染色体・DNA・遺伝子を細胞の変化につなごう
このレッスンの役割
このレッスンは「生殖・発生・遺伝の入試総合」6レッスンの3番目です。前のレッスンでは、観察事実と考察を分けました。ここでは、観察できる発生や形質を、細胞内の遺伝情報の受け渡しで説明します。
完成の目安は、DNA・遺伝子・染色体の関係を区別し、体細胞分裂、生殖細胞形成、受精で遺伝情報がどう扱われるかを一本の流れで説明できることです。
知る・理解する
DNAは遺伝情報を担う物質で、遺伝子はDNAの一部です。染色体は、DNAがまとまった構造です。「DNAと遺伝子が別々に染色体へ入っている」のではなく、DNAの中に多くの遺伝子があります。
受精卵が発生して個体になるとき、体細胞分裂の前に染色体が複製され、分裂後の二つの細胞へ同じように分けられます。そのため、皮膚や筋肉など働きが違う細胞でも、基本的に同じ遺伝情報を受け継ぎます。
一方、生殖細胞がつくられるときは、対になっている染色体や遺伝子が分かれます。受精では父母の生殖細胞が合体し、子は両親から一組ずつ遺伝情報を受け取ります。この「分ける仕組み」と「合わせる仕組み」があるので、世代が変わるたびに染色体の組が増え続けることはありません。
「同じ遺伝情報をもつ」と「同じ働きをする」は別です。細胞はもつ情報のうち使う部分が異なるため、形や働きが分かれます。中学校では、まず同じ受精卵から分裂してできた体細胞が基本的に同じ遺伝情報を受け継ぐことを押さえます。
具体例で使う
遺伝子型Aaの個体から生殖細胞ができ、遺伝子Aをもつものとaをもつものに分かれたとします。これは、体細胞のAaがそのまま一個の生殖細胞へ入るのではなく、対が分離した結果です。
Aをもつ生殖細胞とaをもつ生殖細胞が受精すれば、受精卵はAaです。その受精卵が体細胞分裂をくり返すと、子細胞へAaの情報が受け継がれます。発生中に細胞数が増えても、毎回父母から受精し直すわけではありません。一個の受精卵の遺伝情報が複製され、分配されます。
入試の図で染色体数が問われたら、今見ているのが生殖細胞形成前、生殖細胞、受精卵、体細胞のどれかを確認します。段階を特定してから、分ける・合わせる・保つのどれが起きたかを選びます。
誤答を直して次の学びへつなげる
「遺伝子はDNAとは別の粒として染色体に並ぶ」は誤りです。遺伝子はDNAの一部です。
「体細胞分裂で遺伝子が半分になる」は、生殖細胞形成と混同しています。体細胞分裂では、分裂後の細胞へ基本的に同じ遺伝情報が渡ります。
「受精のたびに染色体の組が二倍になり、世代ごとに増える」は、生殖細胞形成で対が分かれる段階を抜かしています。分離して一組ずつになり、受精で父母由来が再び対になるため、世代を通じて保たれます。
次は、このモデルを表と数値へ使い、発生段階の割合や遺伝の理論比を計算し、根拠のある説明へ変えます。
自分で確かめよう
確認1:DNA・遺伝子・染色体の関係は?
遺伝子はDNAの一部で、DNAがまとまって染色体をつくります。確認2:体細胞分裂と生殖細胞形成の違いは?
体細胞分裂では基本的に同じ遺伝情報を子細胞へ渡し、生殖細胞形成では対になった遺伝子が分かれます。確認3:世代ごとに染色体の組が増え続けないのはなぜ?
生殖細胞形成で対が分かれ、受精で父母由来の一つずつが再び対になるからです。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。