動いている・止まっている物体の力の誤解を直そう
このレッスンの役割
このセクションの第5レッスンです。前のレッスンでは、接触する力と離れて働く力を分類しました。今回は、物体の動きだけを見て力を決める四つの誤解を、「何が何へ力を及ぼすか」という関係へ戻って直します。
今回完成させる力は、動いている・止まっているという状態と、力が働くことを分け、支える力・摩擦力・磁力を具体的な相手物体から説明できることです。次のレッスンでは、未知の場面で対象物を選び、働く力を漏れなく探します。
知る・理解する
力は「物体が動いている証拠」ではありません。力の働きは、動き始める、止まる、速さや向きが変わる、形が変わる、支えられるなどの変化や関わりから考えます。
| 誤解 | 見落としていること | 修正 |
|---|---|---|
| 動く物体には進行方向の力が必ずある | 力を及ぼす相手を示していない | 接触や遠隔作用を場面から探す |
| 止まる物体には力がない | 支える力や重力 | 地球・机など相手を列挙する |
| 摩擦は滑っているときだけ | 滑り始めを妨げる場合 | 押しても動かない場面も調べる |
| 磁石は必ず引く | 同じ極は反発する | 極の組み合わせを確認する |
ここでは、力がつり合う条件や運動の法則をまだ定量的に扱いません。ただし、見た目の静止や運動だけから、一つの力を決めつけないことが重要です。
具体例で使う
手で押した台車から手を離したあと、台車が右へ進んでいます。手はもう接触していないので、「手が右へ押し続けている」とは言えません。床や空気が台車へ及ぼす力、地球や床の働きなどを別に考えます。
机の上の本は止まっています。地球が本へ重力を及ぼし、机が本を支えています。静止していることは、力が一つもない証拠ではありません。
箱を弱く横へ押しても動かないとき、床は箱が滑り始めるのを妨げる摩擦力を及ぼす場合があります。摩擦を見つけるために、必ず物体が滑っている必要はありません。
二つのN極を近づけると、互いに離れる向きへ動くことがあります。磁力は引力だけでなく反発力としても観察されます。
誤答を直して次の学びへつなげる
「台車が右へ進むから右向きの力がある」という答えは、力を及ぼす物体を示していません。まず、手が接触しているか、磁石や糸があるか、床や空気と接しているかを確認します。
「本が止まっているので重力は働かない」という説明は、地球と本の関わりを見落としています。本が落下しない理由には、机の支えも関係します。
次のレッスンでは、坂の上の消しゴム、磁石で動くクリップ、帯電した風船、弓と矢などの未知場面で、対象物を一つ選び、力を及ぼす相手と働きを特定します。
自分で確かめよう
確認1:手から離れた台車が進んでいるとき、手が押し続けていると言えますか?
言えません。手は接触していないためです。ほかに力を及ぼす物体があるかを場面から探します。確認2:止まっている本にも力が働く例を二つ挙げてください。
地球が本へ及ぼす重力と、机が本を支える力です。確認3:摩擦力は物体が滑っているときだけ働きますか?
いいえ。物体が滑り始めるのを妨げ、押しても静止したままにする場合にも働くことがあります。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。