同訓異字を使い分けよう:意味と手掛かりをつかむ
このレッスンの役割
前のセクションでは、同じ音読みの熟語(同音異義語)を扱いました。ここでは、同じ訓読みを持つ漢字、同訓異字を文脈に合わせて書き分けます。
今回の中心技能は、「はかる」「おさめる」のように同じ訓を持つ漢字を、対象(何を)と意味(どうする)、そしてその字を使う音読みの熟語から選ぶことです。目安時間は8分です。
今日の問い
「体重をはかる」「時間をはかる」「深さをはかる」。三つの「はかる」は、同じ漢字でしょうか。
ちがいます。
| 文 | 漢字 | 対象 | その字の熟語 |
|---|---|---|---|
| 体重をはかる | 量る | 重さ・かさ | 計量・分量 |
| 時間をはかる | 計る | 時間・数 | 計算・計時 |
| 深さをはかる | 測る | 長さ・深さ・高さ・面積 | 測定・測量 |
訓は同じ「はかる」でも、何をはかるかで漢字が決まります。そして、その漢字を使う音読みの熟語(計量・計算・測定)を思い出すと、意味の方向が確かめられます。
同訓異字を見分ける二つの手掛かり
| 手掛かり | 問い | 例 |
|---|---|---|
| 対象 | 何を? 誰を? | 重さなら「量る」、長さなら「測る」 |
| 音読みの熟語 | その字でできる熟語は? | 量→計量、測→測定、計→計算 |
音読みの熟語に置きかえられれば、漢字が決まります。「深さを測定する」とは言えても「深さを計量する」とは言わないので、「測る」です。
よく出る組を手掛かりで分ける
| 訓 | 漢字と対象・意味 | 熟語の手掛かり |
|---|---|---|
| はかる | 計る(時間・数)/測る(長さ・深さ)/量る(重さ・かさ)/図る(計画する・企てる)/諮る(相談する) | 計算・測定・計量・意図・諮問 |
| おさめる | 収める(中に入れる、手に入れる)/納める(渡すべきものを渡す)/治める(しずめる、統治する)/修める(学問や行いを正しくする) | 収納・納税・治安・修学 |
| あげる | 上げる(位置や程度を上へ)/挙げる(はっきり示す、行う)/揚げる(高くかかげる、油で揚げる) | 上昇・列挙・掲揚 |
| あう | 合う(一致する)/会う(人と顔を合わせる)/遭う(災難に出くわす) | 合致・会談・遭難 |
| かえる | 変える(状態を変える)/換える(取りかえる)/替える(別のものにする)/代える(代わりにする) | 変化・交換・交替・代理 |
同じ組でも、対象と熟語の両方で確かめると迷いません。
例題:「成功をおさめる」
対象は「成功」で、「手に入れて自分のものにする」という意味です。熟語なら「収穫」「収得」の「収」が合います。したがって「収める」です。「税金を納める」は渡すべきものを渡すので「納」、「国を治める」は統治なので「治」、「学問を修める」は身につけるので「修」です。
例題:「解決をはかる」
対象は「解決」で、「そうなるように計画する・努める」という意味です。熟語なら「意図」「企図」の「図」なので「図る」です。数や長さをはかるのではありません。「会議にはかる」なら、相談する意味なので「諮る」です。
よくある間違い
訓だけで覚えて、対象を見ない
「はかる」と聞いて「計る」と書くと、重さや長さで間違えます。「何を」を先に言います。
熟語を思い出さずに決める
「深さを測る」が合っているかは「測定」に置きかえると確かめられます。熟語は自分の判断を確かめる道具です。
一つの字にまとめようとする
「はかる」は五つあります。場面ごとに字がちがう、という前提で考えます。
自分で確かめよう
確認1:「荷物の重さをはかる」の「はかる」はどれですか
「量る」です。対象が重さで、熟語「計量」に置きかえられます。
確認2:「手を挙げる」と「手を上げる」はどうちがいますか
「挙げる」は、意見があるとはっきり示す(挙手)。「上げる」は、物理的に手を上の位置へ動かす(上昇)。「はっきり示す」意味なら「挙」です。
確認3:同訓異字を見分ける二つの手掛かりは何ですか
対象(何を・誰を)と、その字を使う音読みの熟語です。
まとめと次の一歩
同訓異字は、対象(何を)と、その字を使う音読みの熟語(計量・測定・計算)で見分けます。訓だけで一つの字に決めず、場面ごとに字がちがう前提で考えます。
次のレッスンでは、この見分け方を手順にして、迷う語でも同じ順で判断できるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。