一語ずつ訳せないまとまりを見つけよう
このレッスンの役割と目標
前のセクションでは、接続表現から文同士の関係を読みました。ここからは、単語を一つずつ訳しても会話全体の意味にならない慣用表現を扱います。
最初の目標は、無理な直訳を続けず、「この部分はまとまりで意味を取る必要がある」と気づくことです。知らない表現を全部慣用表現と決めるのではなく、語の意味・場面・相手の反応が合うかを点検します。
例でつかむ:直訳と場面がぶつかる場所を探そう
A: I can't find my ticket. B: Never mind. I have an extra one.
never は「決して〜ない」、mind は「気にする」などの意味を持ちます。しかし一語ずつ並べた「決して心」では、Bが何をしているか分かりません。
場面を見ると、Aは困っています。Bは予備の切符を持っているので、「気にしないで」「大丈夫」と問題を小さくしています。Never mind. を一つの応答として取ると会話が通ります。
| 点検するもの | 問い |
|---|---|
| 単語の意味 | 一語ずつの意味で文が通るか |
| 場面 | 何が起きているか |
| 話者の目的 | 共感、手渡し、賛成、取り下げなど何をしているか |
| 相手の反応 | 次の発言や行動と合うか |
慣用表現と普通の未知語を分けよう
知らない部分があるだけで、何でも慣用表現になるわけではありません。
The scientist examined the water.
examined を知らなくても、文の骨格から動詞だと分かります。辞書で語の意味を確認すればよい普通の未知語です。
Here you are.
一方、物を渡す場面での Here you are. は「ここにあなたがいる」ではなく、「はい、どうぞ」という応答全体です。個々の語の通常の意味から場面の働きを作りにくいため、まとまりの候補です。
見つける三つの合図
- 直訳すると場面に合わない
- 数語が決まった順序で一つの応答を作る
- 相手の次の反応を見ると、別の全体意味が必要になる
この段階では意味を完全に断定しなくても構いません。「まとまりの可能性」に印を付け、前後の証拠を集めることが最初の技能です。
よくある間違い
最初の単語だけを辞書で調べ、その意味を全体へ広げることがあります。That's too bad. の bad だけを見て「それは悪い」と相手を評価していると読むと、残念な知らせへの共感を見失います。
逆に、意味が分からない箇所をすべて慣用表現にすると、普通の文法や未知語を学ぶ機会を失います。直訳・場面・反応がぶつかる証拠があるかを見ます。
自分で確かめよう
確認1:物を渡しながら言うHere you are.は、どんな意味のまとまりですか
「はい、どうぞ」に近い手渡しの表現です。場所を説明する文としては読みません。確認2:意味の分からない語はすべて慣用表現ですか
いいえ。普通の未知語や文法の可能性もあります。数語のまとまりと場面全体の働きを点検します。確認3:直訳が不自然なとき、次に見る証拠は何ですか
前後の出来事、話者の目的、相手の反応を見ます。まとめと次の一歩
一語ずつ訳した意味と場面が合わないときは、慣用的なまとまりの候補を探します。無理に訳を完成させず、前後から証拠を集めましょう。次は、どこからどこまでを一緒に読むか境界を決めます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。