このチェックで見つける三つの力
このレッスンの役割
ここは「漢字を読む・書く」コースの入口です。これから問題を解く前に、漢字のつまずきを三つの力に分けて見られるようにします。
今回の中心技能は、間違いを「読む・書く・文脈で選ぶ」のどこで起きたか説明できることです。漢字をたくさん覚えるのは、この後のレッスンで行います。
目安時間は6分です。答えを読み返すだけでなく、いったん隠して、自分の言葉で理由を説明してください。
同じ不正解でも、原因は違う
次の文を考えます。
科学者が新しい方法を提案し、その効果を測った。
この一文だけでも、三つの力が働いています。
| 力 | この文で確かめられること | 止まりやすい場所 |
|---|---|---|
| 読む力 | 「提案」「効果」「測った」を読める | 漢字を見ても音が出てこない |
| 書く力 | 「ていあん」「こうか」を漢字で書ける | 読めるが、何も見ずには書けない |
| 選ぶ力 | 効果を「測る」が文脈に合うと判断できる | 「計る・測る・量る」で迷う |
すべてを「漢字が苦手」とまとめると、何を練習すればよいか分かりません。原因を分ければ、必要な練習も変わります。
「知っている」と「使える」は同じではない
答えを見て「知っていた」と感じても、何も見ずに取り出せなければ、入試では使えません。
漢字の学習には、少なくとも三つの状態があります。
- 見れば分かる
- 少し考えれば思い出せる
- 文の中ですぐ正しく使える
診断では、3だけを合格と決めつけません。1から2へ、2から3へ進むために、現在地を正確に見つけます。
例題:間違いの原因を見つける
問題:
「地域の安全をホショウする」のホショウを漢字で書きなさい。
生徒Aは「補償」と書きました。字の形は正しく書けています。しかし、この文の「安全を守る」という意味には「保障」が合います。
この間違いは「書く力」ではありません。漢字は書けているからです。「音が同じ候補を、文脈で選ぶ力」のつまずきです。
一方、「保障」と答えたいことは分かっていたのに「障」の右側が書けなかったなら、「書く力」のつまずきです。同じ不正解でも戻る場所が違います。
よくある判断ミス
一問の不正解だけで「覚えていない」と決める
不正解の原因は、知識不足だけではありません。問題文を読み飛ばした、候補の意味を混同した、字形の一部を思い出せなかった、という場合もあります。
正解なら問題なしと決める
当てずっぽうで正解した問題は、まだ安定していません。「なぜその漢字か」を説明できるかまで確かめます。
すべて十回ずつ写す
原因が読み方なら、写すだけでは読みを取り出す練習になりません。原因に合う方法を選ぶことが大切です。
自分で確かめよう
確認1:三つの力を分ける
「資料の内容をセイリする」の「セイリ」を読めるが、漢字で書けなかった場合は「書く力」のつまずきです。候補となる漢字を思い出して形にする段階で止まっています。
確認2:原因を説明する
「人気のない道」の「人気」を「にんき」と読んだ場合は、文字の読みそのものを知らないとは限りません。文中の「人の気配がない」という意味を使って読みを選べなかったため、「読む力の中の文脈判断」で止まっています。
確認3:練習方法を選ぶ
「関心」を見れば読めるが、翌日に書けない場合は、答えを隠して思い出す練習が必要です。今日、翌日、数日後と間を空けて書き直します。
まとめと次の一歩
今回できるようになったのは、漢字の不正解を三つの力へ分けることです。
- 読めないなら、文字から音と意味を取り出す
- 書けないなら、手本を隠して形を取り出す
- 選べないなら、文脈と候補の意味を比べる
次のレッスンでは、この地図のうち「読む力」だけを取り出し、どこで判断が止まるのかを詳しく確かめます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。