S波の速さを求め、P波と比べよう
このレッスンの役割
ここは「火山・地震・岩石」コースの「地震波の速さを計算しよう」セクション(11 / 15)、全6レッスン中の4番目です。
前から受け取る力:震源距離とP波が伝わった時間から、P波の平均の速さを求める力
今回完成させる力:S波の平均の速さを求め、P波と同じ単位で数量比較する力
次へ渡す力:時間の種類や単位を取り違えた速さの誤答を診断する力
このレッスンでは、P波とS波を別々に計算してから比べます。先に「P波の方が速い」と暗記した答えへ合わせるのではなく、資料の値から確かめます。
まず予想しよう
震源距離84 kmの地点で、地震発生からP波到着まで14秒、S波到着まで24秒でした。
同じ84 kmを進むなら、短い14秒で到着したP波と、24秒かかったS波のどちらが速いでしょう。
同じ距離では、短い時間で届く方が速いのでP波です。次に、どれだけ速いかを計算します。
知る:二つの波を同じ形で計算する
P波とS波は、どちらも次の式で求めます。
波の平均の速さ = 震源距離 ÷ その波が伝わった時間
今回の資料では、
P波:84 km ÷ 14秒 = 6 km/s
S波:84 km ÷ 24秒 = 3.5 km/s
したがって、6 km/sのP波の方が、3.5 km/sのS波より速いと分かります。
理解する:時間が長い方を速いとしない
速さは、時間の数値そのものではありません。
同じ距離なら、
- かかった時間が短い → 速い
- かかった時間が長い → 遅い
となります。
24秒は14秒より大きいので「S波の方が速い」と考えるのは、時間と速さの大小を同じ向きに見た誤りです。競走でも、同じゴールまで短い時間で着いた選手の方が速いのと同じです。
三つの時間を区別する
今回の資料には三つの時間が出ます。
| 時間 | 区間 | 値 |
|---|---|---|
| P波が伝わった時間 | 地震発生→P波到着 | 14秒 |
| S波が伝わった時間 | 地震発生→S波到着 | 24秒 |
| 初期微動継続時間 | P波到着→S波到着 | 10秒 |
S波の速さは84÷24で求めます。84÷10ではありません。
10秒は二つの到着差であり、S波が震源から84 km進むのにかかった時間ではないからです。
使う:完全例題から自力へ
例題1:同じ地点で比較する
震源距離72 km
P波の伝わった時間12秒
S波の伝わった時間20秒
P波:72÷12=6 km/s
S波:72÷20=3.6 km/s
6>3.6なので、P波の方が2.4 km/s速いと分かります。
速さの差は、
6−3.6=2.4 km/s
です。
例題2:時刻から作る
地震発生10時05分00秒
P波到着10時05分15秒
S波到着10時05分25秒
震源距離90 km
P波の時間:15秒
S波の時間:25秒
P波:90÷15=6 km/s
S波:90÷25=3.6 km/s
初期微動継続時間10秒を、S波の時間として使わないことがポイントです。
例題3:自分で途中を埋める
震源距離108 km、P波18秒、S波30秒です。
P波の速さ
108÷18=6 km/sです。S波の速さ
108÷30=3.6 km/sです。比較
6>3.6なのでP波の方が速く、速さの差は2.4 km/sです。転用する:表やグラフから判定する
次の表では、距離が異なります。
| 波 | 距離 | 伝わった時間 |
|---|---|---|
| A | 96 km | 16秒 |
| B | 70 km | 20秒 |
A:96÷16=6 km/s
B:70÷20=3.5 km/s
距離だけならAの方が長く、時間だけならBの方が長い資料です。一秒あたりへそろえることで、Aの方が速いと判断できます。
距離と時間のグラフでも、同じ一点の距離÷時間を計算します。軸が逆でも、値の意味を確認すれば方法は変わりません。
計算結果を現象へ戻す
計算でP波6 km/s、S波3.5 km/sとなったら、P波の方が先に到着するという波形の観察と一致します。
もし計算結果がS波の方が速くなったら、次を見直します。
- P波とS波の到着時刻を逆に読んでいないか
- S波の時間に初期微動継続時間を使っていないか
- 距離÷時間の順になっているか
- kmと秒へ単位をそろえたか
答えを現象へ戻す検算が、計算ミスを見つけます。
誤答を原因から直そう
誤答1:S波は24秒だから24 km/s
伝わった時間をそのまま速さにしています。距離84 kmを24秒で割ります。
誤答2:S波の速さは84÷10=8.4 km/s
10秒は初期微動継続時間です。S波が伝わった24秒を使います。
誤答3:24秒は14秒より大きいのでS波の方が速い
同じ距離では、短い時間で届く方が速いです。速さを距離÷時間で比べます。
誤答4:P波はkm/s、S波はkm/minのまま比べる
単位が異なる数値はそのまま比べられません。両方をkm/sなど同じ単位へそろえます。
誤答5:P波6、S波3.5と単位を書かない
求めた量が速さだと分かるよう、両方にkm/sを付けます。
初見の説明へ使う
「なぜ初期微動があるのか」と問われたら、計算結果を根拠に説明できます。
「資料からP波は6 km/s、S波は3.5 km/sと求められ、P波の方が速い。そのためP波が先に到着し、S波が届くまでの間が初期微動になる。」
知識だけでなく、数値を証拠にした説明です。
このレッスンの理解チェック
確認1:S波の速さに使う時間は?
地震発生からS波到着までの時間です。確認2:震源距離80 km、S波20秒なら?
80÷20=4 km/sです。確認3:P波6 km/s、S波4 km/sならどちらが速い?
P波です。6>4です。確認4:初期微動継続時間をS波の伝わった時間にできない理由は?
それはP波到着からS波到着までの差で、地震発生からS波到着までの時間ではないからです。確認5:計算でS波の方が速くなったら?
到着点、使った時間、割る順番、単位を見直します。次のレッスンへ
今回は、S波の平均の速さを距離÷時間で求め、P波と同じ単位で比べました。
次は、到着時刻・伝わった時間・初期微動継続時間、km/sとkm/minなどの取り違えを、誤答の最初のずれから修正します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。