必要な根拠を本文から選ぼう:根拠のずれを直す
このレッスンの役割
根拠の選択の誤りは、近くの文を機械的に選ぶ、譲歩・引用を入れる、別の主張の根拠を選ぶ、設問の指示を守らない、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。記述の減点のほとんどは、この四つです。
今回の中心技能は、根拠の答案を見て四つの型のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
設問「筆者が『祭りは続けるべきだ』と述べる根拠」に、「準備は負担が大きいから」と答えた人がいます。どこで誤ったのでしょうか。
「確かに、準備は負担が大きい」は譲歩で、主張と反対の向きです。主張の直前にあるので選びやすいですが、根拠ではありません。譲歩を根拠に入れた型②です。根拠は「つながりを強めるから」。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 近くを機械的に | 主張の直前・直後の文を根拠にする | 主張の直後の補足を根拠に | 要素で走査し、基準で判定 |
| ② 譲歩・引用を入れる | 「確かに」「と言われる」の文を根拠に | 負担が大きいから | 向きを確かめる(反対なら除外) |
| ③ 別の主張の根拠 | 同じ本文の別の主張を支える文を選ぶ | 「道具は能力を広げる」の根拠に「歩かなくなる」 | 要素の対応で選び直す |
| ④ 指示を守らない | 字数超過、言い換え禁止なのに言い換え、数が違う | 四十字指定で六十字 | 段階4で指示を確認 |
型①を直す:位置ではなく基準
| 位置 | 根拠とは限らない理由 |
|---|---|
| 主張の直前 | 譲歩(確かに〜。しかし主張)のことが多い |
| 主張の直後 | 補足(ただし〜)のことが多い |
| 離れた段落 | 根拠がここにあることも多い |
位置は手掛かりの一つですが、判定は基準で行います。
型②を直す:向きの確認
| 文 | 向き | 判定 |
|---|---|---|
| 準備は負担が大きい | 主張(続けるべき)と反対 | 譲歩 → 除外 |
| 「祭りは古い」と言われる | 引用(筆者の根拠ではない) | 除外 |
| 負担を分け合うことがつながりを作る | 主張を支える | 根拠 |
「この文があると主張を認めやすくなるか」で確かめます。
型③を直す:要素の対応
| 設問の主張 | 候補の文 | 要素の対応 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 道具は能力を広げる | 望遠鏡は目の範囲を広げた | 広げる ○ | 根拠 |
| 道具は能力を広げる | 自動車に頼れば歩かなくなる | 広げる ×(代償) | 別の主張の根拠 |
同じ段落・同じ話題でも、要素が対応しなければ別の主張の根拠です。
型④を直す:指示の表
| 指示 | 守り方 |
|---|---|
| 〜字以内 | 直接の根拠を優先し、間接を削る |
| 本文の言葉を使って | 本文の語句をそのまま。言い換えない |
| 本文の言葉を使わずに | 言い換える |
| 一つ/二つ/すべて | 数を守る。「一つ」なら最も直接のもの |
| 「〜から」の形で | 文末を合わせる |
答案を書いた後、指示を一つずつ照らします。
例題:どの型か
設問「筆者が『手書きを重視すべきだ』と述べる根拠を一つ」に、「パソコン入力は速くて便利だから」と答えた。
型②。譲歩(手書きと反対の向き)。「内容を自分の言葉に直すから」。
同じ設問に、「記憶を深め、自分の言葉に直し、十二点高く、弟も上がった」と四つ書いた。
型④。「一つ」の指示。最も直接の「自分の言葉に直すから」(理由)または「十二点高かった」(数値)。
よくある間違い
主張の直前の文を「理由」だと思う
直前は譲歩が多い。「確かに」があれば除外。
同じ話題の文を全部根拠だと思う
要素の対応で選びます。同じ道具の話でも「広げる」と「代償」は別。
答案を書いて指示を見直さない
字数・言葉・数は、書いた後に照らします。
自分で確かめよう
確認1:「準備は負担が大きいから」を根拠とした誤りの型と直し方
型②(譲歩を入れた)。向きを確かめ、「つながりを強めるから」に。
確認2:主張の直前の文が根拠とは限らない理由
譲歩(確かに〜)のことが多いから。
確認3:答案を書いた後に照らす指示
字数、本文の言葉の使用、根拠の数、文末の形。
まとめと次の一歩
根拠の選択の誤りは、近くを機械的に、譲歩・引用、別の主張の根拠、指示違反、の四つに分けられます。基準での判定、向きの確認、要素の対応、指示の照合、で直します。
次のレッスンでは、入試形式の「根拠を抜き出せ」「理由を本文の言葉で」「適切な根拠を選べ」で、根拠の選択を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。