地下断面と結晶サイズからできた場所を推定しよう
このレッスンの役割
ここは6レッスン中の4番目です。前のレッスンでは、形成場所から冷却速度と火成岩の種類を考えました。今回は向きを逆にし、結晶サイズ・冷却曲線・地下断面から、見えない形成場所を推定します。
今回完成させる力は、複数の資料を「証拠→冷却時間→形成場所→火成岩の型」の順でつなぐことです。次のレッスンでは、色や現在の産地だけで決める誤答を修正します。
まず知る
形成場所は直接見られないことが多いため、残された証拠を使います。
| 証拠 | 読み取ること | 注意 |
|---|---|---|
| 結晶サイズ | 成長できた時間の長短 | 倍率・尺度をそろえる |
| 冷却曲線 | 温度が下がる速さ | 横軸と縦軸、単位を見る |
| 地下断面 | 岩体と地層の位置関係 | 現在と形成時を分ける |
| 周囲の岩石 | マグマが入り込んだ跡 | 接して熱を受けた範囲も手がかり |
| 露頭の記録 | 隆起・侵食の証拠 | 地表で発見=地表で形成ではない |
一つの大きな結晶だけで全体を決めません。複数箇所・複数結晶を同じ尺度で比べます。
理解する
次の図では、地下断面の岩体A・Bと、同じ倍率で見た試料を対応させています。
試料Aは細かな結晶が中心です。岩体Aは地表近くにあり、周囲へ熱を失いやすく、急に冷えたと考えられます。
試料Bは大きな結晶が組み合わさっています。岩体Bは地下深くにあり、熱をゆっくり失って結晶が成長する時間が長かったと考えられます。
推定では次の順に書きます。
- 資料の事実:同じ倍率で結晶が大きい
- 冷却の解釈:成長時間が長い
- 場所の推定:地下深くでゆっくり冷えた
- 分類:深成岩の可能性
「結晶が大きいから地下」とだけ書かず、結晶成長の時間を中間に入れます。
使う
三つの岩体資料を比べます。
| 岩体 | 100℃下がるのに要した時間 | 代表結晶長 | 形成時の位置 |
|---|---|---|---|
| P | 2時間 | 0.1 mm | 地表付近 |
| Q | 8日 | 0.8 mm | 浅い地下 |
| R | 60年 | 4.5 mm | 地下深く |
問:「Rが深成岩と考えられる理由を、二つの資料を使って説明しなさい。」
答案例:
「Rは100℃下がるのに60年かかり、PやQよりゆっくり冷えている。また代表結晶長が4.5 mmと大きく、結晶が成長する時間が長かったと分かる。したがって、地下深くで固まった深成岩と考えられる。」
60年という数値は例示されたモデル値です。実際の岩体の冷却時間は、岩体の大きさ、深さ、周囲の温度などで大きく変わります。資料の範囲を超えてすべての深成岩へ同じ年数を当てはめません。
Qは中間的な値です。このセクションでは二つの大分類を学びますが、自然界の冷却速度が二つだけに分かれるわけではありません。
転用する
地表の露頭Sから、大きな結晶が組み合わさった岩石が見つかりました。その上には、かつて数km分の岩石があったことを示す地質資料があります。
形成時には地下深くにあり、ゆっくり冷えた後、隆起と侵食で地表へ現れた可能性があります。現在地だけで火山岩としません。
一方、試料Tには大きな結晶が一つだけあり、周囲は非常に細かい粒でできています。この一つだけを見て「全体がゆっくり冷えた深成岩」と断定できません。冷却が途中で変化した可能性があります。詳しい組織の読み方は次のセクションで学びます。
倍率の異なる写真を比べるときは、スケールバーを使って実寸へ直します。写真上で同じ10 mmに見えても、倍率が10倍なら実物は1 mm、倍率が2倍なら5 mmです。
推定の型
「試料では[結晶サイズの事実]が見られる。これは[成長時間]が[長い/短い]ことを示すため、[急冷/ゆっくり冷却]したと考えられる。形成時は[場所]で、[火山岩/深成岩]の可能性がある。」
確認1:大きな結晶がそろう試料から何を推定する?
結晶が成長する時間が長く、地下深くでゆっくり冷えた深成岩の可能性を推定します。確認2:「地表で見つかったから火山岩」が誤りなのはなぜ?
地下深くでできた岩石も、隆起や侵食によって現在の地表へ現れるため、発見場所と形成場所は一致しないことがあるからです。確認3:一つだけ大きな結晶がある試料を深成岩と断定できる?
できません。周囲の結晶や複数箇所を見て、途中で冷却速度が変わった可能性も考えます。まとめ
地下断面と試料から、結晶サイズ→成長時間→冷却速度→形成場所の順に推定します。現在の深さではなく形成時の位置を考え、一つの結晶ではなく複数の証拠を使います。次は、色・産地・一つの特徴だけで火成岩を決める誤答を直します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。