3対1を四個体ごとの決まりとする誤解を直そう
このレッスンの役割
このレッスンは「分離の法則と比」6レッスンの5番目です。これまでに、Aa×Aaから表現型比3:1を導き、理論値と実測値を比べました。ここでは、比を使うときに起こりやすい三つの混同を直します。
完成の目安は、「確率」と「決まった順序」、「遺伝子型比」と「表現型比」、「理論比」と「実測比」を自分の言葉で区別できることです。この区別ができると、入試の文章が少し変わっても判断できます。
知る・理解する
Aa×Aaで表現型が顕性になる確率は3/4、潜性になる確率は1/4です。しかし、これは「子が4個体生まれるたび、必ず顕性3個体、潜性1個体になる」という意味ではありません。一個体ごとの受精は独立した出来事で、前の子の結果が次の子の遺伝子型を調整することはありません。
また、同じ交配でも数え方によって比が違います。
- 遺伝子型で数える:AA:Aa:aa=1:2:1
- 見える形質で数える:顕性:潜性=3:1
- 実際に観察して数える:3:1に近いことはあるが、普通は少しずれる
四個体が「顕性、顕性、顕性、潜性」と順番に出る必要もありません。「潜性、潜性、顕性、潜性」と続くことも起こりえます。短い並びだけで、次にどちらが出るかを決めることはできません。
具体例で使う
Aa×Aaから最初の3個体がすべて潜性だったとします。4個体目は顕性になる確率が高くなるでしょうか。
答えは「変わらない」です。4個体目も、顕性3/4、潜性1/4です。コインを3回投げて表が続いても、4回目の表裏がそれによって調整されないのと同じです。
次に、400個体の遺伝子型がAA=96、Aa=198、aa=106だったとします。遺伝子型の実測比は96:198:106で、理論比100:200:100に近い値です。Aが顕性なら表現型ではAAとAaをまとめるので、顕性294、潜性106です。ここで96:198:106と294:106は、同じ個体群を別の基準で数えた結果です。
問題を解くときは、比の前に「何を数えた比か」を書き添えましょう。1:2:1だけ、3:1だけを覚えるより、混同が大きく減ります。
誤答を直して次の学びへつなげる
「3個体続けて顕性だったから、次は潜性になる」は、前の結果が次の受精を調整すると考えています。受精は一回ごとに独立しており、次も顕性3/4、潜性1/4です。
「AA:Aa:aa=3:1」は、遺伝子型を三種類に分ける場面と、表現型を二種類にまとめる場面を混同しています。遺伝子型比は1:2:1、表現型比は3:1です。
「299:101なら法則どおり、294:106なら法則に反する」のように、完全一致に近いかだけで機械的に判断するのも危険です。全体数、差の大きさ、交配条件を合わせて読みます。
次は、未知の交配結果から親の遺伝子型候補を推定します。今回区別した三つの比を、答えを見つける道具として使います。
自分で確かめよう
確認1:Aa×Aaで顕性が3個体続いた。次が潜性になる確率は?
1/4です。前の個体の結果にかかわらず、一回ごとの確率は変わりません。確認2:AA:Aa:aa=1:2:1は何の比?
遺伝子型の比です。Aが顕性なら、見える表現型はAAとAaをまとめて3:1になります。確認3:実測値が理論比と少し違うとき、すぐに法則を否定してよい?
いけません。偶然のばらつき、全体数、交配条件、数え方などを確かめてから判断します。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。