P波・S波の到着時刻を正確に読もう
このレッスンの役割
ここは「火山・地震・岩石」コースの「P波・S波と初期微動」セクション(9 / 15)、全6レッスン中の4番目です。
前から受け取る力:波形のどこがP波の到着点・S波の到着点かを見分ける力
今回完成させる力:時刻軸の一目盛りを求め、P波とS波の到着時刻を根拠つきで読む力
次へ渡す力:二つの到着時刻から初期微動継続時間を計算する力
このレッスンで大切なのは、目盛りに書かれた数字を眺めて答えを当てることではありません。「一目盛りは何秒か」「どの点を到着点としたか」を説明しながら読めるようになることです。
まず予想しよう:割る数は5? 6?
10時32分10秒から10時32分20秒までの間に、目盛り線が両端を含めて6本あります。
一目盛りは何秒でしょう。
- 10秒 ÷ 5 = 2秒
- 10秒 ÷ 6 = 約1.67秒
正しいのは2秒です。時間が進むのは、線の上ではなく、線と線の間だからです。6本の線の間には5個の「すき間」があります。このすき間を区間といいます。
ここを読み違えると、その後のP波・S波の時刻もすべてずれてしまいます。
知る:到着時刻を読むための二つの基準
到着時刻を読むときは、次の二つを先に決めます。
- 横軸の一目盛りが何秒か
- 波が「到着した」と判断する点がどこか
一目盛りは、数字の付いた二点の時刻の差を、その間の区間数で割って求めます。
一目盛り = 時刻の差 ÷ 区間数
P波の到着点は、小さな揺れが続けて始まるところです。S波の到着点は、大きな揺れが続けて始まるところです。波形の一番高い山ではなく、揺れ方が変わり始めた境目です。
理解する:なぜ「差 ÷ 区間数」なのか
上の図では、10秒から20秒までに10秒の時間差があります。その10秒が、同じ長さの5区間に分かれています。
20秒 − 10秒 = 10秒
10秒 ÷ 5区間 = 2秒/区間
したがって、目盛りは左から10秒、12秒、14秒、16秒、18秒、20秒となります。
P波の到着点は10秒から2区間進んだ場所なので、
10秒 + 2秒 × 2 = 14秒
S波の到着点は10秒から4区間進んだ場所です。
10秒 + 2秒 × 4 = 18秒
したがって、上の図から読む時刻は、
- P波:10時32分14秒
- S波:10時32分18秒
です。
重要なのは、図の説明文や印象ではなく、到着点から真下へ下ろした線と時刻軸の交点を読むことです。もし図と文章の答えが食い違ったときも、自分の手順で確かめられます。
使う:六つの手順で読む
初めて見る波形でも、次の順番なら安定して読めます。
- 横軸が時間を表しているか、単位は秒か分かを確認する。
- 数字が付いた二つの目盛りを選ぶ。
- 二つの時刻の差を求める。
- 目盛り線ではなく、その間の区間数を数えて一目盛りを求める。
- P波・S波の到着点から真下へ線を下ろし、時刻を読む。
- P波の時刻がS波の時刻より前か、答えを確かめる。
例題1:整数の目盛り
10時08分00秒から10時08分08秒までが4区間に分かれています。P波は左端から1区間目、S波は3区間目で始まりました。
一目盛りは、
8秒 ÷ 4区間 = 2秒
したがって、
- P波:10時08分02秒
- S波:10時08分06秒
です。
ここで「P波は小さいから02秒」と判断したのではありません。到着点の位置と一目盛りの大きさを使って読んでいます。
例題2:自分で途中まで考える
14時05分30秒から14時05分36秒までが3区間に分かれています。P波は30秒から1区間目、S波は3区間目で始まりました。
まず、一目盛りを求めてください。
一目盛りを確認する
36秒 − 30秒 = 6秒、6秒 ÷ 3区間 = 2秒です。P波とS波の到着時刻を確認する
P波は14時05分32秒、S波は14時05分36秒です。転用する:0.5秒の目盛りでも同じ
数字が0秒と2秒、その間が4区間なら、一目盛りは、
2秒 ÷ 4区間 = 0.5秒
です。
P波が左端から1区間目なら0.5秒、S波が3区間目なら1.5秒です。数字が小数になっても、読み方の仕組みは変わりません。
また、59秒をこえて次の分に進む場合も同じです。10時12分58秒の2秒後は10時13分00秒です。横軸を読むときは「秒の数字だけ」を足すのではなく、時刻全体として考えます。
間違いを修正しよう
間違い1:目盛り線が6本だから6で割る
両端を含む6本の線には、間が5区間あります。時間差を分けているのは区間なので、5で割ります。数えるときは、線と線の間を指で一つずつたどりましょう。
間違い2:波形の一番高い山の時刻を読む
到着時刻は、波が最も大きくなった時刻ではありません。P波なら小さな揺れが続けて始まる点、S波なら大きな揺れが続けて始まる点を読みます。
間違い3:P波とS波の答えが逆でもそのままにする
同じ観測地点では、速いP波が先、遅いS波が後に到着します。P波の時刻が後になったら、到着点か時刻軸の読み方を見直す合図です。
間違い4:一つだけ飛び出した線を到着点にする
記録には機械の振動や一時的なノイズが混じることがあります。一点だけでなく、その後も揺れ方の変化が続いているかを確認します。
初めて見る記録で説明してみよう
時刻の数字が両端にしかない波形を見たら、次の形で説明します。
「_____秒から_____秒までの差は_____秒で、間は_____区間だから、一目盛りは_____秒です。P波の到着点は左から_____区間目なので_____時_____分_____秒、S波は_____時_____分_____秒です。」
答えが合っていても、一目盛りの根拠を説明できなければ、別の縮尺で迷う可能性があります。この一文を自力で完成できたら、読み方を使える状態です。
このレッスンの理解チェック
確認1:12秒から22秒までに目盛り線が6本あります。一目盛りは何秒?
線の間は5区間なので、(22−12)÷5=2秒です。確認2:一目盛り0.5秒で、P波が左端から2区間目なら何秒後?
0.5×2=1.0秒後です。確認3:波形の最大の山を到着時刻にしてはいけないのはなぜ?
到着時刻は波が届いて揺れ方が変わり始めた時刻であり、揺れが最大になった時刻ではないからです。確認4:P波が12秒、S波が9秒と読めたとき、何を疑う?
P波はS波より先に届くので、到着点または時刻軸の読み違いを疑います。次のレッスンへ
今回は、時刻軸の一目盛りを「時刻の差 ÷ 区間数」で求め、P波・S波の到着点から時刻を読む力を完成させました。
次は、この二つの到着時刻を使って、初期微動が何秒間続いたかを計算します。正確な時刻読みが、時間差の計算の土台になります。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。