LESSON 01

本文の根拠を二つ結ぼう

本文の根拠を二つ結ぼう 3|根拠の弱い読みを直す

思い込みや一語だけの判断を、複数の根拠で修正する。事実と推論を分け、本文の根拠を示します。

本文の根拠を二つ結ぼう:根拠の弱い読みを直す

このレッスンの位置

いま学んでいるのは「場面と人物の心情」コースの「本文の根拠を二つ結ぼう」です。このレッスンでは、思い込みや一語だけの判断を、複数の根拠で修正することに集中します。セクションの到達点は「行動と情景、会話と関係性など複数の描写を組み合わせて解釈する。」です。

受け取る力:文章を場面ごとに分け、人物と出来事を整理する力
中心技能:誤解修正として、本文の表現から人物の心情を説明する
次へ渡す力:人物像や表現の効果を、複数場面にわたって考える力

物語の心情は、自由な想像ではありません。本文に書かれた事実から、最も筋の通る説明を作る学習です。「本文に書いてあること」と「そこから考えたこと」を二段に分けましょう。

短い場面を読む

「別に、気にしてないよ。」翔太は笑って答えた。しかし、友達が去ったあとも、閉じた門をしばらく見つめていた。

人物の気持ちをすぐ一語で決めず、先に観察します。何が起きたか、人物が何と言ったか、どんな動作をしたか、前後で何が変わったかを拾います。

種類 本文からそのまま抜くもの そこから考えられること
出来事 人物に起きた変化 心情が動いたきっかけ
会話 言った内容・言い方 表向きの気持ち、本心とのずれ
行動 視線・手・姿勢・動き ためらい、決意、緊張など
情景 光・音・天候・周囲 場面の雰囲気や心情との響き合い

根拠から心情へ進む四段階

  1. 場面が変わる合図に縦線を入れる。
  2. 心情のきっかけとなる出来事を四角で囲む。
  3. 会話・行動・表情・情景のうち、同じ方向を示す表現を二つ探す。
  4. 「出来事を受けて、〇〇と△△から、人物は□□と感じている」と説明する。
本文の根拠を二つ結ぼうの心情推論モデル 出来事を起点に会話、行動、情景という本文の根拠を集め、心情と変化を説明する図 出来事 会話 行動・表情 情景 根拠に合う心情前後の変化も説明

例題を解こう

遠足の日、空は朝から曇っていた。駅に着くと電車が止まっていた。「今日は無理かな」と弟が言った。姉は時刻表を見たあと、案内所へ向かった。「別の道を聞いてみよう。」その声を聞き、弟は背負い直したリュックの肩ひもを強く握った。

弟の心情を考えます。最初の会話「今日は無理かな」は不安やあきらめを示します。しかし姉が代案を探すと、弟はリュックを背負い直し、肩ひもを握ります。この行動から、ただ不安なだけでなく、「行けるかもしれないという期待をもち、気持ちを立て直そうとしている」と考えられます。

事実と推論を分ける

本文の事実 推論 推論を支える理由
「今日は無理かな」と言う あきらめかける 不可能を予想する言葉
姉が別の道を探す 状況が変わる 解決の可能性が生まれる
リュックを背負い直す 気持ちを立て直す 出発へ向けた行動
肩ひもを強く握る 期待と緊張が混じる 力の入る動作

心情語は一つに固定しなくてもよい場合があります。「不安から期待へ」のように変化を表す方が、場面全体に合います。

よくある読み違い

自分ならどう思うかで答える

読者自身の経験は、予想のきっかけにはなりますが、答えの根拠にはなりません。最後は本文の表現へ戻ります。

会話を本心そのものだと決める

人物は強がったり、相手を気遣ったりします。会話と行動が同じ方向か、ずれているかを確かめます。

心情語を見つけたら終わる

「悲しい」だけでは説明が浅いことがあります。なぜ悲しいのか、何への悲しさか、前後でどう変わったかを加えます。

情景をそのまま心情にする

雨だから必ず悲しい、晴れだから必ずうれしい、とは限りません。人物の行動や会話と響き合うときに、情景を補助根拠として使います。

入試記述の組み立て方

設問が「なぜ」「どのような気持ち」と尋ねたら、答案に必要な部品を分けます。

  • きっかけ:何が起きたか
  • 根拠:どの言葉や行動か
  • 心情:何に対する、どのような気持ちか
  • 変化:前と後でどう変わったか

答案の型は「〇〇という出来事を受け、△△と行動していることから、□□しようとする気持ち」です。本文に合う語へ直して使います。

練習のしかた

短い場面で、事実欄と推論欄を二列にして練習します。翌日は根拠を二つ使い、三日後は心情の変化を一文で書きます。誤答したら「出来事の見落とし」「会話と行動のずれ」「時間変化の見落とし」「自分の想像」のどれかに分類します。

理解チェック1:心情を考える前に何を集める?出来事、会話、行動・表情、情景など、本文に実際に書かれた事実を集めます。
理解チェック2:会話と行動がずれているときは?強がりや気遣いなどの可能性を考え、前後の出来事も含めて本心を判断します。
理解チェック3:心情記述を深くするには?心情語だけでなく、その対象、きっかけ、根拠、前後の変化を含めます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。