P波とS波の違いを比べよう
このレッスンで完成させること
ここは「P波・S波と初期微動」セクションの2 / 6です。
前から受け取る力:P波とS波がほぼ同時に出発し、速さの違いで二段階の揺れになると説明できる
今回完成させる力:P波とS波を複数の観点で比べ、資料のどこを根拠に判定したか説明できる
次へ渡す力:地震計の波形からP波・S波の到着点を探す
単語を一対一で覚えるだけでなく、「どの情報なら判定に使えるか」を選ぶことが今回の中心です。
45秒チャレンジ
次のうち、P波とS波を正しく比べている文はどれでしょうか。まずは一つ選び、根拠も考えてください。
- P波は振れが小さいので速く、S波は振れが大きいので遅い
- P波はS波より速いため先に届き、S波は後から届く
- P波が伝わり終わった後に、S波が震源から出発する
予想してから答えを確認する
正しいのはBです。速さと振れの大きさは別の性質です。また、P波とS波は一つの地震で震源からほぼ同時に出発します。比べる観点を四つ持とう
| 観点 | P波 | S波 |
|---|---|---|
| 伝わる速さ | 速い | P波より遅い |
| 観測地点へ届く順 | 先 | 後 |
| 対応する揺れ | 初期微動の始まり | 主要動の始まり |
| 地面の動き方 | 波の進む向きと平行な押し引き | 波の進む向きに対して垂直なずれ |
中学理科の資料問題で最もよく使うのは、最初の三つです。四つ目は、二つが異なる種類の波であることをイメージする助けになります。
P波のPはPrimary(最初の)、S波のSはSecondary(二番目の)を表します。「Pだから小さい」「Sだから大きい」という意味ではありません。
揺れ方の違いを図でつかむ
ばねやロープの一部分に印を付け、その印がどう動くかを想像します。波そのものは前へ伝わりますが、印を付けた部分が観測地点まで移動するわけではありません。
この図で注意したいのは、矢印が二種類あることです。
- 横向きの長い矢印:波が伝わる向き
- 赤い矢印:その場所の地面が動く向き
「波が進むこと」と「地面そのものが遠くまで移動すること」を混同しないようにします。
知識を理解へ変える
比較表を覚えただけでは、資料の見た目が変わると迷います。次の因果で理解します。
P波の方が速い
→ 同時に出発してもP波が先に到着する
→ P波到着からS波到着までが初期微動になる
→ S波が届くと主要動が始まる
ここで「速さ」と「振幅」を分けてください。
速さは、波が一定の距離をどれだけ短い時間で伝わるかです。
振幅は、地震計の線が基準線からどれだけ大きく振れるかです。
速い波ほど必ず大きく振れる、という法則はありません。
自分で使う体験1:二つの根拠で判定する
ある観測地点で、10時05分12秒に揺れが始まり、10時05分19秒から大きな揺れへ変わりました。
次の問いへ答えてください。
- 12秒に届いた波は何か
- 19秒に届いた波は何か
- 判定に使った根拠を二つ挙げる
自分で答えてから説明例を見る
12秒に届いたのはP波、19秒に届いたのはS波です。根拠は、P波の方が速く先に届くことと、S波の到着によって主要動が始まることです。「12秒の振れが小さかったから」だけでなく、到着順と揺れの変化を組み合わせます。一つの特徴だけで決めず、少なくとも二つの根拠が一致しているか確認すると、見慣れない資料でも安定して判断できます。
自分で使う体験2:表示のしかたにだまされない
地震計Aは縦軸を大きく拡大し、地震計Bは縦軸を小さく表示しています。Aの最初の振れは、Bの主要動より画面上で大きく見えました。
「Aの最初の振れの方が大きいから、AではS波が先に届いた」と判断してよいでしょうか。
理由を考えてから開く
判断してはいけません。装置の倍率や縦軸の縮尺が違えば、線の高さをそのまま比べられません。また、同じ地震ではP波が先、S波が後という到着順は変わりません。各記録の横軸と、揺れ始め・主要動の始まりを読みます。ここで使ったのは、「振幅ではなく到着順を根拠にする」という知識の選択です。
誤答の原因を見つけよう
生徒Bは言いました。
「P波は小さく揺れる波、S波は大きく揺れる波だから、波形の一番高い山がS波の到着時刻だ。」
どこまで正しく、どこから誤っているでしょうか。
誤りを分解して確認する
初期微動が比較的小さく、主要動が比較的大きいという傾向はあります。しかし「一番高い山がS波の到着時刻」という部分が誤りです。到着時刻は、大きな揺れが始まった最初の点です。最大の振れは、S波到着より後に現れることがあります。生徒Bは「揺れの大きさ」と「到着の瞬間」を混同しています。誤答を直すときは、「違う」で終わらず、混同した二つの量を言い分けます。
初見の資料へ転用しよう
次の二つの説明のうち、観測記録からP波を判定する方法として適切なのはどちらでしょうか。
- グラフの中で最も振れが小さい部分をP波とする
- 地震前の静かな部分から、最初に持続して振れ始めた点をP波到着とする
判定と理由を見る
適切なのはYです。P波は先に届くため、地震計が最初に持続して揺れ始める点を探します。Xの「最も小さい部分」は地震前の雑音や静止部分かもしれず、P波到着を表すとは限りません。次のレッスンでは、この考えを実際の波形へ使い、静止・初期微動・主要動の境目を見つけます。
何も見ずに比較表を作る
ノートにP波とS波の二列を作り、次の四行を自分で埋めてください。
- 速さ
- 到着順
- 対応する揺れ
- 地面の動き方
書き終えてから確認する
P波は速く先に届き、初期微動の始まりに対応します。地面は波の進む向きと平行に押し引きされます。S波はP波より遅く後から届き、主要動の始まりに対応します。地面は波の進む向きに対して垂直にずれます。完了のチェック
次の三つができれば完了です。
- P波とS波を、速さ・到着順・対応する揺れで比較できる
- 速さと振幅が別の性質だと説明できる
- 表示倍率が違っても、到着順と揺れ始めを根拠に判定できる
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。