
|---|---|
| 問い | 冷え方、数値、理由、行動のどれを求められたか |
| 証拠 | 答案の各文は、どの資料のどこに支えられるか |
| 関係 | 組織、速さ、尺度、沈み込みのどの規則を使ったか |
| 範囲 | 「必ず」「すべて」と言い過ぎていないか |
| 単位 | 秒、km、km/sを正しく付けたか |
誤りを見つけたら、最後の答えだけでなく、最初に証拠と合わなくなった行へ戻ります。
転用する:条件が変わった地域
別地域Yでは、海溝から北へ行くほど震源が深く、火山は北側に並びます。ある岩石はほぼ同じ大きさの結晶からなり、全体に明るい傾向です。
この地域でも手順は同じです。
- 震源が北へ深くなる → プレートは北側の地下へ沈み込む。
- 沈み込みに伴ってマグマが生じ、北側に火山帯ができる。
- 同じ大きさの結晶 → 等粒状組織 → 地下でゆっくり冷えた深成岩。
- 明るい傾向 → 花こう岩側の候補。
- 日本で覚えた東西の向きを使わず、資料Yの証拠から結論をつくる。
数値・方位・岩石の見た目が変わっても、証拠を選ぶ順番は変わりません。
このレッスンで身につけたもの
このコースで扱った知識は、火山・地震・岩石という別々の暗記事項ではありません。
- マグマの冷え方は、岩石の組織に記録される。
- 地下の破壊は、速さの異なるP波とS波として伝わる。
- プレートの沈み込みは、地震の深さの分布と火山帯に表れる。
- 防災判断は、科学的な資料と最新情報を使って行う。
これらを「問い→証拠→関係→結論」でつなげられれば、初見の入試問題にも対応できます。
自分で確かめよう
確認1:直接確認
地点Cの初期微動継続時間とP波の速さは何ですか。答え:12秒、8 km/sです。確認2:誤りの修正
「地点Cの震度が最大なので、地点Cのマグニチュードが最大」の誤りは何ですか。答え:震度は地点ごとの揺れ、マグニチュードは一つの地震そのものの規模です。同じ地震で地点ごとのMを比べることはできません。確認3:初見への転用
海溝から南へ震源が深くなる資料では、何を根拠にプレートの向きを決めますか。答え:海溝から震源が深くなる南側へ、プレートが沈み込むと考えます。地図の固定した向きではなく、震源深度の並びを根拠にします。まとめ
初見問題では、すべての資料を無理に使いません。設問を読み、必要な証拠を選び、関係を使い、問いに合う結論をつくります。答案が崩れたら、最初に証拠と合わない一行へ戻ります。
これで「火山・地震・岩石」コースの学習は一区切りです。ここで身につけた資料統合の方法を、地層・気象・天体など別の地球分野にも使っていきましょう。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。