冷やす速さと結晶のでき方を模型で比べよう
このレッスンの役割
ここは6レッスン中の2番目です。前のレッスンで、マグマが冷え、結晶ができて成長し、全体が固まる流れを学びました。今回は「冷える速さ」だけを変えた模型資料から、結晶が成長できる時間との関係を調べます。
今回完成させる力は、変える条件・測るもの・そろえる条件を区別し、模型の結果と限界を説明することです。次のレッスンでは、この関係を地表付近と地下深くのマグマへ当てはめます。
まず知る
実際のマグマを学校で溶かして比べることはできません。そこで、結晶を作る別の物質や、あらかじめ撮影された資料を模型として使います。
調べる問いは一つです。
「同じ物質を速く冷やした場合とゆっくり冷やした場合で、できる結晶の大きさはどう変わるか。」
公平に比べる条件を整理します。
| 条件の種類 | この模型での例 |
|---|---|
| 変える条件 | 冷やす速さ |
| 測るもの | 一定面積内の結晶数、代表的な結晶の長さ |
| そろえる条件 | 物質の種類、量、初めの温度、容器、観察倍率 |
| 繰り返し | 同じ条件を複数回 |
| 安全 | 教師が用意した資料または指示された実験だけを使う |
加熱した液体や薬品を生徒だけで用意しません。学校で実験する場合は保護具を使い、熱源・容器・廃液を教師の指示どおりに扱います。
理解する
次の図は、同じ物質を二通りに冷やしたときの温度変化と、最後に見えた結晶の模式図です。
ゆっくり冷えると、結晶を作る粒子がすでにできた結晶へ移動して並ぶ時間が長くなります。そのため、結晶は大きく成長しやすくなります。
速く冷えると、結晶が大きくなる前に全体が固まります。細かな結晶ができたり、非常に速い場合には結晶として十分に並べない部分ができたりします。
大切なのは「ゆっくり冷えると結晶が多い」と単純化しないことです。比較したい中心は結晶の大きさです。結晶の個数は、結晶が生まれ始める場所の数にも左右されます。
模型はマグマそのものではありません。
- 模型物質とマグマでは成分が違う
- 温度や時間の尺度が違う
- マグマには複数種類の結晶ができる
- 圧力や水分など、模型にない条件がある
それでも、「成長できる時間が結晶サイズへ影響する」という関係を考える手がかりになります。
使う
二つの試料を同じ倍率で観察しました。
| 条件 | 20分後の代表結晶長 | 60分後 |
|---|---|---|
| 急冷 | 0.2 mm | すでに全体が固化 |
| ゆっくり冷却 | 0.8 mm | 2.6 mm |
問:「ゆっくり冷却した試料で結晶が大きい理由を説明しなさい。」
答案例:
「同じ物質と量で冷やす速さだけを変えたとき、ゆっくり冷却した試料は結晶が成長できる時間が長かったため、代表結晶長が2.6 mmまで大きくなった。」
「ゆっくり冷やしたから」だけでは、意味が途中で止まっています。「結晶が成長できる時間」を入れます。
次の実験は公平ではありません。
- Aは5 mL、Bは30 mL
- Aは金属容器、Bは厚い断熱容器
- AとBで異なる物質を使った
これでは冷却速度以外も変わり、結晶サイズの差が何によるか分かりません。同じ物質・量・容器・初期温度にし、冷却環境だけを変えます。
転用する
資料Xでは、二つの試料の結晶写真だけが示され、倍率が書かれていません。写真上でXの結晶が大きく見えても、実物の結晶が大きいとは断定できません。倍率またはスケールバーが必要です。
資料Yでは、冷却曲線はゆるやかなのに結晶が細かいという結果でした。すぐに法則が間違いだとせず、次を確かめます。
- 同じ物質か
- 観察倍率と尺度は同じか
- 冷却前に結晶があったか
- 測った場所は代表的か
- 温度計や時刻の記録に誤りはないか
結果が予想と違うときは、都合の悪い資料を捨てず、条件や測定方法を点検します。
確認1:この模型で変える条件と測るものは?
変える条件は冷やす速さ、測るものは同じ倍率・尺度で見た結晶の大きさなどです。確認2:「ゆっくり冷えると結晶が大きくなりやすい」の理由は?
結晶を作る粒子が移動して規則正しく並び、結晶が成長する時間を長く取れるからです。確認3:倍率の違う写真だけで結晶サイズを比較できる?
できません。実寸へ直せる倍率またはスケールバーをそろえる必要があります。まとめ
公平な模型では、冷やす速さだけを変え、物質・量・初期温度・容器・倍率をそろえます。ゆっくり冷えると成長時間が長く、大きな結晶になりやすく、速く冷えると細かくなりやすくなります。次は、この関係を地表付近の火山岩と地下深くの深成岩へつなぎます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。