大きな結晶一つで深成岩とする誤答を直そう
このレッスンの役割
ここは6レッスン中の5番目です。これまでに、組織の見分け、写真測定、二段階冷却、サイズ分布を学びました。今回は、一つの目立つ結晶や色だけで分類する誤答を修正します。
今回完成させる力は、誤答の最初の飛躍を見つけ、岩石全体の分布と冷却履歴を使う説明へ直すことです。次の最終レッスンでは、尺度つき未知写真を総合判定します。
まず知る
典型的な誤答を整理します。
| 誤答 | 最初の誤り | 修正 |
|---|---|---|
| 大結晶があるから深成岩 | 一つを全体扱い | 周囲が石基か見る |
| 粒が見えないから結晶なし | 観察限界を無視 | 倍率を上げる |
| 全部同じ色だから等粒状 | 色とサイズを混同 | 結晶径を測る |
| 斑晶は大きいので最後にできた | 成長時間を逆にした | 斑晶が先、石基が後 |
| 平均2 mmだから一群 | 分布を平均で隠した | 山の数を見る |
| 写真上で大きいから大結晶 | 倍率を無視 | 実寸へ換算 |
修正順序は「尺度→全体分布→斑晶と石基→冷却履歴」です。
理解する
一つの大結晶だけを切り取ると、等粒状組織の一部にも斑状組織の斑晶にも見えます。周囲を見て初めて区別できます。
- 周囲が同程度の結晶:等粒状の可能性
- 周囲が非常に細かい石基:斑状の可能性
- 周囲が写っていない:判定不能
石基は「結晶ではないただの粉」ではありません。細かな結晶や、急冷で結晶として十分成長できなかった部分などからなります。
使う
誤答A:
「5 mmの結晶が一つあるので等粒状組織である。」
修正:
「一つの結晶だけでは判定できない。周囲が0.1 mm未満の細かな部分で、同様の大結晶が点在するなら斑状組織である。同程度の結晶が全体に組み合わさるなら等粒状組織である。」
誤答B:
「写真Aは写真Bより粒が大きく見えるので、Aの結晶が大きい。」
Aは50倍、Bは10倍でした。写真上の見かけではなくスケールバーから実寸へ直します。
誤答C:
「斑晶は大きいので、石基の後に急にできた。」
結晶は急に大きくなりません。斑晶は地下で先に成長し、残りが後で急冷して石基になります。
誤答D:
「平均結晶径が同じなので、二つの試料は同じ組織である。」
平均が同じでも、一方が二群、他方が一群なら組織は異なります。ヒストグラムや範囲を確認します。
転用する
未知写真Eには、白い大結晶が一つと黒い細粒部が写っています。しかし写真範囲が2 mm四方しかありません。
斑状組織の可能性はありますが、視野が狭すぎます。別の場所も撮影し、大結晶が繰り返し現れるかを確認します。
未知試料Fには大結晶が多数ありますが、周囲も1〜3 mmの結晶です。これは「大結晶が多数」という印象だけなら斑状に見えますが、実際は同程度の結晶が組み合わさる等粒状の可能性があります。
答案修正のチェック:
- 倍率・スケールはあるか
- 一つでなく全体を見たか
- 大きさの山は一つか二つか
- 斑晶と石基を正しく対応したか
- 冷却の順番は合っているか
- 証拠不足を断定していないか
確認1:大きな結晶一つで深成岩とできない理由は?
斑状組織の斑晶か、等粒状組織の一部か区別できず、周囲のサイズ分布が必要だからです。確認2:「斑晶は後からできた」が誤りなのはなぜ?
大きな斑晶は地下で長く成長して先にでき、残りが後で急冷して細かな石基になるからです。確認3:平均値が同じ二試料で見るべき追加情報は?
サイズ分布の山の数、範囲、面積割合、複数視野での再現性です。まとめ
一つの大結晶、色、写真上の見かけ、平均値だけで組織を決めません。尺度を確認し、岩石全体のサイズ分布から斑晶・石基・等粒性を読み、冷却履歴へつなぎます。次は未知写真でこの修正力を使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。