不足している情報を考えよう:複数資料・入試で判断する
このレッスンの役割
ここは「不足している情報を考えよう」の出口です。四つの種類、書く形、四段階の手順、誤りの四つの型を、複数の資料を読む入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、判断できない理由を書き、足りない情報を四つの種類で挙げ、優先順位を説明し、最優先の情報を具体的に書くことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
足りない情報は、四つの形で出ます。
- 理由:「この資料だけでは〜と判断できない理由を書け」
- 列挙:「判断するためにさらに必要な情報を二つ書け」
- 優先:「最も必要な情報を選び、理由を書け」
- 具体化:「必要な情報を、対象と比較の方法が分かるように書け」
総合問題
生徒会が「昼休みの体育館開放を毎日に増やすべきだ」と提案しています。三つの資料を読んで、あとの問いに答えなさい。
【資料A】生徒会のアンケート(全校五百二十人中、回答三百十人) 「昼休みの体育館開放を増やしてほしい」八十二%、「今のままでよい」十四%、「減らしてよい」四%。
【資料B】保健室の記録 「今年度の昼休みのけがの手当ては二十三件。うち体育館での発生が十五件。」
【資料C】体育科の先生の話 「開放を増やすと、監督する教員の負担が増える。他校では開放日を増やしてけがが増えた例があると聞いている。」
問1
資料A〜Cだけでは「毎日に増やすべきだ」と判断できない理由を、四十字以内で書きなさい。
問2
判断するためにさらに必要な情報を、「数値」と「比較対象」の種類から一つずつ書きなさい。
問3
資料Cの「他校ではけがが増えた例がある」を根拠として使うために必要な情報を書きなさい。
問4
問2・問3で挙げた情報のうち、最も必要なものを一つ選び、「何を・誰について・いつの・どう比べる」が分かるように書きなさい。
答えと判断
問1
「希望の多さは分かるが、開放を増やした場合のけがや教員の負担への影響が分からないから。」(四十字)。
問2
数値:現在の開放日数と、一日あたりの利用人数。または体育館でのけが十五件の、開放日一日あたりの件数。比較対象:体育館を開放していない日の昼休みのけがの件数(開放の有無で比べる)。
問3
その他校の、開放日を増やす前と後のけがの件数、増やした日数、利用人数。「聞いている」は伝聞で、出典(どの学校の、いつの記録か)が必要。
問4
「本校の昼休みのけがの件数を、体育館を開放した日と開放しなかった日とで、一日あたりで比べた数値」。開放がけがを増やすかどうかが、提案の是非を最も左右するため。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「回答率が低いから」だけ | 回答率は六割で低くない。主張の要素(けが・負担)の支えがないことが理由 | 出典・根拠を手順で調べる(段階1) |
| 問2で「けがの件数」 | 資料Bにある | 印象に流された判断を直す(型②) |
| 問2で「生徒の人数」 | 資料Aにある | 印象に流された判断を直す(型②) |
| 問3で「先生の名前」 | 必要だが、根拠として使うために最も必要なのは他校の前後の数値 | 確かめる観点をつかむ(四つの種類) |
| 問4で「もっと詳しいけがの情報」 | 抽象的 | 印象に流された判断を直す(型①) |
要素と支えの表
| 主張の要素 | 支える資料 | 足りない情報 |
|---|---|---|
| 生徒が望んでいる | A(八十二%、回答六割) | ほぼ十分 |
| 増やしてもけがが増えない | B(十五件)、C(増えた例) | 開放の有無でのけがの比較、他校の前後の数値 |
| 教員の負担に対応できる | なし | 監督に必要な教員数、現在の負担 |
| 毎日が適切(週三日などでなく) | なし | 日数ごとの比較 |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 判断できない理由を主張の要素の支えのなさで書いたか | けが・負担 |
| 資料にある情報を挙げていないか | 件数、人数 |
| 四つの種類を使い分けたか | 数値・比較対象 |
| 最優先を「主張の中心に関わる」で選んだか | 開放の有無でのけがの比較 |
| 四つの要素を含めて書いたか | 問4 |
よくある間違い
資料Aの八十二%を「足りない」と疑う
回答率六割で、生徒の希望としては十分。足りないのは希望ではなく、けがと負担の情報。
資料Cの伝聞を「信用できない」で終わらせる
伝聞を根拠にするために必要な情報(出典と数値)を書くのが設問。捨てるのではなく、補う。
「毎日」の妥当性を見落とす
「増やす」と「毎日」は別。日数ごとの比較も足りない情報。
自分で説明しよう
確認1:足りない情報の四つの種類
条件、数値、比較対象、反対意見。
確認2:足りない情報を洗い出して書く四段階
要素と支えの表、四つの種類で挙げる、優先順位、具体的に書く。
確認3:記述の誤りの四つの型
抽象的、すでにある、関係ない、誤りとして書く。
セクションの出口
複数の資料から主張の要素と支えを表にし、判断できない理由を書き、足りない情報を種類で挙げ、優先順位をつけ、四つの要素を含めて具体的に書けたら完了です。
次のセクション「出典を示して情報を使おう」では、確かめた情報を自分の文章で使うときに、引用と自分の考えを分け、出典を明らかにする方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。