ねばりけが違うと何が変わる?
このレッスンの役割
ここは「マグマのねばりけと噴火」6レッスン中の1番目です。前のセクションで学んだ「地下でできたマグマが上昇し、火山活動につながる」という見方を受け取り、今回はマグマの流れにくさを表す「ねばりけ」だけに注目します。
今回完成させる力は、ねばりけが低い場合と高い場合を、広がり方・流れ方・たまり方から区別することです。まだ噴火の激しさを暗記する必要はありません。次のレッスンで模型実験を公平に比べられるよう、比較のものさしを作ります。
まず知る
ねばりけとは、物質がどれくらい流れにくいかを表す考え方です。
- ねばりけが低い:さらさらしていて流れやすく、広く薄く広がりやすい
- ねばりけが高い:どろどろしていて流れにくく、その場に厚くたまりやすい
水と蜂蜜を思い浮かべると違いをつかめます。ただし、これは動き方を理解するためのたとえです。マグマは非常に高温で、身近な液体と同じ物質ではありません。
同じ斜面、同じ量、同じ時間で比べると、ねばりけの違いが見えやすくなります。
| 観点 | ねばりけが低い | ねばりけが高い |
|---|---|---|
| 流れやすさ | 流れやすい | 流れにくい |
| 一定時間後の広がり | 遠くまで広がりやすい | あまり広がらない |
| 厚さ | 薄くなりやすい | 厚くなりやすい |
| 観察するときの問い | どこまで進んだか | どこにたまったか |
理解する
次の図は、同じ量の液体を同じ傾きの台に置き、同じ時間だけ待ったときの模式図です。
ここで大切なのは、「速い・遅い」という一瞬の印象だけで決めないことです。次の三つをそろえて見ます。
- どこまで進んだか
- どれくらいの面積に広がったか
- どれくらいの厚さで残ったか
たとえば、液体Aが30秒で40 cm進み、液体Bが30秒で10 cmしか進まなかったとします。台の傾き、量、温度が同じなら、Aのほうがねばりけが低いと考えられます。
一方、Aだけ量が多かったり、Aの台だけ急だったりすれば、進んだ距離の違いをねばりけだけのせいにはできません。ねばりけを理解することと、公平に比べることはセットです。
マグマのねばりけは、温度や成分などの影響を受けます。しかしこのレッスンでは、原因を細かく暗記するより、「ねばりけが変わると流れ方がどう変わるか」を確実にします。
使う
同じ傾きの板に、同じ体積の液体PとQを同時に置きました。20秒後の記録は次の通りです。
| 液体 | 進んだ距離 | 広がった幅 | 最も厚い部分 |
|---|---|---|---|
| P | 52 cm | 18 cm | 3 mm |
| Q | 14 cm | 8 cm | 16 mm |
Pは遠く、広く、薄くなっています。Qは近くに厚く残っています。したがって、この条件ではPのねばりけが低く、Qのねばりけが高いと判断できます。
よい説明は「Pのほうが速いから」で終わりません。
「同じ条件で、PはQより遠く広く進み、厚さも小さかった。流れやすく広がりやすいので、Pのほうがねばりけが低いと考えられる。」
このように、資料の数値を根拠にし、その根拠と結論を「流れやすさ」でつなぎます。
色は補助的な情報にしかなりません。「黒っぽいから必ずねばりけが低い」のように、色だけで決めるのは危険です。写真の明るさ、冷え方、表面の状態でも見え方は変わります。
転用する
初めて見る火山の写真で、溶岩が火口の近くに厚く盛り上がっているとします。この写真だけから言えるのは、「流れにくい物質が近くにたまった可能性がある」というところまでです。
ねばりけが高いと断定するには、溶岩がどこまで広がったか、斜面の傾きはどうか、噴出物はどう分布しているかなど、別の証拠も確かめます。理科の推定では、「ありそう」と「必ずそう」を分けることが大切です。
説明の型
「資料では[観察した事実]が見られる。これは[流れやすさとの関係]を示すため、[ねばりけについての結論]と考えられる。ただし、[追加で確認したい条件]も必要である。」
この型は、次の模型実験でも、後の火山資料問題でも使えます。
確認1:同じ条件で遠く薄く広がった液体は、ねばりけが高い?低い?
ねばりけが低いと考えます。流れやすいため、一定時間に遠くまで進み、薄く広がりやすいからです。確認2:「Qは遅いからねばりけが高い」だけでは足りないのはなぜ?
量、斜面、時間、温度などの条件が違う可能性があり、遅さだけをねばりけの違いと結びつけられないからです。広がりと厚さも見ます。確認3:火口近くに厚い溶岩がある火山を初見で説明すると?
ねばりけの高いマグマが流れにくく、近くに厚くたまった可能性を述べます。ただし、斜面や溶岩分布など、複数の証拠で確かめる必要があります。まとめ
ねばりけは「流れにくさ」です。低いと遠く薄く広がりやすく、高いと近くに厚くたまりやすくなります。判断するときは、同じ条件で、距離・広がり・厚さを比べます。次は、ねばりけと気泡の抜け方の関係を、安全な模型実験で公平に確かめます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。