LESSON 01

生殖・発生・遺伝の入試総合

生殖と遺伝を混同する答案を証拠で直そう

「生殖・発生・遺伝の入試総合」第5段階。成長・生殖細胞形成・遺伝の混同を直します。

生殖と遺伝を混同する答案を証拠で直そう

このレッスンの役割

このレッスンは「生殖・発生・遺伝の入試総合」6レッスンの5番目です。ここまでの計算や用語が正しくても、「成長」「生殖細胞形成」「遺伝」を同じ変化として扱うと、説明問題で誤ります。ここでは、よくある答案を診断して直します。

完成の目安は、体細胞分裂と生殖細胞形成を区別し、個体の一生の中で起きる変化と、親から子へ世代をまたいで伝わる遺伝を区別できることです。

知る・理解する

受精卵から個体が成長するとき、体細胞分裂によって細胞数が増えます。分裂後の細胞へは、基本的に同じ遺伝情報が渡ります。筋肉を鍛えて太くなったことや、日光で肌の色が変わったことは、その個体の体細胞や体の状態の変化です。

生殖細胞形成では、対になった遺伝子が分かれます。受精では父母由来の遺伝子が組み合わさり、子の遺伝子型が決まります。遺伝とは、こうして遺伝情報が親から子へ伝わり、形質に関わることです。

したがって、個体が生活の中で身につけた変化が、そのまま遺伝子へ書き込まれて子へ伝わるとは限りません。「親に似る」という結果だけでなく、生殖細胞を通した遺伝情報の受け渡しがあるかを考えます。

成長・生殖細胞形成・遺伝の混同を直す左は受精卵から体細胞分裂で個体が成長し同じ遺伝情報を保つ。中央は親の対の遺伝子が生殖細胞形成で分かれる。右は受精で父母の遺伝情報が子へ渡る。どの細胞で、いつ起きる変化かを確かめる成長体細胞分裂同じ情報を受け継ぐ生殖細胞形成AaAa対が分かれる遺伝AaAa受精で子へ渡る体の変化と、世代をまたぐ情報の受け渡しを分ける

誤答を直すときは、文中の主語を確かめます。「受精卵」「体細胞」「生殖細胞」「親」「子」のどれかが曖昧なら、出来事を混同しやすくなります。

具体例で使う

誤答例1:「受精卵は、生殖細胞分裂をくり返して成長する。」

受精卵から体ができる過程で起こるのは体細胞分裂です。修正すると「受精卵は体細胞分裂をくり返して細胞数を増やし、胚へ発生する」となります。

誤答例2:「Aaの体細胞が分裂すると、Aの細胞とaの細胞になる。」

これは分離の法則を体細胞分裂へ誤って使っています。体細胞分裂では、分裂後の細胞へ基本的にAaが受け継がれます。Aまたはaをもつ細胞へ分かれるのは、生殖細胞形成を考える場面です。

誤答例3:「親が運動して筋肉をつけたので、子も生まれつき筋肉が大きくなる。」

運動による筋肉の変化は親個体の体の状態です。それが生殖細胞の遺伝情報として子へ直接渡るとはいえません。観察した似方と、遺伝する仕組みを区別します。

誤答を直して次の学びへつなげる

誤答修正は、正しい用語へ置き換えるだけでは不十分です。次の三段階で直します。

  1. どの時点・どの細胞の話かを特定する。
  2. 起きる仕組みを「保つ・分ける・合わせる」から選ぶ。
  3. 観察事実より強すぎる結論を削る。

たとえば「発生中に染色体が減る」は、発生中の体細胞分裂と、生殖細胞形成の分離を混同しています。「発生中は体細胞分裂により、基本的に同じ遺伝情報が子細胞へ渡る」と直せます。

次は、時間・実験・モデル・計算・誤答修正を一つの初見資料問題へまとめ、結論・根拠・仕組みがそろった答案を作ります。

自分で確かめよう

確認1:受精卵から胚へ発生するときの主な細胞分裂は?体細胞分裂です。細胞数を増やし、基本的に同じ遺伝情報を子細胞へ渡します。
確認2:Aaの体細胞が分裂すると、Aとaだけの細胞へ分かれる?分かれません。体細胞分裂後の細胞は基本的にAaを受け継ぎます。Aかaへ分かれるのは生殖細胞形成を考える場面です。
確認3:生活で身についた体の変化が、そのまま子へ遺伝するといえる?いえません。親から子へは生殖細胞を通して遺伝情報が渡るため、個体の体の変化と遺伝を分けて考えます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。