LESSON 01

プレート運動と地震・火山

プレートの沈み込みで地震が起こる仕組み

沈み込み・固着・ひずみの蓄積・急なずれをつなぎ、プレート境界地震の発生を因果で説明する。

プレートの沈み込みで地震が起こる仕組み

このレッスンの役割

ここは「プレート運動と地震・火山」セクションの3 / 6です。前のレッスンでは、日本の東・南にある海側プレートが海溝やトラフから陸側プレートの下へ沈み込む立体構造を読みました。今回は、その非常にゆっくりした運動が、なぜ短時間の大きな揺れを生むことがあるのかを説明します。

今回完成させる力は、「沈み込み→固着→ひずみの蓄積→急なずれ→地震波」という因果を、断面図と自分の言葉で説明することです。ここでは代表例としてプレート境界で起こる地震を扱います。すべての地震が同じ場所・同じ仕組みで起こるわけではありません。

おすすめの学び方は、用語を順番に暗記することではありません。各段階で「何が動き続けるか」「どこが動きにくいか」「何がたまるか」「何が急に変化するか」を確かめてください。

今日の問い

プレートは一年に数cmほどのゆっくりした速さで動きます。それなのに、地震では地面が数十秒から数分ほどの短い時間に強く揺れることがあります。ゆっくりした動きが、どうして突然の動きへ変わるのでしょうか。

知る

まず四つの言葉を区別します。

言葉 このレッスンでの意味
沈み込み 海側プレートが陸側プレートの下へ入っていく運動
固着 プレート境界の一部が摩擦などでくっつき、簡単にはずれない状態
ひずみ 岩盤が押されたり引かれたりして、元の形から少し変形した状態
急なずれ たまったひずみに耐えられなくなり、境界や岩盤が短時間に動くこと

地震は「プレートどうしがぶつかった瞬間に毎回起こる」のではありません。プレートは動き続けますが、境界の固着した部分はすぐには動きません。その差によって岩盤が少しずつ変形し、ひずみがたまります。

理解する

次の模式図は、プレート境界地震が起こるまでを四段階で示しています。矢印はプレート運動、曲がった陸側プレートはひずみ、星印は急なずれが始まる場所を表します。

沈み込みによるプレート境界地震の四段階 海側プレートが沈み込み、境界が固着して陸側プレートにひずみがたまり、限界で急にずれ、地震波が広がった後も沈み込みが続く流れ 1 沈み込みは続く 海側プレート 陸側プレート 2 固着して、ひずみがたまる 固着部分 岩盤が変形=ひずみ 3 限界で急にずれる 陸側が急に戻る 4 地震波が広がる/運動は続く 地震後も沈み込みは止まらない

因果を一文ずつつなぎます。

  1. 海側プレートは、陸側プレートの下へゆっくり沈み込み続ける。
  2. 境界の一部が固着すると、陸側プレートの端が引きずられ、ひずみがたまる。
  3. 岩盤が耐えられる限界をこえると、境界が急にずれ、陸側プレートも急に動く。
  4. 急な破壊・ずれで生じた振動が地震波として周囲へ伝わる。
  5. 地震後もプレート運動は続くため、長い時間をかけて再びひずみがたまりうる。

ゆっくりした動きそのものが急に速くなるというより、「動きにくい場所が長く変形をため、限界で急にずれる」と考えるとつながります。輪ゴムを引き伸ばす例は、エネルギーがたまって急に戻る感覚には役立ちますが、実際の岩盤や境界の複雑さをすべて表すわけではありません。

使う

震源の深さを色分けした断面資料で、海溝から陸側へ向かうほど震源が深くなる帯が見えたとします。

この資料からは、沈み込む海側プレートの形に沿って、地下の地震が分布していると考えられます。ただし、すべてがプレート境界そのもので起きるとは限りません。沈み込むプレートの内部や、陸側プレートの浅い部分で起こる地震もあります。

説明例: 「海溝付近では震源が浅く、陸側へ行くほど震源が深くなる。これは、海側プレートが海溝から陸側プレートの下へ斜めに沈み込む形と対応している。」

資料問題では、次の三段階で書きます。

段階 書く内容
観測 震源の深さがどちらへどう変化するか
モデル 海側プレートがどちらへ沈み込むか
接続 震源分布が沈み込む面に沿うと説明する

転用する

見慣れない断面図で海溝の左右が逆になっていても、暗記した「右下がり」に頼ってはいけません。海側はどちらか、海溝はどこか、震源はどちらへ深くなるかを確認します。沈み込みの向きが反対なら、震源の帯の傾きも反対になります。

また、「地震が起こるとプレートの動きは終わる」という説明は誤りです。一回の地震で解放されるのは、その場所にたまったひずみの一部です。プレート全体の長期的な運動は続きます。この区別ができると、地震の発生を一回だけの衝突ではなく、長い時間の変化として捉えられます。

よくある間違い

思い込み どこで考えが止まったか 直し方
プレートが触れた瞬間に地震が起こる 固着と蓄積の段階がない ゆっくり運動と急なずれの間に「ひずみ」を置く
地震はプレートが高速で衝突して起こる 長期運動と短時間の破壊を混同 動き続ける部分と動きにくい部分を分ける
地震後はプレート運動が止まる 一回のずれを全体運動の終了と考えた 地震後も沈み込みが続く図を見る
地震はすべて境界面だけで起こる 代表モデルを全地震へ広げた プレート内・陸域浅部の地震もあると区別する
断面図の傾きはいつも同じ 方位を見ず形だけ暗記 海側・陸側・海溝を先に特定する

自分で確かめよう

確認1:ゆっくりした沈み込みから地震までを四語以上で説明しよう 沈み込みが続く一方、境界の一部が固着し、陸側プレートにひずみがたまる。限界をこえると急にずれ、地震波が広がる、と説明します。
確認2:「プレートがぶつかった瞬間に毎回地震が起こる」は正しい? 正しくありません。固着してすぐ動けない部分にひずみが蓄積し、限界で急にずれる段階があります。
確認3:海溝から陸側へ震源が深くなる資料は何を示す? 海側プレートが海溝から陸側プレートの下へ斜めに沈み込み、その形に沿って地震が分布することを示す証拠になります。

まとめと次の一歩

プレート境界地震は、沈み込みが続く一方で固着部分にひずみがたまり、限界で急にずれて地震波を生む現象として説明できます。ゆっくりした長期運動と、短時間の急な破壊をつなぐ鍵が「ひずみ」です。次は同じ沈み込みが火山の並びとどう関係するかを、海溝・水・マントル・マグマ・火山の位置関係から考えます。

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