LESSON 01

文脈から漢字の読みを判断しよう

入試形式で読みの根拠を説明しよう

初めて見る短文でも、読みと根拠をセットで示し、弱点を診断します。

入試形式で読みの根拠を説明しよう

このレッスンの役割

ここは「文脈から漢字の読みを判断しよう」セクションの出口です。これまでの六つの技能を、初めて見る短文で組み合わせます。

中心技能は、文脈に合う読みを答え、根拠となった語句を示すことです。目安時間は9分です。答えを開く前に、読みと理由を一組で紙へ書いてください。

入試で必要なのは「知識+判断」

漢字の読み問題は、知っていればすぐ答えられるものもあります。しかし、同じ表記に複数の読みがある語では、文を正確に読む力も必要です。

このセクションで使った手順をまとめます。

  1. 語のまとまりを見つける
  2. 前後から意味を短く言い換える
  3. 複数の読みを比較する
  4. 必要なら段落まで見る
  5. 読みを文へ戻して検証する

試験中に毎回この五段階を書き出す必要はありません。練習では理由まで丁寧にたどり、本番では短時間で行えるようにします。

総合問題

問1

朝の市場には、近くの港から新鮮な魚が次々と運び込まれた。

「市場」の読みと、根拠となる語句を答えてください。

問2

インターネットの普及により、企業は世界市場へ商品を届けやすくなった。

「市場」の読みと、根拠となる語句を答えてください。

問3

連休中の校舎には人気がなく、足音だけが廊下に響いた。

「人気」の読みと、根拠となる語句を答えてください。

問4

その選手は駆け引きが巧みで、決勝でも相手より一枚上手だった。

「上手」の読みと、文中での意味を答えてください。

答えと考え方

問1

読みは「いちば」です。

「港から新鮮な魚が運び込まれた」が、魚を売買する具体的な場所を示しています。語を「魚を売買する場所」と言い換えられます。

問2

読みは「しじょう」です。

「企業」「世界」「商品を届ける」が、商品を取引する範囲を示しています。一つの建物や場所ではありません。

問3

読みは「ひとけ」です。

「連休中の校舎」「足音だけ」が、人がいる気配のない状況を示しています。「多くの人に好かれていない」という意味ではありません。

問4

読みは「うわて」です。

文中では「相手より考え方や技術が一段優れていた」という意味です。「駆け引きが巧み」「相手より一枚」が根拠です。

誤答から戻る場所を決める

誤答の特徴 止まった技能 戻るレッスン
対象語の範囲を取り違えた 語のまとまり 語のまとまりを見つけよう
根拠となる語句を示せない 意味の言い換え 前後の言葉から意味を言い換えよう
候補を一つしか考えなかった 候補比較 同じ表記の読みを比べよう
一文だけでは決まらなかった 読む範囲 手掛かりを段落まで広げよう
読みを入れると不自然だった 検証 読みを文に戻して確かめよう

正答数だけでなく、どの段階で止まったかを記録します。

よくある間違い

根拠に対象語そのものを書く

「市場と書いてあるから」という説明では、二つの読みを区別できません。周囲の「魚が運び込まれた」「世界へ商品を届ける」などを根拠にします。

意味だけ答え、読みを書かない

読解として意味が分かっても、漢字の読み問題では読みをひらがなで正確に書く必要があります。小さい「ゃ・ゅ・ょ」、濁点、長音にも注意します。

一問の正誤だけで苦手を決める

同じ技能を別の文でも確認します。二回以上同じ段階で止まるなら、戻るレッスンを決めます。

自分で説明しよう

次の三つを、本文を見ずに言ってください。

  1. 同じ表記で読みが変わるのはなぜか
  2. 一文で読みが決まらないとき、どこを見るか
  3. 読みを選んだ後、何を確かめるか
説明の例
  1. 文中で表す意味が違うため、読みも変わります。
  2. 前後の文、さらに必要なら段落全体の話題まで見ます。
  3. 意味・文の形・周囲の語との自然な結び付きが合うかを確かめます。

セクションの出口

初めて見る短文で「読み+根拠」を答えられたら、このセクションは完了です。

次のセクション「音読み・訓読みを使い分けよう」では、文脈判断に加えて、熟語や送り仮名から読みの候補を作る知識を学びます。今回の力があることで、音訓の知識を機械的な暗記で終わらせず、実際の文章で使えるようになります。

判断の流れを図で整理する

「文脈から漢字の読みを判断しよう」では、答えだけでなく、どの手掛かりから判断したかを残すことが大切です。次の図は、漢字や読みを文の中で確定する流れです。

入試形式で読みの根拠を説明しようで使う漢字判断の流れ 表記を観察し、語の意味を考え、文脈と照合し、文全体で確認する四段階 表記を見る読み・形・部品 語の意味言い換える 文脈と照合前後に合うか 再確認文を読む

図の四段階を使うと、同じ間違いを繰り返しにくくなります。たとえば候補が二つあるときは、先に語の意味を短い日本語へ言い換えます。そのあと文の主語・述語・目的語とのつながりを確認します。最後に、選んだ読みや表記で文全体を声に出し、不自然さがないか確かめます。

誤答から復習先を決める

間違いは、次の四種類に分けます。

誤りの種類 起きていること 戻る行動
読み 語のまとまりを切り違えた 前後を含めて音読する
意味 語を別の意味で捉えた 短い言葉へ言い換える
選択 候補を比べず決めた 二候補の違いを書く
部品や送り仮名が曖昧 見本を閉じて再現する

正答した問題も、理由を説明できなければ「たまたま」の可能性があります。答えを隠し、判断の手掛かりを先に言ってから再答してください。翌日と一週間後にも同じ手順を短く行うと、思い出す力が安定します。

確認:理由まで言えるか このレッスンで扱った例を一つ選び、「文脈では〜という意味なので、この読み/字を選ぶ」と説明してください。
確認:誤答の種類を見分ける 自分の直近の間違いを、読み・意味・選択・形のどれかに分類し、次に行う確認を一つ決めてください。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。