LESSON 01

経験を具体例にしよう

経験を具体例にしよう 1|意見と根拠を分ける

自分の判断と、それを支える事実・資料を区別する。主張・根拠・説明を一組にして書きます。

経験を具体例にしよう:意見と根拠を分ける

このレッスンの位置

いまは「根拠を添えて書く」コースの「経験を具体例にしよう」です。このレッスンでは、自分の判断と、それを支える事実・資料を区別することに集中します。到達点は「いつ、どのような状況で、何が起きたかを書き、主張との関係を示す。」です。

受け取る力:目的に合う材料を選び、段落の役割を設計する力
中心技能:概念として、主張と根拠の間を自分の説明でつなぐ
次へ渡す力:読み手に応じて推敲し、発表や議論でも根拠を使う力

根拠を置くだけでは説得力は生まれません。「この資料から何が分かり、それがなぜ主張を支えるのか」を説明する必要があります。主張→根拠→説明の三点を一組にします。

三つの部品

主張:学校に給水機を増やすべきだ。
根拠:試験設置した校舎では、三か月で使い捨て容器のごみが18%減った。
説明:水筒へ補給できる環境が、容器を買う回数を減らしたと考えられるため、給水機はごみ削減に役立つ可能性がある。

説明がなければ、18%という数字と提案の関係を読み手に任せてしまいます。また「必ず減る」とは書かず、調査の範囲に合う強さで述べます。

部品 役割 確認する問い
主張 読み手に認めてほしい考え 何をどうしたいか
根拠 主張を支える材料 事実・資料・経験は何か
説明 根拠と主張の橋 なぜこの材料が関係するか
条件 言える範囲を限定 いつ・誰に・どこまでか
経験を具体例にしようの根拠付き文章モデル 主張、根拠、説明を矢印でつなぎ、条件と反対意見で文章を強くする図 主張何を提案するか 根拠事実・資料・経験 説明なぜ支えるか 説明が根拠を主張へ戻す

根拠の種類を使い分ける

事実・データ

広い傾向や比較を示せます。対象、時期、単位、出所を明記します。

具体例・経験

読み手が場面を想像しやすくなります。一人の経験を全員へ一般化しないようにします。

専門家・資料の引用

言葉を正確に示し、誰がいつ述べたかを書きます。権威があるというだけでなく、内容が主張へ関係するか確認します。

理由・原理

なぜそうなるかの仕組みを説明します。単なる言い換えを理由にしないようにします。

例題を改善しよう

弱い文:

私は学校の読書時間を増やすべきだと思う。読書はよいからだ。私も本を読むのが好きだ。

「よい」が何を意味するか不明で、個人の好みだけです。

改善した文:

私は週に一度、朝の読書時間を設けることを提案する。学校アンケートでは、落ち着いて一日を始めたいと答えた生徒が回答者の52%だった。十分間の読書なら授業時間への影響を抑えながら、静かに気持ちを切り替える選択肢を作れる。まず一か月試し、参加者の感想と遅刻数を確認するとよい。

数値を置いた後に、それが提案へどう関係するか説明し、実施条件と検証方法も加えています。

引用と要約の注意

短く引用するときは、元の意味を変えない範囲で使います。都合のよい一部だけを切り取り、前後の条件を消してはいけません。要約する場合も、対象や程度を保ちます。

元資料 危険な書き方 適切な書き方
回答者の52% 生徒の大多数 回答者の約半数
改善する可能性 必ず改善する 改善する可能性がある
一校の試行 全国で効果 この学校の試行では効果

反対意見を扱う

「費用がかかる」という反対意見に対し、「しかし必要だ」だけでは答えていません。費用の大きさ、代替案、試行期間、優先順位を示します。

確かに初期費用がかかる。ただし全校へ一度に導入せず、一台を三か月試験設置し、容器ごみの変化と利用回数を測れば、効果を確かめてから判断できる。

反対意見の心配を認め、条件付きの解決へ進んでいます。

よくある失敗

資料の数字を写すだけ、経験を全体へ広げる、出所を書かない、主張と同じことを理由として繰り返す、反対意見を弱く作る、という失敗があります。

「必要だから必要だ」は理由になりません。「どんな問題を、どの仕組みで改善するか」まで下ります。

入試作文へのつなぎ方

資料型作文では、資料の特徴を一文で示し、自分の主張との関係を一文で説明します。体験を書く指定があるなら、出来事→気づき→一般的な考えの順にし、体験だけで終わらせません。

見直しでは、各段落の主張へ「なぜ?」と問い、答えが直後にあるか確認します。数字や引用には、対象・時期・出所があるかも見ます。

練習のしかた

同じ主張へ、データ・経験・仕組みの三種類の根拠を作ります。翌日は最も強い組み合わせを選び、三日後は反対意見と条件付き解決を加えます。誤りは「関連不足」「説明不足」「範囲超過」「出所不明」「反論未回答」に分類します。

理解チェック1:根拠の後に必要なものは?その根拠がなぜ主張を支えるのかという説明です。
理解チェック2:自分の経験は根拠に使える?使えますが、一人の経験を全体へ一般化せず、具体例として範囲を限定します。
理解チェック3:資料を使うときの確認点は?出所、対象、時期、単位、元の条件を確認し、主張より強い表現へ変えません。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。