未知のデータでオームの法則が成り立つ範囲を判断しよう
「電気部品なら何でも V=IR」と機械的に決めてよいのでしょうか。未知の部品AとBの測定データを比べ、比例と V÷I の両方から、法則を使える範囲を判断します。
このレッスンの役割
ここは「オームの法則を実験で見つける」6レッスンの最終段階です。問い、測定、表の倍率、グラフ、V÷I、誤差診断を一つの判断へ統合します。
完成の目安は、未知データについて「どの条件・測定範囲でオームの法則が成り立つか」を根拠付きで書けることです。次の「V・I・Rを正しく計算しよう」では、ここで根拠を得た式を使って未知量を求めます。
知る:成立を確かめる三つの証拠
一つの点だけでは比例を判断できません。次の三つを複数点で確かめます。
- 電圧と電流がほぼ同じ倍率で変わる。
- グラフが原点付近を通る直線になる。
- V÷Iがほぼ一定になる。
理解する:二つの未知部品を比べる
| 電圧 | 部品Aの電流 | AのV÷I | 部品Bの電流 | BのV÷I |
|---|---|---|---|---|
| 1.0 V | 0.10 A | 10 Ω | 0.10 A | 10 Ω |
| 2.0 V | 0.20 A | 10 Ω | 0.17 A | 約11.8 Ω |
| 3.0 V | 0.30 A | 10 Ω | 0.23 A | 約13.0 Ω |
| 4.0 V | 0.40 A | 10 Ω | 0.28 A | 約14.3 Ω |
部品Aは電圧と電流が同じ倍率で変わり、V÷Iも10 Ωで一定です。この測定範囲ではオームの法則が成り立つと判断できます。
部品Bは電圧を2倍、3倍にしても電流が同じ倍率にならず、V÷Iも増えています。少なくとも1.0〜4.0 Vの全範囲を一定のR一つで表すことはできません。温度変化や部品の性質が原因候補です。
例で使い、よくある誤答を直そう
「部品Bも各点で V÷I を計算できるから V=IR が成り立つ」という答案があります。しかし、各点で割り算ができることと、同じ抵抗Rで全点を説明できることは別です。オームの法則として使うには、条件が一定の範囲でV÷Iがほぼ一定になる必要があります。
反対に「Bではオームの法則が永久に使えない」と断定するのも強すぎます。低い電圧の狭い範囲や温度を一定にした条件では別の結果になるかもしれません。結論は「今回の装置・温度・1.0〜4.0 Vの範囲では」と限定します。
自分で確かめ、まとめて次へ進もう
確認1:オームの法則が成り立つことを確かめる証拠を二つ答えてください。
電圧と電流が同じ倍率で変わること、グラフが原点付近を通る直線になること、V÷Iがほぼ一定になることのうち二つです。確認2:複数点でV÷Iが10、10、10 Ωなら何が言えますか?
抵抗がほぼ一定で、その測定条件と範囲では電圧と電流がオームの法則に従うと判断できます。確認3:V÷Iが電圧とともに増える部品について、どう結論を書きますか?
今回の測定範囲では抵抗が一定ではなく、一つのRによるオームの法則では全点を説明できない、と条件を付けて書きます。これでオームの法則を、暗記した式ではなく実験結果に根拠をもつ法則として使えるようになりました。次はV・I・Rのどれを求めるかを整理し、単位をそろえて計算します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。