説明文・論説文の抽象語:判断手順を一行ずつ使う
このレッスンの役割
前のレッスンで、抽象語は対の語と組み立てで見当がつくことを知りました。ここでは、論説文の中で抽象語に出会ったとき、その文章での意味を決める手順を使えるようにします。
今回の中心技能は、「対の語を思い出す → 組み立てで見当をつける → 文中の言い換え・具体例で確定する → 自分の言葉で言い換える」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
次の文章で、「画一的」はどういう意味でしょうか。
学校の制服は、生徒を画一的に扱う仕組みだと批判されることがある。つまり、一人ひとりのちがいを無視して、みな同じ型にはめるというのである。
手順で決めます。対の語は「多様」。組み立ては「画(区切る)+一(ひとつ)」で「一つの型にそろえる」。文中の「つまり」のあとに「みな同じ型にはめる」と言い換えがある。自分の言葉で「全員を同じ扱いにすること」。これで確定です。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 「画一的」の場合 |
|---|---|---|
| 1 | 対の語を思い出す | 多様↔画一 |
| 2 | 組み立てで見当をつける | 一つの型にそろえる |
| 3 | 文中の言い換え・具体例で確定する | 「つまり、みな同じ型にはめる」 |
| 4 | 自分の言葉で言い換える | 全員を同じ扱いにすること |
段階3が、論説文ならではの手掛かりです。筆者は抽象語を使ったあと、「つまり」「すなわち」「たとえば」で言い換えや例を出します。そこを探せば、文章の中に答えがあります。
例題1:「普遍的」
音楽は言葉を超えて人を動かす。この力は、特定の文化にしか通じないものではなく、普遍的なものだ。
- 対:特殊↔普遍
- 組み立て:普く(あまねく)+遍く → どこにでも行きわたる
- 文中:「特定の文化にしか通じないものではなく」と対で説明されている
- 自分の言葉:どの文化の人にも通じる
例題2:「契機」
震災を契機に、多くの人が防災について考えるようになった。
- 対:なし(対のない語もある)
- 組み立て:契(結ぶ)+機(きっかけ)
- 文中:「震災を〜に、〜ようになった」の形で、変化の始まりを示している
- 自分の言葉:きっかけ
例題3:「相対的」
「速い」という評価は相対的だ。新幹線は自動車に比べれば速いが、飛行機に比べれば遅い。
- 対:絶対↔相対
- 組み立て:相(たがいに)+対(むかいあう) → 他と比べて
- 文中:「自動車に比べれば」「飛行機に比べれば」と、比べる相手で変わる例
- 自分の言葉:比べる相手によって決まる
文中の手掛かりの型
| 合図 | 何が来るか |
|---|---|
| つまり・すなわち・要するに | 言い換え(抽象語の説明) |
| たとえば・具体的には | 具体例(抽象語の中身) |
| 〜ではなく | 対の語(境目) |
| 〜とは、〜のことである | 定義 |
| 一方・これに対して | 対比される語 |
抽象語の前後でこれらの合図を探すと、段階3が進みます。
段階3で説明が見つからないとき
文中に言い換えがないときは、段階1と2で決めた意味を文に当てはめて、意味が通るか確かめます。通れば、その意味で読み進めます。通らなければ、辞書的な意味とは別の使い方をしている可能性があるので、前後の段落まで探します。
よくある間違い
段階3を飛ばして辞書の意味で読む
「逆説」のように、文脈で意味が決まる語があります。文中の説明が根拠です。
対の語を思い出さない
「相対的」を単独で考えるより、「絶対的ではない」と対で考えるほうが速く決まります。
自分の言葉で言い換えない
言い換えられなければ、まだ分かっていません。設問で「どういうことか」と問われたとき、段階4の言葉がそのまま答えになります。
自分で確かめよう
確認1:「潜在的な能力」を四段階で
顕在↔潜在 → 潜む+在る(隠れてある) → 文中では「まだ表に出ていない」などの説明を探す → 自分の言葉:まだ発揮されていない力。
確認2:抽象語の説明を文中で探すときの合図を三つ
「つまり」「たとえば」「〜ではなく」です。ほかに「〜とは」「一方」もあります。
確認3:段階4をやる理由
自分の言葉で言い換えられれば理解した証拠であり、記述問題の答えにもそのまま使えるからです。
まとめと次の一歩
手順は、対の語を思い出す、組み立てで見当をつける、文中の言い換えや具体例で確定する、自分の言葉で言い換える、の四段階です。「つまり」「たとえば」「〜ではなく」が文中の手掛かりです。
次のレッスンでは、抽象語でよく起きる取り違えを集め、どこで崩れたかを見抜けるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。