生殖と遺伝を混同する答案を証拠で直そう
このレッスンの役割
このレッスンは「生殖・発生・遺伝の入試総合」6レッスンの5番目です。ここまでの計算や用語が正しくても、「成長」「生殖細胞形成」「遺伝」を同じ変化として扱うと、説明問題で誤ります。ここでは、よくある答案を診断して直します。
完成の目安は、体細胞分裂と生殖細胞形成を区別し、個体の一生の中で起きる変化と、親から子へ世代をまたいで伝わる遺伝を区別できることです。
知る・理解する
受精卵から個体が成長するとき、体細胞分裂によって細胞数が増えます。分裂後の細胞へは、基本的に同じ遺伝情報が渡ります。筋肉を鍛えて太くなったことや、日光で肌の色が変わったことは、その個体の体細胞や体の状態の変化です。
生殖細胞形成では、対になった遺伝子が分かれます。受精では父母由来の遺伝子が組み合わさり、子の遺伝子型が決まります。遺伝とは、こうして遺伝情報が親から子へ伝わり、形質に関わることです。
したがって、個体が生活の中で身につけた変化が、そのまま遺伝子へ書き込まれて子へ伝わるとは限りません。「親に似る」という結果だけでなく、生殖細胞を通した遺伝情報の受け渡しがあるかを考えます。
誤答を直すときは、文中の主語を確かめます。「受精卵」「体細胞」「生殖細胞」「親」「子」のどれかが曖昧なら、出来事を混同しやすくなります。
具体例で使う
誤答例1:「受精卵は、生殖細胞分裂をくり返して成長する。」
受精卵から体ができる過程で起こるのは体細胞分裂です。修正すると「受精卵は体細胞分裂をくり返して細胞数を増やし、胚へ発生する」となります。
誤答例2:「Aaの体細胞が分裂すると、Aの細胞とaの細胞になる。」
これは分離の法則を体細胞分裂へ誤って使っています。体細胞分裂では、分裂後の細胞へ基本的にAaが受け継がれます。Aまたはaをもつ細胞へ分かれるのは、生殖細胞形成を考える場面です。
誤答例3:「親が運動して筋肉をつけたので、子も生まれつき筋肉が大きくなる。」
運動による筋肉の変化は親個体の体の状態です。それが生殖細胞の遺伝情報として子へ直接渡るとはいえません。観察した似方と、遺伝する仕組みを区別します。
誤答を直して次の学びへつなげる
誤答修正は、正しい用語へ置き換えるだけでは不十分です。次の三段階で直します。
- どの時点・どの細胞の話かを特定する。
- 起きる仕組みを「保つ・分ける・合わせる」から選ぶ。
- 観察事実より強すぎる結論を削る。
たとえば「発生中に染色体が減る」は、発生中の体細胞分裂と、生殖細胞形成の分離を混同しています。「発生中は体細胞分裂により、基本的に同じ遺伝情報が子細胞へ渡る」と直せます。
次は、時間・実験・モデル・計算・誤答修正を一つの初見資料問題へまとめ、結論・根拠・仕組みがそろった答案を作ります。
自分で確かめよう
確認1:受精卵から胚へ発生するときの主な細胞分裂は?
体細胞分裂です。細胞数を増やし、基本的に同じ遺伝情報を子細胞へ渡します。確認2:Aaの体細胞が分裂すると、Aとaだけの細胞へ分かれる?
分かれません。体細胞分裂後の細胞は基本的にAaを受け継ぎます。Aかaへ分かれるのは生殖細胞形成を考える場面です。確認3:生活で身についた体の変化が、そのまま子へ遺伝するといえる?
いえません。親から子へは生殖細胞を通して遺伝情報が渡るため、個体の体の変化と遺伝を分けて考えます。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。