発想を広げる問い:目的と材料を分ける
このレッスンの位置
いまは「材料を集めて構成する」コースの「発想を広げる問い」です。このレッスンでは、誰に何を伝えるかを決め、使える事実や経験を集めることに集中します。到達点は「いつ・どこで・誰が・なぜ・どのようにを使い、材料の不足を見つける。」です。
受け取る力:文章の要旨を捉え、情報の関係や信頼性を見分ける力
中心技能:準備として、目的に合う材料を選び、読み手が追える順序に並べる
次へ渡す力:根拠を添えて書き、読み手に応じて推敲する力
書き始めてから考えると、話が途中でずれやすくなります。書く前に「目的・読み手・問い」を固定し、材料を目に見える形へ出します。よい文章は、難しい言葉より、必要な材料が必要な順に置かれている文章です。
課題を三つに分ける
例として「学校に新しい休み時間の過ごし方を提案する」という課題を考えます。
| 確認項目 | 問い | この課題での例 |
|---|---|---|
| 目的 | 読み手にどうしてほしいか | 提案を検討してほしい |
| 読み手 | 何を知り、何を心配するか | 生徒会・先生、実現性を重視 |
| 条件 | 字数、資料、文体、期限 | 400字、資料一つ使用 |
| 中心 | 一文で何を言うか | 静かな活動場所を選べるようにする |
材料は四種類集める
事実、具体例、理由、反対意見を分けます。頭の中だけで考えず、短い句でカードにします。
- 事実:現在の休み時間は体育館に人が集中する。
- 具体例:空き教室で読書会を試した日は十五人が参加した。
- 理由:活動を選べると、休息の仕方が違う生徒にも合う。
- 反対意見:見守る先生の負担が増える。
- 条件付き解決:週一回、参加人数を決めて試す。
材料が多いほどよいわけではありません。中心の一文を支えない材料は、面白くても外します。
構成メモを作る
導入
読み手が課題を理解できる事実や問いを置きます。最初から細かな例を出しすぎません。
中心
主張→理由→根拠→説明の順にします。反対意見を扱うなら、相手の心配を正確に示してから条件や解決案を書きます。
まとめ
同じ主張をそのまま繰り返すのではなく、どんな行動を提案するか、どの条件なら実行できるかを示します。
| 段落 | 役割 | 入れる材料 | 入れない材料 |
|---|---|---|---|
| 1 | 問題・目的 | 現状、問い | 詳細なデータ全部 |
| 2 | 主張・理由 | 中心の考え、理由 | 関係の薄い経験 |
| 3 | 根拠・具体化 | 数値、例、説明 | 新しい主張 |
| 4 | 条件・結論 | 反対意見への対応、提案 | 未説明の情報 |
材料を選ぶ例題
課題は「地域の図書館を中学生が利用しやすくする提案」です。候補は次の五つです。
- 自分は推理小説が好きだ。
- 平日の閉館時刻は午後六時である。
- 部活動後に間に合わない生徒がいる。
- 月に二回だけ午後七時まで試行する。
- 図書館の建物は三十年前に完成した。
中心が「開館時間を試験的に延長する」なら、2・3・4が直接つながります。1は個人の好み、5は建物の話で、今回の主張を支えません。使わない判断も構成の力です。
よくある失敗
思いついた順に書く
書き手には分かっても、読み手は理由を後から知らされます。材料カードを先に並べます。
立派な言葉で中心がぼやける
「未来のために大切だ」だけでは、何をどうするか不明です。主語・行動・条件を具体化します。
例が主張より長い
例は中心を支えるためにあります。「この例は何を証明するか」を一文で続けます。
反対意見を無視する
実現性を問う文章では、費用・時間・安全などの心配を扱うと説得力が増します。ただし反対意見だけで文章の中心を失わないようにします。
入試作文へのつなぎ方
設問文へ丸を付け、「立場」「資料使用」「体験」「字数」「文体」の条件を一覧にします。五分で材料を出し、三分で構成し、残りで書いて見直す目安を持ちます。
資料がある作文では、数値を写すだけでなく「この数値から何が言えるか」を説明します。体験は一場面へ絞り、主張へ戻します。
練習のしかた
初日は一つの題で材料カードを十枚出します。翌日は同じカードから賛成・反対の二構成を作り、材料の選び方が立場で変わると確認します。三日後は制限時間を設けます。誤りは「目的ずれ」「材料不足」「順序不明」「例の未説明」「条件漏れ」に分類します。
理解チェック1:書く前に固定する三つは?
目的、読み手、課題の問いです。字数や資料使用などの条件も確認します。理解チェック2:面白い材料なら全部使う?
使いません。中心の一文を支えるか、読み手に必要かで選びます。理解チェック3:構成メモの役割は?
各段落の役割と材料の順序を決め、途中で話題や主張がずれるのを防ぎます。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。