条件と仮定:複数段落・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「条件と仮定」の出口です。見分け方、四段階の手順、誤りの四つの型を、複数段落の論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、「本文から言えること」を条件の成立で判定し、反事実から筆者の気持ちを読み、条件の裏を選ばないことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
条件と仮定は、三つの形で出ます。
- 内容一致:「本文の内容と合うものを選べ」(条件つきの帰結が選択肢に混ざる)
- 条件の指摘:「筆者は、どのような場合に〜と述べているか」
- 反事実の読み取り:「──線部から読み取れる筆者の考えを答えよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
一般に、生き物は、環境が急に変わると生き残れない。変化が長い時間をかけて進めば、世代を重ねるうちに適応できる。しかし、数十年という短い期間で気温が上がれば、適応は間に合わない。
ある高山の植物は、気温が上がるにつれて、より高い場所へと分布を移してきた。もし山がもっと高ければ、植物はさらに上へ逃げられただろう。だが、山の高さには限りがある。
私たちにできることは、変化の速さを緩めることだ。変化が止められないとしても、速さを緩められれば、適応の時間を稼ぐことができる。
問1
本文の内容と合うものを選びなさい。ア 生き物は環境の変化に必ず適応できる イ 変化が長い時間をかけて進めば適応できる ウ 高山の植物はさらに上へ逃げた エ 変化を止めれば適応の時間を稼げる
問2
筆者は、どのような場合に「適応は間に合わない」と述べているか。
問3
「もし山がもっと高ければ、植物はさらに上へ逃げられただろう」から読み取れる事実を答えなさい。
問4
「変化が止められないとしても、速さを緩められれば、適応の時間を稼ぐことができる」で、帰結が成り立つ条件は何か。
答えと判断
問1
イ。「変化が長い時間をかけて進めば〜適応できる」の条件つきの文と一致。アは「急に変わると生き残れない」に反する。ウは反事実の帰結で、「山の高さには限りがある」から逃げられていない。エは「止められないとしても」が前提で、条件は「速さを緩める」であり「止める」ではない。
問2
数十年という短い期間で気温が上がった場合。「〜上がれば、適応は間に合わない」の条件の側。
問3
山の高さに限りがあり、植物はこれ以上、上へ逃げられない。「もし〜ければ〜だろう」は反事実で、事実は逆。「だが、山の高さには限りがある」で確認できる。
問4
変化の速さを緩められること。「止められないとしても」は譲歩で、条件ではない。「緩められれば」が条件。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1でウ | 反事実の帰結を事実と見なした | 関係の取り違えを直す(型①③) |
| 問1でエ | 条件を「止める」と取り違えた | 関係を矢印で表す(段階1) |
| 問2で「変化が長い時間をかけて進む場合」 | 帰結と条件の対応を取り違えた | 二つの情報を正しく分ける |
| 問3で「山がもっと高い」 | 反事実を事実と読んだ | 関係の取り違えを直す(型③) |
条件の表
| 条件 | 帰結 | 型 | 成り立つか |
|---|---|---|---|
| 環境が急に変わると | 生き残れない | 規則 | 一般論 |
| 長い時間をかけて進めば | 適応できる | 規則 | 一般論 |
| 短い期間で気温が上がれば | 間に合わない | 規則 | 現状に当てはまる |
| 山がもっと高ければ | さらに上へ逃げられた | 反事実 | 成り立たない(限りがある) |
| 速さを緩められれば | 時間を稼げる | 提案 | 筆者の主張 |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 選択肢の「〜できる」は条件つきか | 本文の「〜ば」 |
| 反事実の帰結を事実にしていないか | だろう、のに |
| 「としても」を条件にしていないか | 譲歩 |
| 条件と帰結の対応を取り違えていないか | どの「ば」のどの帰結か |
| 裏を選んでいないか | 〜でなければ〜でない |
よくある間違い
「〜できる」の選択肢を条件を外して読む
「適応できる」は「長い時間をかけて進めば」つきです。無条件の「必ず適応できる」は誤り。
「としても」を条件と取り違える
「止められないとしても」は譲歩で、条件は「緩められれば」です。
反事実の帰結を「起きたこと」として選ぶ
「逃げられただろう」は起きていません。「だが」の後で事実が示されます。
自分で説明しよう
確認1:条件の関係を扱う四段階
条件と帰結を切る、型を決める、成り立つかを確かめる、成り立つなら事実に移す。
確認2:「〜としても」と「〜ば」の違い
「としても」は譲歩(それでも)、「ば」は条件。
確認3:反事実から読み取るもの二つ
逆算した事実と、それに対する筆者の気持ち(後悔、不満、願望)。
セクションの出口
複数段落の論説文で、条件つきの帰結を成立で判定し、反事実から事実を逆算し、譲歩と条件を区別できたら完了です。
次のセクション「接続語が示す関係」では、ここまでの関係を接続語から素早く判定する方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。