プレート断面から地震・火山・岩石を説明しよう
このレッスンの役割
ここは「火山・地震・岩石の入試総合」セクションの4 / 6です。
前のレッスンでは、複数地点の波形・時刻・距離を統合しました。今回は、地図に見える地震と火山の分布を、地下のプレート断面と結びつけます。
このレッスンで完成させる力:分布図と断面図を往復し、プレートの沈み込みから地震・マグマ・火山・岩石までを因果で説明する
次へ渡す力:長い総合答案のどこで論理が崩れたかを見つけて修正する
まず知る:観測事実とモデルを分ける
資料問題では、「実際に観測されたもの」と「見えない地下を説明するモデル」を区別します。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 観測事実 | 地震の震央・震源の深さ、火山の位置、岩石の組織 |
| モデル | 海洋プレートの沈み込み、上側のマントルでのマグマ発生 |
| 推論 | 地震が深くなる並びから、沈み込むプレートの傾きを考える |
| 予測 | 同じ仕組みなら、別の断面でも地震や火山の帯が現れる |
断面図の線や矢印は、地下を直接撮影したものではありません。観測された地震波や分布など、多くの証拠と合うようにつくられたモデルです。
理解する:海溝から火山までの因果
沈み込み帯では、次の順で考えます。
- 海洋プレートが大陸側のプレートの下へ沈み込む。
- プレートどうしの境界付近に力がたまり、岩盤が急にずれて地震が起こる。
- 沈み込むプレートに沿って、震源が陸側ほど深くなる帯が見られる。
- 沈み込んだプレートから供給される水などの影響で、その上のマントルの一部が溶けやすくなる。
- 生じたマグマが上昇し、一部は地下でゆっくり冷え、一部は地表へ噴出して急に冷える。
- 地下で冷えれば深成岩、地表付近で冷えれば火山岩ができる。
「沈み込んだプレートそのものが、そのまま全部溶けてマグマになる」と書くのは正確ではありません。中学校では、沈み込みに伴う水などの影響で、上側のマントルが部分的に溶けてマグマが生じる、とつなぐとよい説明になります。
図の左から右へ線を追うだけでなく、地震の黄色い点がどの線に沿うか、火山が海溝の真上ではなく陸側に並ぶことにも注目します。
使う:分布図と断面図を統合する
ある地域の資料に、次の特徴が示されました。
- 海岸の沖に細長い海溝がある。
- 浅い地震は海溝近くに多い。
- 内陸へ進むほど、震源が深くなる傾向がある。
- 火山は海溝より陸側に帯状に並ぶ。
- 火山の地下から、等粒状組織の火成岩が見つかった。
手順1 地図の並びを言葉にする
「海溝→浅い地震→陸側ほど深い地震→さらに陸側に火山帯」という位置関係を読みます。
手順2 断面図の向きを決める
海溝から陸側へ深くなる震源の並びに沿って、海洋プレートが沈み込む向きを描きます。深さの数値があるときは、地図上の距離だけでなく縦軸の縮尺も確認します。
手順3 地震を説明する
プレート境界付近では、押し合う力や摩擦によって岩盤にひずみがたまり、急なずれで地震が起こります。沈み込むプレート内部でも地震が起こるため、震源が斜めの帯に並びます。
手順4 火山を説明する
沈み込んだプレートから供給される水などの影響で、上側のマントルの一部が溶けやすくなります。生じたマグマが上昇し、陸側に火山帯をつくります。
手順5 岩石を説明する
等粒状組織は、地下で結晶がほぼ同じ大きさまで育つ時間があった証拠です。火山の地下で上昇途中のマグマがゆっくり冷え、深成岩になったと考えられます。
答案にする
「海溝から陸側へ震源が深く並ぶことから、海洋プレートが陸側のプレートの下へ沈み込むと考えられる。プレート境界や内部のずれで地震が起こり、沈み込みに伴う水などの影響で上側のマントルにマグマが生じる。マグマは上昇して火山をつくり、地下でゆっくり冷えた部分は等粒状組織の深成岩となる。」
観測事実、モデル、火山・岩石への結論が一つの鎖になっています。
よくある誤りを直す
| 誤り | 直すポイント |
|---|---|
| プレートは海溝から真下へ沈む | 震源の深さの並びから傾きを読む |
| 沈むプレートが全部溶ける | 水などの影響で上側のマントルが部分的に溶ける |
| 地震はすべてプレート境界だけで起こる | プレート内部や活断層などでも起こる |
| 火山は海溝の真上に並ぶ | マグマ発生と上昇の位置を断面で確認する |
| 火山がある所は必ず同じ岩石 | 冷え方と鉱物の証拠で判断する |
また、世界の火山がすべて沈み込み帯にあるわけではありません。入試資料に示された地域の条件を確認し、その範囲で説明します。
転用する:別地域の断面を読む
資料Xでは、海溝の東側に海があり、西側に陸地があります。震源は東側で浅く、西へ行くほど深くなります。火山は西側の陸地に並びます。
- 震源が深くなる西向きに、プレートが沈み込むと考える。
- 火山帯は沈み込む側の上ではなく、その上にある西側プレート上に位置する。
- 火山の溶岩が斑状組織なら、地下で斑晶が育ったあと地表付近で急冷したと考える。
- 地図の東西が逆の問題でも、「海溝→震源が深くなる向き→火山帯」の順で決める。
覚えた日本地図の向きを当てはめるのではなく、資料中の証拠から向きを復元することが転用です。
このレッスンの範囲
ここでは、沈み込み帯の分布図と断面図を使い、地震・火山・火成岩を因果で結びました。次は、総合答案の誤りを最初の一行から見つけて直します。
自分で確かめよう
確認1:直接確認
沈み込み帯で、震源が陸側ほど深くなることは何を示しますか。答え:海洋プレートが海溝から陸側の地下へ斜めに沈み込むことを示す証拠になります。確認2:誤りの修正
「沈み込んだ海洋プレートが全部溶けて、そのままマグマになる」を直してください。答え:沈み込みに伴う水などの影響で、上側のマントルの一部が溶けやすくなり、マグマが生じます。確認3:初見への転用
海溝から北へ行くほど震源が深く、火山が北側に並ぶ資料では、プレートはどちらへ沈み込むと考えますか。答え:海溝から北側の地下へ向かって沈み込むと考えます。まとめと次の一歩
分布図では位置の並びを読み、断面図では深さと傾きを読みます。「沈み込み→地震」「沈み込みに伴う水など→上側マントルの部分融解→マグマ→火山・火成岩」と因果を切らずにつなぎます。
次は、この知識を使いながら、長い答案の最初の誤りを特定して修正します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。