LESSON 01

地震波の速さを計算しよう

地震波の速さは何を表す?

距離・到着時刻・伝わった時間・速さを区別し、km/sを一秒あたりの距離として理解する。

地震波の速さは何を表す?

このレッスンの役割

ここは「火山・地震・岩石」コースの「地震波の速さを計算しよう」セクション(11 / 15)、全6レッスン中の1番目です。

前から受け取る力:波形の時間差と既知のグラフから、観測地点までの震源距離を推定する力
今回完成させる力:距離・伝わった時間・速さを区別し、km/sの意味を説明する力
次へ渡す力:地震発生時刻と到着時刻から、波が伝わった時間を求める力

このレッスンでは、公式へ数字を入れる前に「何を何で割るのか」「答えの単位が何を意味するのか」を理解します。

まず比べよう:どちらが速い?

波Aは60 kmを10秒で進み、波Bは60 kmを15秒で進みました。

同じ距離なら、短い時間で届く波Aの方が速いと分かります。

では、波Cは90 kmを15秒で進みました。波AとCは、距離も時間も違います。この場合は、一秒あたりに進む距離へそろえて比べます。

  • 波A:60 km ÷ 10秒 = 6 km/s
  • 波C:90 km ÷ 15秒 = 6 km/s

二つの速さは同じです。

知る:速さは「一秒あたりに進む距離」

速さは、進んだ距離を、進むのにかかった時間で割って求めます。

速さ = 距離 ÷ 時間

地震波では、距離をkm、時間を秒で扱うことが多いため、単位はkm/sです。

6 km/sは、「平均して1秒間に6 km進む速さ」という意味です。6 kmを一度だけ進むという意味でも、6秒かかるという意味でもありません。

距離を時間で分けて一秒あたりの進む距離を求める図 60キロメートルを10秒で進む地震波について、60を10等分し、一秒あたり6キロメートル、速さ6キロメートル毎秒と求める。 60 kmを10秒で進むとき 震源 観測地点 1秒2秒3秒4秒5秒6秒7秒8秒9秒10秒 全体の距離 60 km 60 km ÷ 10秒 = 6 km/s 一秒あたり6 km進む

理解する:三つの量を混ぜない

地震資料には、似ているようで異なる量が出ます。

意味
距離 震源から観測地点までの長さ 60 km
到着時刻 時計で何時に届いたか 10時03分20秒
伝わった時間 発生から到着まで何秒かかったか 10秒
速さ 一秒あたり何km進んだか 6 km/s
初期微動継続時間 P波到着からS波到着までの差 8秒

速さの式に使う時間は「波が震源から観測地点まで伝わった時間」です。時計に表示された到着時刻を、そのまま10時03分20秒=320秒などとして割りません。

また、初期微動継続時間はP波とS波の到着差です。一つの波が震源から届くまでの時間とは違います。

使う:数字・式・単位・意味の四点セット

例題1:基本

震源距離72 kmの地点に、P波が12秒かかって届きました。

速さ = 72 km ÷ 12秒 = 6 km/s

答え:P波の平均の速さは6 km/s

意味:P波は平均して一秒に6 km進んだ。

式だけで終わらず、単位と意味まで確認します。

例題2:距離も時間も違う二つを比べる

波A:84 kmを14秒
波B:60 kmを15秒

  • A:84÷14=6 km/s
  • B:60÷15=4 km/s

したがって、Aの方が速いと分かります。距離が長いAが先とは限らないため、一秒あたりへそろえて比べます。

例題3:概算で検算する

100 kmを約20秒なら、速さは約5 km/sです。

計算結果が500 km/sになったら、桁や割る順番を疑います。正確な計算の前後に「だいたいどのくらいか」を考えると、誤りを見つけやすくなります。

割る順番を意味から決める

速さは「一秒あたりの距離」です。

距離 ÷ 時間なら、

km ÷ 秒 = km/s

となり、求めたい単位になります。

時間 ÷ 距離では、

秒 ÷ km = 秒/km

となり、「1 km進むのに何秒か」という別の量です。数値が出ても、求めたものが速さとは限りません。単位が式の意味を教えてくれます。

転用する:単位が違う場合

波が120 kmを1分で進んだとします。

そのまま計算すると、

120 km ÷ 1分 = 120 km/min

です。

km/sで答えるなら、1分=60秒へそろえます。

120 km ÷ 60秒 = 2 km/s

どちらも同じ速さを別の単位で表しています。問題が求める単位へそろえてから答えます。

また、6000 mを2秒なら、

6000 m ÷ 2秒 = 3000 m/s = 3 km/s

です。距離の単位もそろえます。

波形の高さと速さは別

大きく振れた波形を見て「速い」と判断してはいけません。

  • 波形の横方向:時刻や時間
  • 波形の縦方向:揺れの大きさ
  • 速さ:距離を伝わった時間で割った量

振幅が大きいことと、伝わる速さが大きいことは別の性質です。

誤答を原因から直そう

誤答1:60 kmを10秒だから10÷60

割る順番が逆です。一秒あたりの距離を求めるので、距離÷時間=60÷10です。

誤答2:P波が10時03分20秒に届いたから、時間は3分20秒

それは時計の到着時刻です。地震発生時刻との差を求めて、伝わった時間に直す必要があります。

誤答3:初期微動継続時間8秒をP波の伝わった時間にする

8秒はP波とS波の到着差です。P波が震源から到着するまでの時間ではありません。

誤答4:答えを6秒と書く

求めたのは速さなので、単位は秒ではなくkm/sです。単位まで含めて答えになります。

誤答5:波形が高い方を速いとする

振幅と速さを混同しています。速さは距離と伝わった時間から求めます。

自分で説明しよう

「震源距離90 km、伝わった時間15秒」の速さを、四点セットで説明してください。

式を確認する90 km÷15秒=6 km/sです。
意味を確認する地震波は平均して一秒あたり6 km進んだ、という意味です。

このレッスンの理解チェック

確認1:速さの式は?速さ=距離÷時間です。
確認2:6 km/sは何を意味する?平均して一秒間に6 km進む速さです。
確認3:到着時刻と伝わった時間は同じ?同じではありません。伝わった時間は到着時刻−地震発生時刻で求めます。
確認4:120 kmを20秒で進む速さは?120÷20=6 km/sです。
確認5:120 km/minをkm/sに直すと?1分=60秒なので、120÷60=2 km/sです。

次のレッスンへ

今回は、速さを「一秒あたりに進む距離」と理解し、距離・到着時刻・伝わった時間・初期微動継続時間を区別しました。

次は、地震発生時刻とP波・S波の到着時刻から、それぞれの波が震源から観測地点まで伝わった時間を正確に求めます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。