具体的な言葉と抽象的な言葉:意味の核をつかむ
このレッスンの役割
論説文は、具体例を挙げながら抽象的な言葉で結論を述べます。具体と抽象の関係が読めないと、「結局何が言いたいのか」が取れません。ここでは、言葉の抽象度という考え方の核をつかみます。
今回の中心技能は、言葉を抽象度の段階に並べ、「具体と抽象は相対的な関係だ」と言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「りんご」「果物」「食べ物」を、意味の広い順に並べてください。
食べ物 > 果物 > りんご。「食べ物」が最も広く、「りんご」が最も狭い。広い言葉を抽象的、狭い言葉を具体的といいます。「果物」は「食べ物」より具体的で、「りんご」より抽象的です。つまり、具体か抽象かは、比べる相手で決まります。
抽象度の段階
| 抽象度 | 例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 高い(抽象的) | 食べ物、生き物、価値 | 多くのものに当てはまる。目に見えにくい |
| 中くらい | 果物、動物、親切 | ある範囲のものに当てはまる |
| 低い(具体的) | りんご、犬、席をゆずる | 一つのものや出来事を指す。目に見える |
抽象的な言葉は「まとめる」働きを、具体的な言葉は「例を挙げる」働きをします。
具体と抽象は相対的
| 比べる相手 | 「果物」は |
|---|---|
| 食べ物と比べると | 具体的 |
| りんごと比べると | 抽象的 |
「この言葉は抽象的だ」と決めつけるのではなく、「何と比べて」を言います。論説文では、筆者が「具体例 → まとめ」と往復するので、どちらがどちらをまとめているかを見ます。
文章の中の具体と抽象
人は困っている人を見ると、自然に手を差し伸べる。たとえば、重い荷物を持つ高齢者に声をかけたり、電車で席をゆずったりする。こうした親切は、見返りを求めない行為だ。
| 言葉 | 抽象度 | 役割 |
|---|---|---|
| 声をかける、席をゆずる | 低い | 具体例 |
| 親切 | 中くらい | 具体例のまとめ |
| 見返りを求めない行為 | 高い | 親切の性質の説明 |
「たとえば」のあとが具体、「こうした」のあとが抽象です。筆者の言いたいことは、抽象の側にあります。
例題:段階に並べる
次の言葉を、抽象度の高い順に並べてください。
- 交通手段、乗り物、新幹線、電車
- 感情、喜び、気持ち、合格を知ったときのうれしさ
答え
- 乗り物 > 交通手段 > 電車 > 新幹線(「乗り物」と「交通手段」は近いが、乗り物のほうが広い)
- 気持ち > 感情 > 喜び > 合格を知ったときのうれしさ(「気持ち」と「感情」も近い。具体的な出来事を伴うほど低い)
よくある間違い
「抽象的=難しい言葉」と思う
抽象度は意味の広さです。「食べ物」は易しい言葉ですが抽象的です。難しさとは別です。
具体と抽象を固定して考える
「果物」は、相手によって具体にも抽象にもなります。「何と比べて」を言います。
具体例を筆者の主張だと思う
具体例は主張を支える材料です。主張は「こうした」「つまり」のあとの抽象の側にあります。
自分で確かめよう
確認1:「犬」「生き物」「動物」を抽象度の高い順に
生き物 > 動物 > 犬。
確認2:「果物」は具体的ですか、抽象的ですか
比べる相手で決まります。「食べ物」より具体的、「りんご」より抽象的です。
確認3:論説文で筆者の主張はどちら側にありますか
抽象の側です。「こうした」「つまり」のあとにまとめられます。
まとめと次の一歩
言葉には意味の広さの段階があり、広いほうを抽象的、狭いほうを具体的といいます。具体と抽象は相対的で、「何と比べて」で決まります。論説文は具体例と抽象的なまとめを往復し、主張は抽象の側にあります。
次のレッスンでは、文章の中で具体と抽象を結びつける手順を一行ずつ使えるようにします。
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