初期微動継続時間を求めよう
このレッスンの役割
ここは「火山・地震・岩石」コースの「P波・S波と初期微動」セクション(9 / 15)、全6レッスン中の5番目です。
前から受け取る力:時刻軸の一目盛りを求め、P波・S波の到着時刻を正確に読む力
今回完成させる力:P波到着からS波到着までの時間を、時刻の差として求める力
次へ渡す力:複数地点の記録を表に整理し、初期微動継続時間を比較する力
このレッスンでは、公式を覚えるだけでなく、「なぜその二つの時刻を引くのか」「なぜ引く順番はS波−P波なのか」を時間の流れで説明できる状態を目指します。
まず考えよう:何秒間、小さく揺れた?
ある観測地点で、P波は10時02分08秒、S波は10時02分15秒に到着しました。
P波が届くと初期微動が始まり、S波が届くと主要動が始まります。では、初期微動は何秒間続いたでしょう。
8秒から15秒までを、指で一秒ずつ数えると、
8 → 9 → 10 → 11 → 12 → 13 → 14 → 15
となります。数字は8個見えますが、経過した時間は7秒です。時刻そのものではなく、二つの時刻の「間の長さ」を求めるからです。
知る:始まりと終わりを決める
初期微動継続時間とは、P波が到着してからS波が到着するまでの時間です。
- 始まり:P波の到着時刻
- 終わり:S波の到着時刻
- 求めるもの:終わりの時刻と始まりの時刻の差
式にすると、
初期微動継続時間 = S波到着時刻 − P波到着時刻
となります。「後に届くS波から、先に届くP波を引く」と言葉でも確認すると、順番を間違えにくくなります。
理解する:なぜ「S波−P波」なのか
時間の長さは、「終わりの時刻−始まりの時刻」で求めます。
授業が9時00分に始まり9時50分に終わるなら、50分−0分=50分です。初期微動も同じで、S波到着が終わり、P波到着が始まりです。
上の図では、
15秒 − 8秒 = 7秒
です。
8秒と15秒を引く順番を逆にして−7秒となったら、それは「15秒から8秒へ時間を逆向きに進んだ」計算です。継続時間は時間の長さなので、この場面では0以上になります。
もう一つ大切なのは、P波到着からS波到着までを数えることです。地震が発生した時刻や、主要動が終わった時刻は使いません。
使う:基本の三段階
例題1:同じ分の中
P波到着:10時25分14秒
S波到着:10時25分22秒
時と分は同じなので、秒だけを引けます。
22秒 − 14秒 = 8秒
答え:初期微動継続時間は8秒
答えの後に「P波からS波まで」と書き添えると、何の時間かがはっきりします。
例題2:小数を含む時刻
P波到着:10時12分03.5秒
S波到着:10時12分11.0秒
11.0秒 − 3.5秒 = 7.5秒
答え:7.5秒
時刻軸が0.5秒刻みなら、答えも0.5秒単位になることがあります。問題に四捨五入の指示がなければ、勝手に整数へ丸めません。
例題3:分をまたぐ時刻
P波到着:9時59分58秒
S波到着:10時00分06秒
6−58とすると負の数になります。この場合は、分の境目で二つに分けます。
9時59分58秒 → 10時00分00秒:2秒
10時00分00秒 → 10時00分06秒:6秒
2秒 + 6秒 = 8秒
答え:8秒
別の方法として、P波到着時刻の58秒から60秒までに2秒、その後6秒と考えても同じです。
自分で使う:途中まで解いてみよう
P波が14時18分56.5秒、S波が14時19分04.0秒に到着しました。
まず、56.5秒から次の19分00秒までの時間を求めてください。
前半を確認する
60.0−56.5=3.5秒です。次に、19分00秒から04.0秒までを足します。
答えを確認する
3.5+4.0=7.5秒です。初期微動継続時間は7.5秒です。転用する:波形から一続きで求める
入試問題では、P波・S波の到着時刻が文章で与えられるとは限りません。波形と時刻軸から自分で読み、その後に差を求めます。
一続きの手順は次の通りです。
- 一目盛りの秒数を求める。
- 小さな揺れが続けて始まるP波到着点を読む。
- 大きな揺れが続けて始まるS波到着点を読む。
- S波到着時刻−P波到着時刻を計算する。
- 単位を秒で書き、答えが0以上か確かめる。
たとえば、一目盛り0.5秒の波形で、P波が12.0秒、S波が17.5秒なら、
17.5−12.0=5.5秒
です。
「目盛りを読む力」と「時間差を計算する力」を別々に確認すると、間違えた場所を見つけやすくなります。
誤答を原因から直そう
誤答1:P波14秒、S波22秒だから14−22=−8秒
引く順番が逆です。時間の流れに沿って、後のS波から先のP波を引きます。
22−14=8秒
誤答2:8秒から15秒まで数字が8個あるので8秒
数えているのは数字の個数です。求めるのは時刻の間の長さなので、15−8=7秒です。数直線なら線と線の「区間」を数えます。
誤答3:地震発生からS波到着までを引く
それはS波が震源から観測地点まで進んだ時間に関係する量で、初期微動継続時間ではありません。初期微動はP波到着から始まります。
誤答4:主要動が終わるまでを含める
初期微動の終わりは、主要動の終わりではなく、主要動の始まりです。S波到着点で区切ります。
初めて見る問題で説明してみよう
次の型を使わずに、自分の言葉で説明できるか試してください。
「初期微動は_____波が到着してから_____波が到着するまでなので、波の到着時刻から_____波の到着時刻を引く。計算は−_____=_____秒。」
式だけでなく、始まりと終わりを説明できれば、分をまたぐ時刻や小数でも判断を立て直せます。
このレッスンの理解チェック
確認1:P波12秒、S波19秒なら何秒?
19−12=7秒です。確認2:P波が11時03分57秒、S波が11時04分05秒なら何秒?
57秒から次の分まで3秒、そこから5秒なので、3+5=8秒です。確認3:P波5.5秒、S波11.0秒なら何秒?
11.0−5.5=5.5秒です。確認4:計算結果が−6秒になったら何を見直す?
S波到着時刻からP波到着時刻を引いたか、到着点を逆に読んでいないかを確認します。確認5:初期微動継続時間を求めるのに主要動終了時刻は必要?
必要ありません。使うのはP波到着時刻とS波到着時刻です。次のレッスンへ
今回は、初期微動の始まりと終わりを確認し、S波到着時刻−P波到着時刻で継続時間を求める力を完成させました。
次は、複数の観測地点について同じ計算を行い、結果を表に整理して比べます。一地点で正確に求める力が、複数資料を読み解く土台になります。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。