気体が抜ける模型実験を公平に比べよう
このレッスンの役割
ここは6レッスン中の2番目です。前のレッスンで、ねばりけが低い液体は広がりやすく、高い液体は近くに厚くたまりやすいと学びました。今回は、ねばりけが違うと、液体の中の気泡がどのように抜けるかを模型で比べます。
今回完成させる力は、「変える条件を一つにし、測るものとそろえる条件を決め、結果を根拠に説明する」ことです。次のレッスンでは、この模型からマグマ中の火山ガスと噴火傾向の因果を考えます。
まず知る
模型実験は、直接見ることが難しい現象の一部分を、扱いやすい材料に置き換えて調べる方法です。ここでは、ねばりけの異なる二つの透明な液体と、その中を上昇する気泡を使います。
調べたい問いは次の一つです。
「液体のねばりけが違うと、同じ大きさの気泡が表面へ抜けるまでの時間はどう変わるか。」
公平に比べるための設計は次の通りです。
| 種類 | この実験での条件 |
|---|---|
| 変える条件 | 液体のねばりけ |
| 測るもの | 気泡が一定距離を上昇する時間 |
| そろえる条件 | 液体の量・深さ・温度・容器・気泡の大きさ・出発位置 |
| 繰り返す回数 | それぞれ3回以上 |
| 比べ方 | 平均値だけでなく、ばらつきも見る |
学校で実施するときは、教師が用意した安全な材料と方法を使います。加熱、火、密閉容器、高圧、実際の岩石を溶かす操作は行いません。家庭で勝手に再現する必要もありません。
理解する
次の図では、左はねばりけが低い液体、右はねばりけが高い液体です。同じ大きさの気泡を同じ深さから動かしたと考えます。
気泡が上がるとき、周囲の液体を押し分けなければなりません。ねばりけが低い液体は形を変えて流れやすいため、気泡が通る道を作りやすくなります。ねばりけが高い液体は流れにくいため、気泡は上がりにくく、内部にとどまる時間が長くなる傾向があります。
ただし、気泡の大きさが違うと上がり方も変わります。大きな気泡と小さな気泡を比べてしまうと、「ねばりけの差」なのか「気泡の大きさの差」なのか分かりません。
温度にも注意します。同じ液体でも温度が変わるとねばりけが変わることがあります。そこで、液体を同じ場所に置き、温度をそろえて比べます。
模型には限界があります。
- 模型の液体はマグマではない
- 模型の空気は、マグマに溶けている火山ガスそのものではない
- 実際の地下には圧力、温度、通路の形、結晶など多くの条件がある
- 模型が示すのは「ねばりけと気泡の動きの関係」の一部分
模型は現実のコピーではなく、関係を考える道具です。
使う
ある班が次の結果を得ました。気泡が容器の底から表面へ達する時間を3回測っています。
| 液体 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 |
|---|---|---|---|---|
| R | 2.8秒 | 3.1秒 | 2.9秒 | 2.9秒 |
| S | 12.4秒 | 11.8秒 | 12.1秒 | 12.1秒 |
液体の量、深さ、温度、容器、気泡の大きさが同じなら、Sのほうが気泡が抜けにくいといえます。したがって、SはRよりねばりけが高いと考えられます。
よい説明は次の順です。
- 条件がそろっていることを確認する
- 数値の差を示す
- 気泡の抜けやすさを述べる
- ねばりけについて結論を出す
「Sは平均12.1秒で、Rの2.9秒より気泡の上昇に時間がかかった。同じ条件で比べているので、Sは気泡を通しにくく、Rよりねばりけが高いと考えられる。」
もしRを温め、Sを冷たいままにしていたら、この結論は弱くなります。温度という別の条件も変わっているからです。改善案は、両方を同じ室温にそろえてから再測定することです。
転用する
別の班では、気泡が一つずつではなく、液体の中にたくさん発生しました。ねばりけが低い液体では気泡が次々と表面へ達し、高い液体では内部に気泡が多く残りました。
この結果から考えられるのは、「ねばりけが高いほど気体が抜けにくい傾向がある」という関係です。まだ「必ず激しい噴火になる」とは言えません。実際の火山では、ガスの量、地下の圧力、通路なども関係するためです。
実験結果から現実を説明するときは、次の表現を使います。
「模型では[結果]となった。この結果は、実際のマグマでも[考えられる関係]があることを考える手がかりになる。ただし、模型では[表せていない条件]がある。」
確認1:この実験で変える条件と測るものは?
変える条件は液体のねばりけ、測るものは同じ大きさの気泡が一定距離を上昇する時間です。確認2:液体の温度も気泡の大きさも変えた実験が公平でないのはなぜ?
結果の差が、ねばりけ、温度、気泡の大きさのどれによるものか区別できないからです。ねばりけ以外をそろえます。確認3:模型で気泡が抜けにくかったら、実際の噴火を断定できる?
断定できません。模型はねばりけと気泡の動きの関係を示すだけで、実際にはガス量、圧力、通路なども関係します。まとめ
公平な模型実験では、ねばりけだけを変え、液体の量・深さ・温度・容器・気泡の大きさをそろえます。結果は複数回測り、数値とばらつきを見ます。模型から分かることと、模型では表せないことを分けて説明できれば合格です。次は、ねばりけ、気体の抜けやすさ、圧力、噴火傾向を因果でつなぎます。
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