別地点への到着時刻を予測しよう
このレッスンの役割
ここは「火山・地震・岩石」コースの「地震波の速さを計算しよう」セクション(11 / 15)、全6レッスン中の6番目です。
前から受け取る力:速さの計算で使う時間・演算・単位・精度の誤りを修正する力
今回完成させる力:既知の速さと震源距離から、別地点へのP波・S波到着時刻を予測する力
次へ渡す力:次の「震度とマグニチュード」で、到着の速さと揺れの強さ・地震の規模を混同せず資料を読む力
このセクションの仕上げです。これまでは距離と時間から速さを求めました。今回は逆に、速さを使って時間を求め、時計上の到着時刻へ戻します。
まず作戦を立てよう
地震発生:10時59分50秒
地点Uの震源距離:84 km
P波の平均の速さ:6 km/s
S波の平均の速さ:3.5 km/s
求めるのはUへの到着時刻です。
一段で答えを出そうとせず、次の二段階に分けます。
- 距離÷速さで、波が伝わる時間を求める。
- 地震発生時刻に伝わる時間を足す。
知る:二つの式を順に使う
伝わる時間は、
時間 = 距離 ÷ 速さ
です。
到着時刻は、
到着時刻 = 地震発生時刻 + 伝わる時間
です。
P波とS波は速さが違うため、それぞれ別に計算します。
理解する:式を逆向きに使う
速さの式は、
速さ=距離÷時間
でした。
速さと距離が分かって時間を求めるときは、
時間=距離÷速さ
にします。
84 kmを6 km/sで進むP波なら、
84 km ÷ 6 km/s = 14秒
です。
単位に注目すると、kmをkm/sで割るので秒が残ります。
84÷6=14という数値だけでなく、「6 kmずつ14秒進むと84 kmになる」と確かめられます。
S波は、
84÷3.5=24秒
です。
P波より遅いため、同じ距離でより長い時間がかかる結果になり、現象とも一致します。
使う:到着時刻まで求める
P波
発生10時59分50秒から14秒後です。
50秒から次の11時00分00秒まで10秒、残り4秒なので、
P波到着:11時00分04秒
S波
発生から24秒後です。
次の分まで10秒、残り14秒なので、
S波到着:11時00分14秒
初期微動継続時間
予測した二つの到着時刻の差は、
14秒−4秒=10秒
です。
伝わる時間でも、
24−14=10秒
となります。二通りで同じ値になれば検算できます。
完全例題
地震発生:14時20分05秒
震源距離:120 km
P波の速さ:6 km/s
S波の速さ:4 km/s
P波の時間:
120÷6=20秒
P波到着:
14時20分05秒+20秒=14時20分25秒
S波の時間:
120÷4=30秒
S波到着:
14時20分05秒+30秒=14時20分35秒
初期微動継続時間:
30−20=10秒
答えを表へ整理します。
| 波 | 速さ | 伝わる時間 | 到着時刻 |
|---|---|---|---|
| P波 | 6 km/s | 20秒 | 14:20:25 |
| S波 | 4 km/s | 30秒 | 14:20:35 |
一部を自分で完成させよう
地震発生10時15分58秒、震源距離96 km、P波6 km/s、S波4 km/sです。
P波が伝わる時間
96÷6=16秒です。P波到着時刻
10時15分58秒から16秒後なので、10時16分14秒です。S波が伝わる時間
96÷4=24秒です。S波到着時刻
10時15分58秒から24秒後なので、10時16分22秒です。初期微動継続時間
24−16=8秒です。転用する:条件が変わったら予測も変える
距離が2倍、速さが同じ
距離が60 kmから120 kmへ2倍になり、速さが一定なら、伝わる時間も2倍になります。
P波6 km/sなら、
60÷6=10秒
120÷6=20秒
です。
速さを取り違えない
P波の到着を求めるときにS波の速さを使うと、P波が遅く予測されます。表の行で波・速さ・時間を対応させます。
小数秒を含む
震源距離75 km、P波6 km/sなら、
75÷6=12.5秒
です。
発生が10時00分58.0秒なら、到着は10時01分10.5秒です。問題の精度に合わせて小数を保ちます。
予測モデルの範囲
ここでは、与えられた平均の速さが別地点まで同じように使えるという問題の条件で予測します。
実際の地球内部では、通る場所によって波の速さや経路が変わることがあります。そのため、単純な平均速度モデルはすべての実地観測を完全には表しません。
入試問題では、与えられた条件と資料の範囲で計算し、現実へ無条件に広げないようにします。
誤答を原因から直そう
誤答1:時間=速さ÷距離
6÷84としている。時間は距離÷速さなので84÷6=14秒です。
誤答2:14秒を到着時刻とする
14秒は発生から伝わる時間です。地震発生時刻へ足して時計上の到着時刻にします。
誤答3:P波にもS波の3.5 km/sを使う
波と速さの対応がずれています。P波にはP波の速さ、S波にはS波の速さを使います。
誤答4:10時59分50秒+14秒=10時59分64秒
時計は60秒で次の分へ進みます。正しくは11時00分04秒です。
誤答5:P波到着がS波到着より後になる
P波の方が速い条件なのに順序が逆です。速さ、割り算、時刻の足し方を見直します。
初見問題の解答型
「震源距離_____kmをP波の速さ_____km/sで割ると、伝わる時間は_____秒である。地震発生_____時_____分_____秒の_____秒後なので、P波は_____時_____分_____秒に到着すると予測できる。」
S波も同じ形で書き、最後にP波到着<S波到着を確認します。
このレッスンの理解チェック
確認1:距離と速さから時間を求める式は?
時間=距離÷速さです。確認2:84 kmを6 km/sで進む時間は?
84÷6=14秒です。確認3:発生10:00:50、その14秒後の到着は?
10時01分04秒です。確認4:P波6 km/s、S波4 km/s、距離120 kmなら時間差は?
P波20秒、S波30秒なので10秒です。確認5:計算した到着順をどう検算する?
P波の速さが大きい条件なら、P波到着がS波到着より前か確認します。セクションのまとめ
このセクションでは、次の流れを完成させました。
- 速さを一秒あたりの距離として理解する。
- 地震発生から各波の到着までの時間を求める。
- 震源距離÷時間でP波の平均速度を求める。
- S波の速度を求め、P波と比較する。
- 時間・演算・単位・大きさ・精度の誤答を直す。
- 速さから別地点への到着時刻を予測する。
次の「震度とマグニチュード」では、波が届く速さとは別に、地点の揺れの強さと地震そのものの規模を区別します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。