書きの力を確かめよう
このレッスンの役割
前のレッスンでは、文字を見て読みを取り出しました。今回は向きを反対にし、音や意味から正しい漢字を取り出します。
中心技能は「意味をつかむ→漢字を選ぶ→字形を点検する」の三段階を自力で行うことです。目安時間は8分です。手本を見ながら写すのではなく、必ず一度は答えを隠して書いてください。
読めるのに書けないのはなぜ?
「観察」を見れば「かんさつ」と読めるのに、ひらがなだけを見ると書けないことがあります。
読むときは、目の前の形が記憶を助けてくれます。書くときは、その形を自分で記憶から取り出さなければなりません。
そのため、漢字学習には二つの練習が必要です。
- 見て意味や読みを確かめる練習
- 見ないで思い出して書く練習
二つ目がないと、「見れば分かる」で止まります。
三段階で書こう
問題:
実験の結果をキロクする。
1 文の意味をつかむ
ここでは、実験で分かったことを後から確認できるように残す、という意味です。
2 意味に合う漢字を選ぶ
「記」は書きしるすこと、「録」は残しておくことに関係します。したがって「記録」を選びます。
3 字形を部品で点検する
- 記=ごんべん+己
- 録=かねへん+右側の「緑」にもある部分
最後に文へ戻し、「実験の結果を記録する」と読んで意味が通るか確かめます。
書けない場所は三種類ある
| 止まった場所 | 状態 | 必要な練習 |
|---|---|---|
| 候補が出ない | 「きろく」の漢字を思い出せない | 答えを隠し、音から想起する |
| 候補を選べない | 同じ音の別の漢字と迷う | 例文と意味を比べる |
| 形が完成しない | 部首・点・線を誤る | 部品を見てから、隠して再現する |
「書けなかった」という結果だけでなく、最初に止まった場所を見つけます。
例題:同じ音の候補を選ぶ
地域の歴史にカンシンをもつ。
候補として「関心」と「感心」が浮かぶかもしれません。
| 語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 関心 | 興味をもって気にかけること | 環境問題に関心をもつ |
| 感心 | 立派だと思い心を動かされること | 努力に感心する |
問題文は歴史に興味をもつという意味なので「関心」です。形を正しく書けても、意味に合わなければ正解にはなりません。
字形は「全体の雰囲気」で覚えない
「なんとなく似ている形」を書くと、点や線が抜けやすくなります。次のように部品で確かめます。
- 議=ごんべん+義
- 察=うかんむり+祭
- 賛=上部の形+貝
- 録=かねへん+右側の形
- 関=もんがまえ+中の形
部首は意味の手掛かりになることもあります。たとえば、言葉や発言に関係する漢字に「ごんべん」が多いことを知ると、候補をしぼりやすくなります。
ミニ診断
かっこのひらがなを漢字に直してください。
- 問題の原因を(しら)べる。
- 友達の意見に(さんせい)する。
- 決めたことを(じっこう)する。
- 大切な点を(かくにん)する。
- 地域の行事に(さんか)する。
- 観察したことを(きろく)する。
答えと点検する場所
- 調べる。「調」の右側は「周」です。
- 賛成。「賛」の下には「貝」があります。
- 実行。「実」と「行」の組み合わせです。
- 確認。「確」の石へん、「認」のごんべんを確認します。
- 参加。「参」と「加」です。
- 記録。「記」と「録」の部首を確かめます。
よくある間違い
答えを見てから何度も写す
写している間は、手本が形を教えてくれます。入試のように手本がない場面の練習にはなりにくい方法です。
次の順で行います。
- 正しい形を一度よく見る
- 部品と意味を声に出す
- 手本を隠す
- 何も見ずに書く
- 違った部分だけを直す
一度書けたら覚えたと思う
短い記憶で書けただけかもしれません。翌日と数日後にも、答えを隠して再確認します。
自分で確かめよう
確認1:「意見にサンセイする」を書く
「意見をよいと認める」という意味なので「賛成」です。書いた後、「賛」の下に「貝」があるかを点検します。
確認2:「歴史にカンシンをもつ」を書く
興味をもつという意味なので「関心」です。「感心」は立派だと思う場面で使います。
確認3:自分の間違いを分類する
漢字が浮かばなければ「想起」、別の同音語を書いたら「意味選択」、部首や線を誤ったら「字形」です。最初に止まった場所を一つ選びます。
まとめと次の一歩
漢字を書くときは、音からいきなり形へ飛びません。文の意味をつかみ、候補を選び、部品で字形を点検します。
次は、送り仮名と同音・同訓の候補を、文の意味や言葉の変化を根拠に選びます。
判断の流れを図で整理する
「小学校漢字の理解度チェック」では、答えだけでなく、どの手掛かりから判断したかを残すことが大切です。次の図は、漢字や読みを文の中で確定する流れです。
図の四段階を使うと、同じ間違いを繰り返しにくくなります。たとえば候補が二つあるときは、先に語の意味を短い日本語へ言い換えます。そのあと文の主語・述語・目的語とのつながりを確認します。最後に、選んだ読みや表記で文全体を声に出し、不自然さがないか確かめます。
誤答から復習先を決める
間違いは、次の四種類に分けます。
| 誤りの種類 | 起きていること | 戻る行動 |
|---|---|---|
| 読み | 語のまとまりを切り違えた | 前後を含めて音読する |
| 意味 | 語を別の意味で捉えた | 短い言葉へ言い換える |
| 選択 | 候補を比べず決めた | 二候補の違いを書く |
| 形 | 部品や送り仮名が曖昧 | 見本を閉じて再現する |
正答した問題も、理由を説明できなければ「たまたま」の可能性があります。答えを隠し、判断の手掛かりを先に言ってから再答してください。翌日と一週間後にも同じ手順を短く行うと、思い出す力が安定します。
確認:理由まで言えるか
このレッスンで扱った例を一つ選び、「文脈では〜という意味なので、この読み/字を選ぶ」と説明してください。確認:誤答の種類を見分ける
自分の直近の間違いを、読み・意味・選択・形のどれかに分類し、次に行う確認を一つ決めてください。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。