理論比から予想数を求め実測値のずれを読もう
このレッスンの役割
このレッスンは「分離の法則と比」6レッスンの4番目です。前のレッスンで、Aa×Aaから遺伝子型比1:2:1、表現型比3:1を導きました。ここでは、その「比」を実際の個体数の予想へ変え、観察結果と比べます。
完成の目安は、理論比から予想数を計算できること、実測値が理論値と少し違ってもすぐに法則を否定せず、偶然のばらつきや実験条件を筋道立てて検討できることです。
知る・理解する
Aa×AaでAが顕性なら、子の表現型の理論比は顕性:潜性=3:1です。これは、子が顕性になる確率が3/4、潜性になる確率が1/4という意味です。全部で320個体を調べるなら、理論上の予想数は次のように求めます。
- 顕性:320×3/4=240個体
- 潜性:320×1/4=80個体
しかし、実際に育てて数えると236個体と84個体になることがあります。予想数と実測数が少し違うのは、受精の組み合わせが一回ごとに偶然決まるからです。理論比は「4個体ごとに必ず3個体と1個体になる命令」ではなく、多数回くり返したときに全体として近づく割合です。
実測値を読むときは、次の順で考えます。
- 親の遺伝子型から理論比を導く。
- 合計個体数に各割合をかけ、予想数を出す。
- 実測数と予想数の差を確かめる。
- 差が小さいなら偶然のばらつきを考え、大きいなら親の条件、数え方、育ちやすさなども検討する。
具体例で使う
Aa×Aaから生まれた160個体を調べるとします。理論比3:1から、顕性は160×3/4=120個体、潜性は160×1/4=40個体と予想できます。
実測値が顕性117、潜性43なら、理論値との差はそれぞれ3個体です。比にすると117:43で、ぴったり3:1ではありませんが、全体として近い結果です。この結果だけで分離の法則が誤りだとはいえません。
一方、顕性82、潜性78のようにほぼ1:1なら、単なる小さなずれとして片づける前に、交配が本当にAa×Aaだったかを見直します。たとえばAa×aaなら理論比は1:1です。観察結果を比べることは、法則を暗記する作業ではなく、実験条件と説明が合っているか確かめる作業です。
個体数が少ないほど割合はぶれやすく、多くなるほど理論比に近づく傾向があります。ただし、多ければ必ず完全一致するわけではありません。「近づく傾向」と「必ず一致」を区別しましょう。
誤答を直して次の学びへつなげる
「3:1だから320個体なら必ず240個体と80個体になる」は誤りです。240と80は理論上の予想数で、観察前に立てる目安です。実測値は偶然の影響を受けます。
「236:84は3:1ではないから分離の法則は成り立たない」も早すぎる判断です。まず差の大きさ、全体数、交配条件を見ます。反対に、どんな大きなずれも偶然だと決めつけるのもよくありません。予想と観察の差を手がかりに、条件や説明を見直すことが科学的な考え方です。
次は、3:1を「4個体ずつの決まった並び」と考える誤りや、遺伝子型比1:2:1と表現型比3:1の混同をまとめて直します。
自分で確かめよう
確認1:Aa×Aaで200個体なら、顕性と潜性の予想数は?
顕性は200×3/4=150個体、潜性は200×1/4=50個体です。確認2:実測値が148個体と52個体なら、法則は否定されたといえる?
この小さなずれだけでは否定できません。理論比は確率にもとづく予想なので、実測値には偶然のばらつきが生じます。確認3:200個体で顕性102、潜性98なら、最初に何を見直す?
Aa×Aaという交配条件が正しいかを見直します。結果は3:1より1:1に近く、Aa×aaなど別の交配の可能性も考えられます。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。