複数段落を一文でまとめよう:入試記述へ転用する
このレッスンの位置
いまは「要旨を捉える」コースの「複数段落を一文でまとめよう」を学んでいます。このレッスンの役割は、初見文を指定字数で、根拠を保ってまとめることです。セクションの到達点は「段落間の共通点と関係を捉え、接続を補って一つの要点にする。」です。
受け取る力:前に学んだ、段落の中心文と補足文を分ける力
中心技能:転用として、文章の中心を本文の言葉で説明する
次へ渡す力:次のレッスンやセクションで、長い文章を短く正確にまとめる力
要旨は「短くした文章」だけではありません。文章全体を通して筆者が最も伝えたい考えです。要約は、その要旨と必要な説明を、条件に合わせて短くした文章です。まずこの二つを区別しましょう。
短い文章から中心を探そう
植物を育てる経験は、変化を観察する力を育てる。毎日同じ時刻に記録すると、小さな違いにも気づけるからだ。
最初に「何について」の文章かを一語か短い句で書きます。次に「それについて何を伝えているか」を一文で書きます。話題だけでは要旨になりません。たとえば「読書について」だけでは、筆者の考えが抜けています。
| 見るもの | 確認する問い | 要旨に残す判断 |
|---|---|---|
| 題名・繰り返し | 何について書いているか | 話題の中心語 |
| 問い・結論 | 筆者は何に答えたか | 主張・結論 |
| 理由・対比 | なぜそう言えるか | 必要なら短く残す |
| 具体例・細部 | 中心を分かりやすくするだけか | 多くは削る |
中心を保って縮める四段階
- 各段落の横に、話題を五〜十字で書く。
- 繰り返される重要語を丸で囲む。
- 問いに対する答え、または結論の文へ線を引く。
- 「何が・どうだ」を一文にし、本文と意味が同じか戻って確かめる。
例題で確かめよう
海辺の町では、防災訓練に中学生も参加している。若い世代が避難経路を知れば、自分の安全を守れる。また、高齢者や幼い子どもを助ける役割も担える。地域全体で訓練することが、災害に強い町づくりにつながる。
話題は「地域の防災訓練」です。中心は最後の文にありますが、ただ写すだけでは足りない場合があります。「中学生を含む地域全体で訓練することが、自助と助け合いを可能にし、災害に強い町をつくる」という形なら、前の理由も短く含められます。
本文と要旨の対応
| 本文の情報 | 役割 | 要旨での扱い |
|---|---|---|
| 中学生も参加 | 主体を具体化 | 「地域全体」にまとめる |
| 自分の安全を守る | 理由1 | 「自助」と言い換え可能 |
| 他者を助ける | 理由2 | 「助け合い」と言い換え可能 |
| 災害に強い町 | 結論 | 必ず残す |
言い換えるときは、意味を広げすぎないようにします。「防災訓練は何でも解決する」のような表現は本文より強すぎます。
よくある失敗
最初の一文だけを写す
最初の文は話題の提示で、結論は後ろにあることが多いです。問いと答え、序論と結論を対応させてください。
具体例ばかり残す
印象に残る例と、文章全体の中心は別です。例を「何を説明するための例か」と一段上の言葉に置き換えます。
自分の意見を足す
要約では、本文にない評価や提案を加えません。「大切だと思う」ではなく、筆者が「大切だ」と述べているかを確認します。
字数を減らすため主語を消す
主語を落とすと、誰の考えか、何が変化したかが不明になります。修飾語、重複、細かな例から先に削りましょう。
選択肢と記述への応用
選択肢は、話題・対象範囲・因果・強さの四点で本文と比べます。「一部の人」が「すべての人」に変わっていないか、「可能性がある」が「必ず起こる」になっていないかを確認します。
記述では、先に必要語を三つほど選びます。その語を使って一文を書き、最後に字数を調整します。初めから字数だけを気にすると、中心語を落としやすくなります。
練習計画
同じ文章を何度も丸暗記するより、百〜二百字ほどの別文章で同じ手順を使います。初日は段落要点、翌日は一文要旨、三日後は指定字数要約にします。間違えたときは「削りすぎ・残しすぎ・意味変更・主語欠落」のどれかに分類すると改善しやすくなります。
理解チェック1:話題と主題の違いは?
話題は何について書かれているか、主題はそれについて筆者が最も伝えたいことです。理解チェック2:具体例を削ってよいかはどう判断する?
その例が支える上位の考えを言葉にでき、例を除いても中心が保たれるか確認します。理解チェック3:要旨が本文とずれていないか確かめる方法は?
要旨を話題・主張・理由に分け、対応する本文箇所を一つずつ指せるか確かめます。クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。