LESSON 01

地震の震源と震央

未知の地震資料から震源・震央を総合判定しよう

地図・距離表・断面図・深さ・震度分布を役割ごとに統合し、震央と震源を根拠つきで判定します。

未知の地震資料から震源・震央を総合判定しよう

このレッスンは「地震の震源と震央」6レッスン中の最後です。地図、観測点の距離表、断面図、深さ、震度分布を一度に読み、資料ごとの役割を分けて結論を組み立てます。分からない情報を無理に補わないことも目標です。

前から受け取る力:震源・震央・距離・震度の混同を、定義と図へ戻して修正する
今回完成させる力:複数資料から震央と震源を判定し、根拠・不確かさ・必要な追加資料を説明する
次へ渡す力:次の「P波・S波と初期微動」で、到着時刻の異なる二種類の波を位置と距離に結びつける

まず知る

初見問題では、最初に資料へ役割札を付けます。

資料 主な役割
観測点と震央距離の表 各観測点を中心とする距離円の半径
方位・縮尺つき地図 円の交点から震央を探す
震源の深さ 震央の真下に震源を置く
断面図 震源・震央・観測点の立体関係を確認する
震度分布 地点ごとの揺れを比べる
到着時刻の記録 次の学習で距離や波の種類を考える材料

震央を決める資料と、震源の深さを決める資料は別です。震度分布は揺れを表しますが、それだけで震央の定義を変えることはできません。

複数の地震資料を役割ごとに統合する図 距離表と地図から震央、深さと断面図から震源、震度分布から揺れを読み、それぞれを混同せず結論へつなぐ 距離表+地図円の交点 → 震央 深さ+断面図鉛直下方 → 震源 震度分布地点ごとの揺れ 同じ地震の位置モデル 震央E 震源H 深さ 位置と揺れを同じ言葉にしない 根拠ある結論 震央:地図上の交点 震源:真下の深さ 最大震度:分布図で確認 不足資料は明示 結論の強さを調整 各資料が何を決めるかを分けてから統合する

理解する

複数資料を統合するとは、すべてを同じ役割で扱うことではありません。距離表と地図は震央の地表位置を決め、深さと断面図は地下の震源位置を決めます。震度分布は各地点の揺れを示し、位置決定を確かめる補助にはなっても「もっとも強く揺れた場所=震央」という定義にはなりません。

資料が完全に一致しないときは、次を確認します。

  • 同じ地震の資料か
  • 距離が震央距離か震源距離か
  • 地図の縮尺と単位を直したか
  • 断面線が震央を通っているか
  • 距離円の線の太さや測定誤差を考えたか
  • 震度を位置情報として使っていないか

三つの距離円が小さな三角形をつくって一点に交わらない場合、三角形の付近を震央候補の範囲とし、精度以上に細かな一点を断定しません。科学的な結論は、資料の精度より細かくしてはいけません。

また、深さが欠けていれば震央までは言えても震源の三次元位置は決まりません。距離表が一地点分だけなら円周上までで、震央を一点に決められません。「分からない理由」と「必要な追加資料」を示すことが総合判断です。

使う

未知の地震Xについて、次の資料があるとします。

  • 地図の縮尺:1 cm=25 km
  • 観測点A・B・Cから震央まで:75 km、100 km、125 km
  • 三つの距離円は地図上の点E付近で交わる
  • 震源の深さ:50 km
  • 最大震度地点:点Eの東20 km

地図上の半径は、Aが3 cm、Bが4 cm、Cが5 cmです。共通交点Eが震央です。震源はEの鉛直下方50 kmにあります。最大震度地点がEからずれていても矛盾ではありません。最大震度は地盤や断層の広がりなどにも左右されます。

記述例: 「各観測点を中心に、震央距離を縮尺に直した半径3 cm、4 cm、5 cmの円を描くと、共通する点Eが震央となる。深さが50 kmなので、震源はEの鉛直下方50 kmにある。最大震度地点はEの東20 kmだが、震央は震源の真上という定義で決まり、最大震度地点と一致する必要はない。」

資料がAの75 kmだけなら、震央はAを中心とする半径75 kmの円周上までしか言えません。B・Cなど別の観測点の距離が必要です。

確認1:直接確認距離円の交点Eと深さ30 kmが分かったとき、震源はどこですか。震央Eの鉛直下方30 kmです。
確認2:誤りを修正最大震度地点を震央とした解答を直してください。震央は距離資料や緯度・経度で決め、最大震度地点は震度分布から別に読みます。
確認3:別資料へ転用三観測点の円は交わりましたが、深さ欄が欠測です。何が言えますか。震央候補は決められますが、地下の震源位置には深さが必要です。

転用する

高校入試の初見資料では、解答前に次の五行を書きます。

  1. 求めるもの:震央 / 震源 / 深さ / 距離 / 震度
  2. 地表資料:地図・緯度経度・距離円
  3. 地下資料:深さ・断面図
  4. 揺れ資料:震度分布・地盤条件
  5. 結論の範囲:一点 / 候補範囲 / 追加資料が必要

これで、資料が多くても役割を混ぜずに済みます。結論は「資料→位置関係→用語」の順で書き、どの資料がどの一文を支えるか対応させます。

このセクションでは、静止した地図と断面図から震源・震央を復元しました。次の「P波・S波と初期微動」では時間が加わります。地下の震源から二種類の波が異なる速さで観測点へ届くため、波形の到着順と今学んだ震源距離を結びつけます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。