距離・深さ・地盤から震度分布を考えよう
このレッスンの役割
ここは「火山・地震・岩石」コースの「震度とマグニチュード」セクション(12 / 15)、全6レッスン中の4番目です。
前から受け取る力:マグニチュードを地震全体の規模として、エネルギー倍率から比較する力
今回完成させる力:同じ地震の震度が地点ごとに異なる理由を、距離・深さ・地盤の条件から説明する力
次へ渡す力:震度とマグニチュードに関する典型的な資料誤読を修正する力
震度分布は、震央を中心にきれいな同心円になるとは限りません。分布の「例外」に見える場所を、複数の条件から考えます。
まず考えよう:同じ距離なのに違う震度
地点AとBは、地図上では震央からほぼ同じ距離です。
- A:震度4
- B:震度5弱
「同じ距離なら同じ震度のはず」と考えると説明できません。
距離以外に、地盤の性質や地震波が伝わる経路などが違えば、揺れの強さは異なることがあります。
知る:震度へ関係する主な条件
同じ一つの地震でも、地点の震度には次が関係します。
- 震源から観測地点までの距離
- 震源の深さ
- 地震波が伝わる経路
- 観測地点の地盤
- 揺れの周期や継続時間
中学理科では、まず「一般に震源から遠いほど揺れは弱まりやすい」と考えます。そのうえで、距離だけでは説明できない違いを地盤などの条件から読みます。
理解する:一条件ずつ因果へつなぐ
距離
地震波は広がりながら伝わります。一般に、震源から遠いほど揺れは弱まりやすくなります。
震源距離が大きい
→ 伝わる間に地震波の揺れが弱まる
→ 震度が小さくなりやすい
深さ
地図上の震央距離が同じでも、震源が深いほど震源までの直線距離は大きくなります。
ただし、実際の分布は深さだけで決まらないため、「深いから必ずこの震度」と一つの条件で断定しません。
地盤
軟らかい地盤では、特定の揺れが大きくなる場合があります。同じくらいの距離でも、地点AよりBの震度が大きい理由の候補になります。
図は仕組みを単純化したモデルです。「軟らかい地盤なら必ず一階級大きい」という計算規則ではありません。
使う:震度分布図を三段階で説明する
資料に次の地点があります。
| 地点 | 震央からの距離 | 地盤 | 震度 |
|---|---|---|---|
| P | 20 km | 硬い | 5弱 |
| Q | 22 km | 軟らかい | 5強 |
| R | 70 km | 硬い | 3 |
事実
PとQは震央からの距離が近いが、Qの方が震度が大きい。Rはより遠く、震度3である。
基本傾向
RはP・Qより遠く、揺れが弱まりやすいことと震度3は対応している。
例外の説明候補
PとQの距離は近いが地盤が異なる。Qの軟らかい地盤で揺れが大きくなった可能性がある。
「Qが近いから」だけでは、22 kmのQが20 kmのPより大きい震度であることを説明できません。
相関から原因を断定しすぎない
分布図から「軟らかい地盤の地点で震度が大きい」という対応が見えても、一地点だけで地盤が原因と断定しません。
- 同じような地盤の複数地点でも同じ傾向か
- 震源距離はそろっているか
- 観測値か推計値か
- 他の条件に大きな違いがないか
を確認します。
科学的な説明では、「地盤の違いが関係したと考えられる」のように、資料が支える強さで表現します。
転用する:同心円でない分布
震央の東側は震度5弱が遠くまで広がり、西側は近い場所でも震度4だったとします。
考えられることは、
- 地盤の分布が東西で違う
- 地震波の伝わる経路が違う
- 震源が地下で傾いた断層に沿って広がった
などです。
この資料だけで一つに決められない場合は、地盤図や震源の深さ・断層の情報が必要だと答えます。
「震央からの距離だけで決まるなら完全な同心円になるはず」という予想と、実際のずれを比べることで追加条件に気づけます。
同じマグニチュードでも分布は違う
地震XとYがどちらもM6.5でも、
- 震源の場所
- 震源の深さ
- 周囲の地盤
- 観測地点との位置関係
が違えば、震度分布は同じになりません。
マグニチュードは地震全体の規模を示しますが、各地点の震度を一つずつ決める数字ではありません。
誤答を原因から直そう
誤答1:震央に最も近い地点が必ず最大震度
一般に近いほど強くなりやすいですが、深さ・経路・地盤も関係します。「必ず」は言いすぎです。
誤答2:震度分布は完全な同心円
距離だけを条件にしています。地盤などが場所ごとに異なるため、実際の分布はゆがむことがあります。
誤答3:同じ距離なら同じ震度
震源距離が近くても、地盤や地震波の経路が違えば震度は異なることがあります。
誤答4:軟らかい地盤なら必ず震度が一つ大きい
地盤の影響を固定の計算規則にしています。揺れの周期など他の条件にもよります。
誤答5:Mが同じなら震度分布も同じ
地震全体の規模が同じでも、震源位置・深さ・地盤が異なれば分布は変わります。
自分で説明しよう
地点AとBは震央からどちらも約30 kmです。Aは硬い地盤で震度4、Bは軟らかい地盤で震度5弱でした。
観測事実
距離はほぼ同じだが、Bの震度がAより大きい。説明候補
Bの地盤の違いが揺れの大きさに関係した可能性がある。ただし、他の条件も確認する必要があります。このレッスンの理解チェック
確認1:震度に関係する三つの代表条件は?
震源までの距離、震源の深さ、観測地点の地盤です。経路や揺れの周期なども関係します。確認2:同じ距離なら同じ震度?
限りません。地盤や伝わる経路などが異なる場合があります。確認3:震度分布が完全な同心円でない理由は?
距離以外の深さ・地盤・経路などの条件が場所ごとに異なるからです。確認4:一地点だけで地盤が原因と断定できる?
できません。距離をそろえた複数地点や追加資料を確認します。確認5:同じMなら分布も同じ?
同じとは限りません。震源位置・深さ・地盤などが違うからです。次のレッスンへ
今回は、震度分布を距離だけで決めず、深さ・経路・地盤を含む複数条件から説明しました。
次は、「最大震度=マグニチュード」「Mが1増えると2倍」などの典型誤答を、地点・地震・倍率・資料範囲の基準から修正します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。