未知の鉱物・組織資料から火成岩を総合判定しよう
このレッスンは「鉱物と火成岩を分類する」6レッスン中の最後です。鉱物の特徴、組織、割合、冷え方を一つの問題の中で結びます。資料が全部そろっていない場合も、どこまで言えて何が不足するかを判断します。
前から受け取る力:一つの目立つ特徴に頼る誤答を、組織と鉱物割合の二軸へ戻して直す
今回完成させる力:複数資料を選び、未知の火成岩名とでき方を証拠つきで説明する
次へ渡す力:次の「地震の震源と震央」で、平面図と断面図を使って地下の位置を復元する
まず知る
総合判定では、資料ごとの役割を分けます。
| 資料 | 分かること | 直接は分からないこと |
|---|---|---|
| 鉱物の拡大写真 | 鉱物の候補、形、割れ方 | 岩石全体での割合 |
| 組織写真 | 斑状組織か等粒状組織か | 鉱物の正確な種類 |
| 鉱物割合表 | 無色・有色鉱物の割合 | 冷えた場所 |
| 地下断面図 | マグマが冷えた場所の候補 | 標本の岩石名そのもの |
| 冷却実験 | 冷却速度と結晶サイズの関係 | 自然の岩石の全履歴 |
解く順番は「求めるものを確認→各資料から事実を拾う→組織で行を決める→鉱物割合で列を決める→でき方で確かめる」です。結論が資料と逆なら、結論を押し通さず、資料の対応や読み方を見直します。
理解する
資料は多ければよいのではなく、同じ役割の情報を重ねすぎないことが大切です。表面色の写真を三枚見ても、組織がなければ火山岩と深成岩を区別できません。一方、組織写真と鉱物割合表は別の軸を決めるため、組み合わせる価値があります。
でき方の資料は、分類結果を確かめる役割をもちます。等粒状組織で有色鉱物が多いなら、二軸表でははんれい岩です。さらに地下深くでゆっくり冷えたという資料があれば、深成岩という判定と一致します。ただし、地下で採れたという場所だけから岩石名を決めるのではなく、組織と鉱物割合を中心にします。
証拠が矛盾したように見える場合は、次を疑います。
- 写真と割合表が別の標本ではないか
- 写真の倍率が高すぎて視野全体を示していないのではないか
- 風化面と新鮮な面を混同していないか
- 無色・有色鉱物の分類や合計を計算し間違えていないか
- 問題独自の境界や凡例を見落としていないか
矛盾を見つけることは失敗ではなく、資料を点検する入口です。
使う
未知試料Xの資料は次の通りです。
- 組織写真:結晶がほぼ同じ大きさで組み合っている
- 鉱物割合:長石35%、輝石45%、かんらん石20%
- 産状:地下の大きな岩体から採取された
無色鉱物は長石35%、有色鉱物は45+20=65%です。等粒状組織なので深成岩の行、有色鉱物が多いので右列です。交点ははんれい岩です。地下でゆっくり冷えたという産状も、深成岩の特徴と一致します。
記述例: 「試料Xは、結晶がほぼ同じ大きさの等粒状組織であり、有色鉱物が65%と多い。深成岩の行と有色鉱物が多い列の交点に当たるため、はんれい岩と判定できる。地下でゆっくり冷えたという産状もこの判定と一致する。」
未知試料Yは無色鉱物75%ですが、組織写真がありません。この場合、無色鉱物が多い列までは決まり、候補は流紋岩と花こう岩です。斑状か等粒状かを確かめる写真が必要です。資料不足のときに候補を二つへ絞れることも、立派な判定です。
確認1:直接確認
斑状組織で、有色鉱物が多い試料は何ですか。火山岩の行と右列の交点なので玄武岩です。確認2:誤りを修正
等粒状組織・無色鉱物70%の標本を「白っぽいから流紋岩」とした誤りを直してください。等粒状組織なので深成岩の行です。無色鉱物が多い列との交点は花こう岩です。確認3:別資料へ転用
組織写真は斑状、割合表は有色鉱物75%なのに、解答欄には「はんれい岩」とあります。どう直しますか。斑状組織は火山岩の行なので、右列との交点は玄武岩です。はんれい岩は等粒状組織の場合です。転用する
入試の初見問題では、次の短いメモを余白に作ります。
- 求めるもの:岩石名 / でき方 / 必要な追加資料
- 行の証拠:斑状 / 等粒状
- 列の証拠:無色多 / 中間 / 有色多
- 確認資料:冷却場所・鉱物の特徴
- 結論の強さ:断定 / 候補二つ / 追加資料が必要
この形にすれば、資料が文章、写真、表、グラフのどれで出ても同じ考え方を使えます。そして岩石名だけで終わらず、「どの証拠がどの判断を支えたか」を説明できます。
このセクションでは、物質の特徴から岩石を分類し、そのでき方まで復元しました。次の「地震の震源と震央」では対象が物質から位置へ変わりますが、複数の資料を役割ごとに分け、見えない地下を復元する考え方は同じです。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。