LESSON 01

マグマのねばりけと噴火

気体が抜ける模型実験を公平に比べよう

ねばりけだけを変える安全な模型実験を設計し、気泡の抜け方を比較して、模型の結果と限界を説明します。

気体が抜ける模型実験を公平に比べよう

このレッスンの役割

ここは6レッスン中の2番目です。前のレッスンで、ねばりけが低い液体は広がりやすく、高い液体は近くに厚くたまりやすいと学びました。今回は、ねばりけが違うと、液体の中の気泡がどのように抜けるかを模型で比べます。

今回完成させる力は、「変える条件を一つにし、測るものとそろえる条件を決め、結果を根拠に説明する」ことです。次のレッスンでは、この模型からマグマ中の火山ガスと噴火傾向の因果を考えます。

まず知る

模型実験は、直接見ることが難しい現象の一部分を、扱いやすい材料に置き換えて調べる方法です。ここでは、ねばりけの異なる二つの透明な液体と、その中を上昇する気泡を使います。

調べたい問いは次の一つです。

「液体のねばりけが違うと、同じ大きさの気泡が表面へ抜けるまでの時間はどう変わるか。」

公平に比べるための設計は次の通りです。

種類 この実験での条件
変える条件 液体のねばりけ
測るもの 気泡が一定距離を上昇する時間
そろえる条件 液体の量・深さ・温度・容器・気泡の大きさ・出発位置
繰り返す回数 それぞれ3回以上
比べ方 平均値だけでなく、ばらつきも見る

学校で実施するときは、教師が用意した安全な材料と方法を使います。加熱、火、密閉容器、高圧、実際の岩石を溶かす操作は行いません。家庭で勝手に再現する必要もありません。

理解する

次の図では、左はねばりけが低い液体、右はねばりけが高い液体です。同じ大きさの気泡を同じ深さから動かしたと考えます。

ねばりけの異なる液体中を上昇する気泡の模型ねばりけが低い液体では気泡が上がって抜けやすく、高い液体では上昇しにくく内部にとどまりやすい傾向を比較するねばりけが低いねばりけが高い上がりやすい上がりにくい同じ深さ・同じ大きさから比べる

気泡が上がるとき、周囲の液体を押し分けなければなりません。ねばりけが低い液体は形を変えて流れやすいため、気泡が通る道を作りやすくなります。ねばりけが高い液体は流れにくいため、気泡は上がりにくく、内部にとどまる時間が長くなる傾向があります。

ただし、気泡の大きさが違うと上がり方も変わります。大きな気泡と小さな気泡を比べてしまうと、「ねばりけの差」なのか「気泡の大きさの差」なのか分かりません。

温度にも注意します。同じ液体でも温度が変わるとねばりけが変わることがあります。そこで、液体を同じ場所に置き、温度をそろえて比べます。

模型には限界があります。

  • 模型の液体はマグマではない
  • 模型の空気は、マグマに溶けている火山ガスそのものではない
  • 実際の地下には圧力、温度、通路の形、結晶など多くの条件がある
  • 模型が示すのは「ねばりけと気泡の動きの関係」の一部分

模型は現実のコピーではなく、関係を考える道具です。

使う

ある班が次の結果を得ました。気泡が容器の底から表面へ達する時間を3回測っています。

液体 1回目 2回目 3回目 平均
R 2.8秒 3.1秒 2.9秒 2.9秒
S 12.4秒 11.8秒 12.1秒 12.1秒

液体の量、深さ、温度、容器、気泡の大きさが同じなら、Sのほうが気泡が抜けにくいといえます。したがって、SはRよりねばりけが高いと考えられます。

よい説明は次の順です。

  1. 条件がそろっていることを確認する
  2. 数値の差を示す
  3. 気泡の抜けやすさを述べる
  4. ねばりけについて結論を出す

「Sは平均12.1秒で、Rの2.9秒より気泡の上昇に時間がかかった。同じ条件で比べているので、Sは気泡を通しにくく、Rよりねばりけが高いと考えられる。」

もしRを温め、Sを冷たいままにしていたら、この結論は弱くなります。温度という別の条件も変わっているからです。改善案は、両方を同じ室温にそろえてから再測定することです。

転用する

別の班では、気泡が一つずつではなく、液体の中にたくさん発生しました。ねばりけが低い液体では気泡が次々と表面へ達し、高い液体では内部に気泡が多く残りました。

この結果から考えられるのは、「ねばりけが高いほど気体が抜けにくい傾向がある」という関係です。まだ「必ず激しい噴火になる」とは言えません。実際の火山では、ガスの量、地下の圧力、通路なども関係するためです。

実験結果から現実を説明するときは、次の表現を使います。

「模型では[結果]となった。この結果は、実際のマグマでも[考えられる関係]があることを考える手がかりになる。ただし、模型では[表せていない条件]がある。」

確認1:この実験で変える条件と測るものは?変える条件は液体のねばりけ、測るものは同じ大きさの気泡が一定距離を上昇する時間です。
確認2:液体の温度も気泡の大きさも変えた実験が公平でないのはなぜ?結果の差が、ねばりけ、温度、気泡の大きさのどれによるものか区別できないからです。ねばりけ以外をそろえます。
確認3:模型で気泡が抜けにくかったら、実際の噴火を断定できる?断定できません。模型はねばりけと気泡の動きの関係を示すだけで、実際にはガス量、圧力、通路なども関係します。

まとめ

公平な模型実験では、ねばりけだけを変え、液体の量・深さ・温度・容器・気泡の大きさをそろえます。結果は複数回測り、数値とばらつきを見ます。模型から分かることと、模型では表せないことを分けて説明できれば合格です。次は、ねばりけ、気体の抜けやすさ、圧力、噴火傾向を因果でつなぎます。

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