LESSON 01

大日本帝国憲法と帝国議会

臣民の権利はなぜ「法律の範囲内」だったのか

権利保障の前進と制約を、条文の条件表現から評価します。

このレッスンの役割

前のレッスンでは天皇大権を整理しました。ここでは、臣民の権利が憲法に書かれた意味と、その限界を同時に考えます。

憲法に書かれた権利

大日本帝国憲法には、身体の自由、住居の不可侵、信教、言論、出版、集会、結社などに関する規定が置かれました。国家の基本法に臣民の権利が書かれたことは、近代国家として重要な前進です。

しかし条文には、「法律ニ定メタル場合」「法律ノ範囲内」といった条件が付いていました。

条件が意味すること

読み方 意味
権利が憲法にある 政府が無条件に何でもできるわけではない
法律の範囲内 法律をつくれば権利を制限できる余地がある
臣民としての権利 天皇主権の国家の中で認められた権利

たとえば言論・集会の自由が書かれていても、新聞紙条例や集会条例などの法律によって制限されました。

権利は「あった」か「なかった」か

二択にしないことが大切です。

誤り:大日本帝国憲法には権利がなかった 誤り:現代と同じ基本的人権が完全に保障された

より正確な説明: 臣民の権利は憲法に明記されたが、法律による制限を受けやすく、天皇から与えられた権利として位置づけられた。

義務との組み合わせ

臣民には、納税や兵役の義務がありました。権利と義務をセットで読み取ると、政府が求めた国民像も見えます。

国家は臣民に一定の権利を認める ↕ 臣民は税を納め、兵役など国家の義務を負う

条文比較の方法

現行の日本国憲法と比べる場合は、次の三点を使います。

  1. 主権者はだれか
  2. 権利は生まれながらのものか、与えられたものか
  3. 権利を制限できる条件は何か
確認1:「法律の範囲内」という表現は何を意味しますか。

権利は認められるが、法律によって制限される余地があることを意味します。

確認2:臣民の権利について、前進と限界を一つずつ答えましょう。

前進は権利が憲法に明記されたこと、限界は法律による制限を受けやすかったことです。

確認3:臣民の主な義務は何ですか。

納税や兵役です。

次のレッスンへ

権利を持つ臣民の一部は選挙で代表を選びました。次は、帝国議会の二院制とそれぞれの役割を学びます。