根拠と具体例の違い:抽象度と役割をつかむ
このレッスンの役割
「根拠」と「具体例」は、どちらも主張の下に置かれますが、働きが違います。根拠は「主張が正しい」と思わせ、具体例は「主張の意味が分かる」ようにします。ここでは、二つの違いと、一つの文が両方の役割を持つ場合をつかみます。設問「この例はどの主張をどのように支えているか」の答え方の土台です。
今回の中心技能は、主張の下にある文を「根拠」「具体例」「両方」に分け、「どの主張を」「どのように」支えるかを一文で言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
主張:道具は人の能力を広げる。 ①望遠鏡は、肉眼では見えない星を見せてくれる。②ある調査では、道具の発明が多い時代ほど、人の活動範囲が広がった。
①は「能力を広げる」の意味を分からせる具体例であり、同時に「本当に広げている」と思わせる根拠でもある(両方)。②は調査で「正しい」と思わせる根拠だが、意味を分からせる例ではない(根拠)。
根拠と具体例の定義
| 項目 | 根拠 | 具体例 |
|---|---|---|
| 働き | 主張が正しいと思わせる | 主張の意味を分かりやすくする |
| 問い | なぜそう言えるか | たとえばどういうことか |
| 合図 | なぜなら、からだ、調査では | たとえば、具体的には |
| 抽象度 | 高い(理由)〜低い(数値) | 低い |
| なくなると | 主張が信じられない | 主張が分かりにくい |
同じ文が両方の役割を持つ場合
| 文 | 根拠として | 具体例として |
|---|---|---|
| 望遠鏡は見えない星を見せる | 道具が能力を広げた一つの証拠 | 「能力を広げる」の意味の例 |
| 祭りの準備で隣家の男性と長く話した | つながりが強まった証拠(弱い) | 「つながりを強める」の意味の例 |
抽象度の低い事例は、たいてい両方の役割を持ちます。設問が「根拠」と「例」のどちらを聞いているかで、答える側面を変えます。
「どの主張を」「どのように」の説明の形
| 要素 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| どの主張を | 例が支えている抽象の文 | 「道具は人の能力を広げる」という主張を |
| どのように | 根拠としてか例としてか、何を示して | 肉眼で見えない星が見えるという事実を示すことで、能力が広がる一例として裏づけている |
一文にすると:「望遠鏡の例は、『道具は人の能力を広げる』という主張を、肉眼で見えない星が見えるという事実によって、能力が広がる一例として裏づけている。」
例が支える主張の見つけ方
| 位置 | 合図 |
|---|---|
| 例の直前 | 「たとえば」の前 |
| 例の直後 | 「このように」「つまり」の後 |
| 段落の最初 | 中心文 |
複数の主張があるとき、例がどれを支えるかは、例の要素と主張の要素の対応で決めます(具体化の三条件)。
例題:分ける
主張:手書きは記憶を深める。 ア 内容を自分の言葉に直すからだ。 イ たとえば、講義を手書きでまとめた学生は、一週間後も要点を言えた。 ウ 実験では、手書きの学生の理解度テストの点が十二点高かった。
| 文 | 根拠 | 具体例 | 判定 |
|---|---|---|---|
| ア | ○(理由) | × | 根拠 |
| イ | △(一例で弱い) | ○(意味を示す) | 主に具体例(両方) |
| ウ | ○(数値) | × | 根拠 |
よくある間違い
根拠と具体例を同じものだと思う
働きが違います。根拠は「正しいか」、例は「どういうことか」。
具体例を根拠に数えない
事例は、弱くても根拠の一種です。設問「根拠を全部挙げよ」では入れます。
「どのように」を省いて「どの主張を」だけ答える
設問は「どのように支えるか」まで求めます。何を示して支えているかを書きます。
自分で確かめよう
確認1:根拠と具体例の働きの違い
根拠:主張が正しいと思わせる。具体例:主張の意味を分かりやすくする。
確認2:「望遠鏡は見えない星を見せる」は根拠と具体例のどちらですか
両方(能力が広がる証拠であり、意味を示す例でもある)。
確認3:「どの主張をどのように支えるか」の答えの形
「〜という主張を、〜という事実(例)を示すことで、〜として支えている。」
まとめと次の一歩
根拠は主張を正しいと思わせ、具体例は意味を分かりやすくします。事例は両方の役割を持つことが多く、設問に応じて側面を選びます。「どの主張を」「どのように」の形で説明します。
次のレッスンでは、例が支える主張を特定し、支え方を説明する手順を一行ずつ使えるようにします。
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