地図・断面・距離データから震源位置を読もう
このレッスンは「地震の震源と震央」6レッスン中の4番目です。ここまでの平面図・断面図・三つの距離を、実際の資料セットとして読みます。地図で震央を探し、深さを加えて震源を立体的に表します。
前から受け取る力:震央距離・震源の深さ・震源距離を横・縦・斜めとして区別する
今回完成させる力:複数観測点の距離、地図、断面図を対応させ、震央と震源を根拠つきで読む
次へ渡す力:震源・震央・距離を取り違えた誤答を資料へ戻して直す
まず知る
一つの観測点から「震央まで60 km」と分かっても、震央の方向は一つに決まりません。地図上では、その観測点を中心とする半径60 kmの円周上のどこかです。二つの観測点なら候補が二点に絞られることがあり、三つ以上の観測点の円が一か所で交われば、その交点を震央の候補にできます。
資料を読む手順は次の通りです。
- 地図の方位と縮尺を確認する。
- 各観測点を中心に、示された震央距離を半径とする円を考える。
- 円の共通する位置を震央として読む。
- 震央を通る断面を選ぶ。
- 震央から示された深さだけ鉛直下方へ進み、震源を置く。
- 座標・深さ・単位をそろえて結論を書く。
理解する
距離円が交わる考え方は、方向を直接測っていないことから生まれます。観測点Aから同じ60 km離れた場所は東西南北に多数あるため、円周になります。別の観測点B・Cからの距離を重ねると、すべての条件を満たす場所だけが残ります。
実際の震源決定では、地震波の到着時刻や地球内部の速度構造を用いて計算し、誤差も含めて位置を推定します。このレッスンの円は、複数地点の情報を合わせる考え方を理解するための模式モデルです。円が一点で完全に交わらない場合は、線の太さ、測定誤差、縮尺の読み取りを考え、もっとも近く集まる範囲を候補とします。
震央が決まっても、震源はまだ決まりません。深さが必要です。「北緯35.2度、東経139.4度、深さ40 km」という情報なら、緯度・経度が震央、深さ40 kmを加えた地下の点が震源です。
表の単位にも注意します。地図が1 cm=20 kmなのに、半径60 kmを60 cmで描いてはいけません。地図上では60÷20=3 cmです。
使う
ある地図の縮尺は1 cm=20 kmです。観測点A・B・Cから震央までの距離が、それぞれ60 km、80 km、100 kmと示されています。
- Aを中心に半径3 cmの円
- Bを中心に半径4 cmの円
- Cを中心に半径5 cmの円
三円の共通交点Eを震央とします。さらに資料に「深さ40 km」とあれば、Eを通る断面図で地表から鉛直下方40 kmに震源Hを置きます。
良い記述は次の形です。
「A・B・Cを中心に、それぞれの震央距離を縮尺に直した円を描くと、共通交点Eが震央となる。深さ資料が40 kmなので、震源はEの鉛直下方40 kmにある。」
もしAの距離しかなければ、「震央はAを中心とする半径60 kmの円周上」とまでは言えますが、一点には決められません。
確認1:直接確認
一つの観測点から震央距離50 kmだけが分かったとき、震央はどこですか。その観測点を中心とする半径50 kmの円周上です。確認2:誤りを修正
縮尺1 cm=25 kmの地図で、震央距離100 kmを半径100 cmとした誤りを直してください。100÷25=4なので、地図上の半径は4 cmです。確認3:別資料へ転用
三円の交点は分かりましたが、深さ資料がありません。何が言えますか。震央は言えますが、震源の深さと地下の震源位置は決められません。転用する
初見の位置資料では、「地表を決める情報」と「地下を決める情報」を別欄にします。
| 地表を決める | 地下を決める |
|---|---|
| 方位、緯度・経度、震央距離、距離円 | 震源の深さ、断面図、地下の速度モデル |
| 結果:震央 | 結果:震源 |
一地点の情報だけで一点に決めない、縮尺を実距離へ直す、円の交点に誤差があれば範囲で表す、という三つを守ります。
次は、地図の点を震源と呼ぶ、震央が必ず最大震度になる、震央距離と震源距離を同じにする、といった典型的な誤答を、いま使った地図と断面図へ戻して修正します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。