意見文の構成を作ろう:資料の役割を決める
このレッスンの位置
いまは「複数資料で意見を書く」コースの「意見文の構成を作ろう」です。このレッスンでは、各資料が主張・理由・反対意見のどこを支えるか整理することに集中します。到達点は「問題提起、主張、資料による根拠、考察、結論を構成メモに配置する。」です。
受け取る力:資料を比較し、根拠付きで書き、異なる立場を公平に議論する力
中心技能:設計として、複数資料を自分の主張の中で役割分担させる
次へ渡す力:高校入試の資料作文・小論文で、条件を守った一貫した答案を書く力
複数資料を使う文章では、「資料Aによると…資料Bによると…」と順番に要約しただけでは、自分の意見になりません。各資料が何を示し、二つを合わせると何が言え、それが自分の主張をどう支えるかを説明します。
二つの資料を読む
課題:「地域の中学生が図書館を利用しやすくする方法」
資料A:利用者アンケートでは、中学生回答者の48%が「部活動後は閉館時刻に間に合いにくい」と答えた。
資料B:時間帯別利用記録では、平日の17時以降、中学生の利用者は少ない。一方、試験的に19時まで開館した二日間は、各日20人前後の利用があった。
Aは要望・困りごと、Bは実際の利用記録です。Aだけなら希望、Bだけなら人数しか分かりません。合わせると、時間が利用の障壁であり、延長時に利用する生徒がいる可能性を示せます。ただし二日間だけなので、恒久的な延長を直ちに決めるには不足します。
| 資料 | 示すこと | 主張での役割 | 限界 |
|---|---|---|---|
| A | 閉館時刻への困りごと | 問題の存在 | 回答者の意見 |
| B | 延長時の利用実績 | 解決案の可能性 | 試行が二日間 |
| 両方 | 時間と利用の関係 | 試行延長を支える | 長期効果は未確認 |
文章の骨組み
問題
資料Aから、誰がどんな不便を感じているか示します。
主張
「毎日延長」ではなく、「月に二回、一学期間試行する」など、資料の強さに合う提案をします。
根拠の統合
資料Bの利用実績を示し、Aの要望と対応することを説明します。数字を写した後に意味を書きます。
反対意見・条件
職員負担や費用を扱い、曜日限定、予約、利用記録などの条件を示します。
結論
試行後に何を測り、どう判断するかを書きます。
書き方の実例
私は、月に二回、平日の閉館時刻を19時まで延長する試行を提案する。資料Aでは、中学生回答者の48%が部活動後に間に合いにくいと答えている。また資料Bでは、延長した二日間に各日20人前後の利用があった。要望だけでなく実際の利用も見られるため、時間延長には一定の需要があると考えられる。ただし試行期間が短く、毎日の延長を決める根拠としては十分でない。そこで一学期間、月二回に限定し、利用者数と費用を記録して継続を判断するとよい。
資料AとBの役割、合わせて言えること、限界、条件が一続きになっています。
資料を正確に使う
対象
「中学生回答者の48%」を「中学生の半数」と広げないようにします。回答していない人は含まれません。
時期
二日間の結果を一年間へそのまま広げません。
単位
割合と人数、平均と合計を区別します。
程度
「可能性がある」を「必ず効果がある」に変えません。
出所
資料名や作成者が示されていれば、必要に応じて明記します。
体験の入れ方
自分の体験は資料の代わりではなく、資料が示す傾向を具体化する役割にします。
私も部活動後に図書館へ寄ろうとして間に合わなかったことがある。この経験は資料Aの困りごとを具体的に示すが、私一人の経験だけで全員の需要は判断できない。
体験→意味→範囲の限定、の順です。
複数資料が食い違うとき
都合の悪い資料を無視しません。対象や時期の違いを探し、「Aでは増加、Bでは変化なし」と両方を書きます。その上で、どちらの条件が自分の課題に近いか説明します。
意見が対立する資料なら、共通の判断基準を置きます。安全、費用、公平、効果などを同じ表で比べます。
よくある失敗
資料を順に要約して終わる、資料番号だけを書く、数字の意味を説明しない、都合のよい資料だけ使う、資料より強い結論を書く、体験を全体へ広げる、という失敗があります。
文章の各資料へ「この資料は自分のどの文を支えるか」と問い、役割がなければ削るか位置を変えます。
入試答案の確認
- 立場が一文で明確か。
- 指定された全資料を使ったか。
- 各資料の対象・時期・単位を守ったか。
- 資料同士の関係を自分の言葉で説明したか。
- 反対意見や資料の限界を扱ったか。
- 結論が根拠より強すぎないか。
- 字数・文体・段落など条件を守ったか。
練習のしかた
最初は二資料を「役割・言えること・限界」の表にします。翌日は二資料を一文で結び、三日後は反対資料を加えて条件付き結論を書きます。誤りは「資料並列」「関係未説明」「範囲超過」「単位混同」「反対資料無視」に分類します。
理解チェック1:資料を二つ使えば統合できたことになる?
なりません。資料同士の共通点・相違点・補い合いを説明し、自分の主張のどこを支えるか示します。理解チェック2:短期間のデータから何を提案しやすい?
恒久的な実施より、期間と範囲を限定した試行と、追加で測る項目を提案しやすいです。理解チェック3:自分の体験はどう使う?
資料の傾向を具体化する例として使い、一人の経験を全体へ一般化しません。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。